偉大な岩「ウルル」に触れた日 その5 [あいうえおーすとらりあ]
このツアーは宿泊をキャンプにすることで料金を安めに設定している。といっても、常設テント内には充分な大きさのシングルベッドが2台置かれ、扇風機、机、卓上ライトが備え付けられている。床は板張りで、入り口には中から鍵もかけられる。キャンプ地内にはきれいなシャワーとトイレがあり、飲み物の自動販売機もある。また、炊事場兼食堂には流し、コンロ、冷蔵庫、湯沸かし器などがあり、なんの問題もない。本格的なアウトドアが好きな人には物足りないぐらいだろう。
ここでガイドはシェフに変身する。野菜を切ったり皿を並べたりする程度の手伝いはするが、日が暮れてもまだ暑い中で肉を焼くなどの「過酷な労働」はガイドがする。その間にシャワーを浴びてさっぱりし、戻ってくると料理が出来上がっているという段取りである。
メニューはステーキとウインナー、野菜のチーズ焼。ステーキはスジが多くて薄く、野菜のチーズ焼に入れたトマトはそのまま食べたほうがおいしい、など日本人の好みからはかけ離れている食事だったが、疲労と空腹が解消され、みんなの顔が一気に和んだ。なによりもうまいと感じたのは水だった。ガイドが冷蔵庫で冷やしておいてくれた水は吸い込まれそうなほどの透明で、口をつける前からのどが鳴った。
食事の後片付けを済ませたころ、ガイドがアボリジニの楽器「ディジュリドゥ」を持って戻ってきた。ディジュリドゥはユーカリの木からつくられる1~2メートルの管楽器で、蜜蝋で作られたマウスピースに唇を振動させて音を出す。鼻で息を吸い込みながら口から息を出すという「循環呼吸」で演奏する。つまり、頬に空気をため(頬を膨らませ)、吐き出すスピードにあわせて空気を鼻から吸い込むのだ。頬の空気がなくなる前に肺から空気を継ぎ足さなければならず、さらに唇を震わせて演奏するため、吐き出す空気を一定に保つのは至難の業だ。
シドニーのアボリジニの土産店でディジュリドゥの演奏を無料で聴けるところがあり、何回も足を運んだため、その難しさは良く分かる。ガイドは顔を真っ赤にして演奏してくれたが、マウスピースの蜜蝋が暑さで溶けて空気がもれてしまい、満足な音が出せなかった。仲間から借りてきたものらしく「自分のディジュリィドゥなら…」と残念がっていた。
みんなもうすっかりガイドと打ち解け、彼のもてなしに温かい拍手を送った。「ぼくが日本語でみんなとしゃべれたらよかったのに」とガイドが言った言葉は忘れられない。留学に踏み切った人たちの多くは、彼と同じような思いをどこかで体験している。伝えたい気持ち、受け止めたい気持ち同士が出会ったとき、ただの偶然がかけがえの無い思い出に変わる。かけがえのない思い出は新たな出会いを受け止める器になる。世界はそうしてつながっているのだと信じている。
rioさん、こんばんは。
またまた貴重な情報をお寄せいただきまして
ありがとうございました。
修正情報の中でrioさんのサイトを紹介させて頂きました。
rioさんは海外は結構行かれるのでしょうか?
オススメ情報がございましたら、是非教えて下さいませ。
今後ともよろしくお願いいたします。
by ゆう (2006-12-11 22:18)
ゆうさん、コメントありがとうございます。海外は2~3回ほどですが、いまはたまたまシドニーに住んでます。サイトちょこちょこのぞかせてもらってます。よろしく!
by rio (2006-12-12 23:06)