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W杯・アメリカ戦 郎平監督相手になす術なし [バレーボール]

柳本監督があまりにも「切り替えろ!切り替えろ!」と繰り返すので、チャンネルを切り替えようかと思ってしまいました。とか言いながら、結局、最後まで見たんですが。

まず、なんでこれだけ惨敗したのか、詳しくお知りになりたい方はT.W.さんのブログの日本VSイタリアをご参照ください(専門的なので難しいところもあるかもしれないけど)。アメリカ・郎平監督はおそらく、このイタリアの戦い方をちゃんと把握していて、アメリカスタイルに応用してきたのだと思う。

作戦その1 アメリカはローテを2つ動かしてきた。

いつもなら、セッターがサーブの位置(日本では竹下)で始まる。つまり対角のハニーフは前衛レフトの位置(日本なら木村)。そこから2つ動かすとハニーフは前衛ライトの位置(日本なら栗原)の位置で始まることになる。つまり、ハニーフはずっと栗原のストレート側でブロックを跳ぶわけで、これはきつい(正確には、最初のローテだけは栗原はライトから打つので、ハニーフの目の前は木村)。しかもセンター側のブロックはベテランのスコット。栗原は昨日の反省から「逃げのフェイント」を封印してしのいでいたけど、これだけがっつりこられるといくらなんでも無理だ。結局、栗原のスパイク決定率は22%。。。

逆に、このローテだと高橋の前が172センチのセッター・オーモーサントスで、要するに「高橋の低くて速いのはあなたで充分。なんだったら拾えばいいし、決められても別にいいし」という作戦。実際、高橋の決定率は50%で、チーム最多の12得点を挙げた。

作戦その2 徹底して木村を狙う。

木村が前衛の時は、前へ落とすサーブで高橋を狙う。高橋とセンターの動きを封じ、木村にトスが上がるように仕向けてブロックで待ち構えるためだ。速くて変幻自在な木村のスパイクが、裏を返せば「低くて弱い」ことに注目した戦術だと思う。日本がサーブで崩れた瞬間から、木村をがっつりマークで待ち構えているもんだから、さすがの木村も打つところが無くてアウトを連発。無理して打てばシャットアウトで、第1セットであっという間に潰されてしまった。木村の決定率はまさかの9%。。。22本打って2本しか決まってない。

木村が後衛にまわると、強いサーブで狙うだけじゃなく、チャンスボールも木村に返す徹底ぶり。もちろん、バックアタックを封じ込めて攻撃の選択肢を減らすためだ。

高橋はバックアタックを打てないので、木村のバックアタックが封じ込められると「攻撃がセンターと栗原のみ」というローテが2回続く。そこにはハニーフが待ち構えている。ここで「作戦1」がドンピシャの効果を発揮した、ということになる。木村が後衛にいる後の1回分は、前衛は高橋・杉山(今日は多治見)の一番弱いローテ。栗原のバックアタックがあるが、それでも3枚にしかならない。この場合、栗原が打ってくる確率が高いので、栗原にサーブを取らせればいい。

日本は今日も4枚レシーブで臨んでいたが、木村を狙う時以外は緩くて前に落ちるサーブしか打たなかった(逆に、木村が後衛の時に強いサーブで狙うことは徹底していた)。つまり、柳本監督がとった”アメリカ対策”は結果的に的外れだったのだ。

いや、柳本監督が多治見を呼んだときは、「おお!ついに木村と替えるのか!」と思いましたよ。狙われてる木村を下げることで相手が一瞬でも次の手を迷えば、つけこむスキもうまれるかもしれないので。それがまさかの杉山と交替。攻撃が2枚のローテをベテランの経験で乗り切ろうとしたのかもしれないけど(まさか多治見の母の思い出にすがったとは考えたくないので)、杉山→多治見はアメリカにとってはほとんどどうでもいい交替だったと思う。

まあ、そんなこんなで、試合開始直後(っていうか、郎平監督がローテを決めた時点で)から惨敗が決定していたのだ。

今大会を通じずっと、監督采配の差について文句をたれたれなんだけど、イタリア戦での第3セット、ローテいきなり裏表ひっくり返しで惨敗した記憶があったのか、今日は多治見を投入した以外には何もしなかった柳本監督。素人考えでは第2セットからすぐに日本もローテを2つ動かせばよかったと思うけど、そうもいかないもんなんでしょうかねえ。


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アディ

今日はTV観戦出来なかったので非常に試合の展開が分かりためになりました。
結局、世界から観たら日本の選手など怖くないと言うことなんですね。木村選手のスパイクが速いとよく言われていますが、その利点より、相手に対して怖さがない(いやらしさはあるが…)不利の方が大きい。
やはり相手が怖いと思うスパイカーは最高到達点が320cmを越え、ブロックの上から下に叩きつけてくるスパイクを打つ選手だと思います。そんなスパイカーがいない日本は世界から観たら対策のしようがいくらでもあるのでしょう。
柳本の采配のまずさは今更始まったことではないですね。選手選考からおかしいのに、選手起用がうまくできるはずはないですね。いっそのこと、川合俊一にセットごとに指示出してもらったら?(笑)無茶な指示ばかりだから相手も混乱するかもね。
しかし、エースの決定率が22%って、ミスやブロックされたの入れたら、ほぼ打つ意味は0になるのでは?
明日のブラジル戦も散々な試合になるんでしょうね。
長々と失礼しました。
by アディ (2007-11-16 00:07) 

rio

>アディさん、今日の試合は見る価値なかったかも、です。試合とほぼ同じぐらいの長さで、ジャニや地元アナの煽りやタイムアウト映像を見せられた気がします。それぐらいあっという間に負けたゲームでした。柳本監督はタイムアウトじゃないときでも、コートサイドから「切り替えろ!」と怒鳴ってました。。。残念。
by rio (2007-11-16 00:42) 

あまれっと

興味深く読ませていただきました。
木村のミスが目立って見えたのはそういう下地があったからだったんですね。
TV側で戦術の説明などをしてくれれば、その時にどうして彼女のミスが多かったのか理解できたんでしょうけど。。。
(視聴率目当てでしょうから戦術の解説などしてくれないでしょうね^^;)

おかげさまでバレーの戦術について興味が沸いてきました。
ありがとうございます。
by あまれっと (2007-11-16 00:59) 

rio

>あまれっとさん、私もリンクを張ったT.W.さんのブログによくおじゃまして勉強しています。戦術が分かるとさらに見るのが楽しくなりますよね。今日みたいな試合だと「楽しく」はありませんが(笑)
by rio (2007-11-16 01:08) 

madoka

郎平監督、恐るべし…。
なんなんでしょう、あの威圧感!ただベンチに座ってるだけで、「参りました」と土下座したくなるような…(笑)。
しかも、そんな緻密な作戦を立てて来てたんですね。たかが日本ごときに。
今日は1セットでも取れれば上等、と思っていましたが、わたくし、大甘でございました。
赤子の手をひねる、とはまさにこのこと。
栗原は大体いつもあんな感じだからまあ置いといて(笑)、高橋と木村のどちらか1人が潰れたら日本は終わり、ということが、非常にわかりやすく表れた大会でした(ってまだ終わってないけど)。
北京に向けて、どういうメンバー選考をするのか、楽しみ…というより頭が痛いですね…。

ところで、私も「多治見がアップをしています」というベンチレポが入ったときには、てっきり木村と交代させるものと思って疑いませんでしたが………杉山かーい!!!
めったに動かないけど、たまに動くと度肝を抜くようなビックリ采配を見せてくれる晶ちゃん。
郎平に弟子入りしたら?
by madoka (2007-11-16 01:09) 

rio

>madokaさん、前に立っただけでハンマー打ち下ろされて土下座の体勢にされそうな威圧感がありますよね。アメリカ監督になったときは中国内で相当、反発があったそうですが(ちょうどシンクロの井村監督みたいに)、そんなことぐらいには動じなさそう。

専門的にみたらもっといろいろアメリカの作戦はあったんでしょうけど、私が見た程度でも記事にした2つはわかりました。でも、ローテを回した意味の解説を求められた大林は「相手ブロックとかとの相性もありますし」というようなコメント。。。最後の砦がぁぁぁって感じです。

興味深いのは、高橋と木村で、木村を潰しにかかったことですよね。高橋をおさえにかかったポーランドが競り負けたことも、よく研究していたんでしょうか。確かに、前衛の攻撃しかない高橋と、前も後ろもある木村だと、チーム全体の攻撃枚数を減らすには木村を潰したほうがお得です。

「杉山かーい!!!」って叫びました、私も(笑)。あちこちブログをうろうろすると、同じようなことを叫んだ方がけっこういるみたいで。なのに試合後、ショウちゃんはあの采配を自画自賛。。。涙ちょちょぎれました。
by rio (2007-11-16 01:24) 

コウ

rioさん、毎度毎度本当に分かりやすい解説ありがとうございます。
この記事を読むとまさしく郎平監督おそるべしですね。
それをちゃんと実行できる選手もすばらしいと言いざるを得ないのが悲しい・・・。
交代要員のいない日本はぬけだせない蟻地獄状態(ToT)
1セットくらいは取ってくれるかと思っていましたが、結局最後までなす術がなかったですね。何のための監督なのやら・・・。杉山を多治見に代えたくらいじゃ雰囲気がちょっとよくなったくらいでした。
木村は好きですが、ああいった場面で木村に代わる選手はだれかいませんか?、一番崩れやすい木村が狙われるのは毎度のことで、そういった時に少しでも冷静になる時間をあげて欲しいなって思います。あれじゃあ木村も可哀そうです。それでもコートに立たせ続けることが彼女にとってプラスになるのならいいのですが・・・。私には分かりません。
by コウ (2007-11-16 01:30) 

rio

>コウさん、いまの12人の中で、ぎりぎり木村に変われるとしたら多治見だけだったんですよね。庄司もサーブカットの経験値が少ないでしょうから無理。多治見はサイドアウト制のころからやってますからサーブカットもある程度できるはずなんです。なのに杉山と。。。

このブログでしつこいぐらい何度も言ってるのですが、大友愛がいれば全然違う戦い方ができたと思います。ブラジル監督に「大友が抜けたのは痛い」と指摘されていますが、まさにその通り。

柳本監督の立場からすれば、4年前よりいまのほうがいいといわざるを得ないのでしょう。しかし、選手層もモチベーションも、4年前のほうが格段に上だったと思います。
by rio (2007-11-16 01:47) 

たく

素人がいろいろガタガタと評論したって...

選手も監督、コーチもきっとあなた方以上に考えてるはずではないでしょうか? それ以上できると思ってる人がいるのだったら仕方がありませんが...

真剣に取り組んでる人を、批判するより それを自分自身に振り返って考えるべきなのではないか...と思ってしまいました。
素直に応援したいものです。

へんな事いってすみませんでした。
by たく (2007-11-16 01:52) 

ここは素人がいろいろガタガタと評論する場

たくさんのようなことを思われる方もいるようですが、私から言わせれば何をいまさら・・・って感じです。ここはここは素人がいろいろガタガタと評論する場です。

真剣に見ているからこそ評論ができるのですよ。今日の試合でどこが良かったのか、なぜ悪かったのか、どうしたらいいのか。非常に専門家的な目をもった素人さんならではに分かりやすく解説してくれるバレーファンの私には非常に参考になるブログです。他の方の意見もきけますし。


全日本である限り、批判される立場にあるのは当然です。選手だってわかってます。
ここで言っても意味がないと思われる方はバレーが本当に好きではない人だと私は思いますし、嫌ならこなければいいだけことです。
批判するほうだって選手たちが真剣にやっているのはわかってます。
その上で、バレーが好きで、強くなってほしいからこそ、良かったところは良かった、悪いところはこうしたらいいと、真剣にいっている人たちがほとんどだと思います。

あなたも上のようなコメントをする前に自分自身に振り返って考えるべきなのでは?
by ここは素人がいろいろガタガタと評論する場 (2007-11-16 02:35) 

rio

>たくさん、確かにへんな事だと思いますが、拝読しました。学生さんなのかな、と感じました。社会人なら、たくさんのような発想はほぼ100%しないと思うので。

「素直に応援したいものです」というのは、与えられたものを鵜呑みにせよ、ということなんでしょうか?だとしたら、そんな薄気味悪いことは私にはできません。

つい先日も、「監督や選手は一生懸命なのに文句言うな」という趣旨のコメントがありました。率直に、こういうコメントって恐ろしいなあと思います。

W杯バレーはボランティアの慈善事業ではありません。監督も選手も「仕事」としてバレーをしているのです。真剣に取り組むのは当たり前、つねに”結果”が求められる世界なのです。

監督や選手が反省を口にしながらも「次また全力でがんばります」と言うのは、「仕事」として「バレーを見せるというサービス」を提供している自覚があるからです。趣味だったら「うっせーよ!やってらんねー!」って逃げ出してしまえばいいんですけど、そうはいきません。

実業団に入って4年目(か5年目)の栗原選手が以前、「一般の会社員ならもう新人なんて言われない年次。そういう自覚を持ってプレーしている」とコメントしていて立派だなと思いました。

しかし、いくら立派なこと言っても、いくら一生懸命でも、結果が出なければ次の日から「いらない」と言われる厳しい世界です。だから、栗原は止められても、決まらなくても、今日もトスを呼び続けたのだと思います。

そういうことを分かっている、ということと、個人のブログでその日のバレーの試合についてあれこれ好き勝手なことを言う、ということとは、まったく別次元の話です。

まずい試合を見れば批判(←誹謗・中傷とは違いますよ)もするし、いい試合を見れば良かったと書く。当たり前のことです。まして、このブログは私の「趣味」で「仕事」ではありません。広告すら張ってません。ですから、私は私のやり方で応援し、思ったことを書きます。
by rio (2007-11-16 02:36) 

どんぐり

いやーアメリカ戦は見てるほうもきつかったなあ、栗原の何度シャットされても首を振りながら低い弾道で打ち込む姿は修行を超えて何か不条理な罰を受けているみたいだったなあ。あれはこの先成長するために必要なのかな。

コート脇で大声を出しすぎて咳き込む名監督の姿が映ったけど、朗平監督の下でアシスタントからやり直したほうがいいんじゃない。この大会の彼女を見てきたけど状況判断、スピード、対処、素晴らしい。ベンチにどっかりと腰をすえて戦況を見つめる姿は戦国武将のよう(見たことないけど)、手に軍配持たしたら絶対似合うね。

やっぱり頭をすげ替えるしかないのかなあ、こんなに切羽詰って?って誰に?河合なんて言はないで。
by どんぐり (2007-11-16 04:44) 

M

はじめて、拝見させて頂きましたが、とても充実感を覚えました。
5年前に、イタリアに出張で行きました時に、現地のコーディネーターとバレー談義になりまして、その後、その方の紹介でローマの五輪記念体育館(こんな感じの名前だと思いました?)で練習をしていた女子イタリア代表を見学することが出来ました。その時の練習風景に驚きました。2面のコートに二組に別れて、一方は、1個のボールをコーチが手に持って、例えば、後衛レフトの選手がレシーブを構えている所にボールを当てて、そこから、他の選手がどう動くのか、特にアタックを仕掛けるまでの動きを、繰り返していました。バレーボールというより、踊りに近い感じでした。あとで
、聞きましたら、フォーメションの同調性を養っているとか。。また、もう一つのコートでは、床に線が引いてあり、スパイカーが打つためにジャンプする位置を少しずつずらしていく練習をしていました。

私は、南足柄市にありました富士フイルムの体育館の練習をみていましたので、それとの違いに驚きました。イタリアは、富士に比べ、とても静かでバレーの練習には見えませんでした。

日本のトレーニングシステムにも問題があるような気がしております。
by M (2007-11-16 07:28) 

通りすがり

rioさんはじめまして。
バレー素人の質問です。

何故栗原をずっと使い続けているのか?
→アメリカ戦の途中から何故替えないのかかなり苛立ちました。
あのままで勝てると監督は思っていたのでしょうかね。
誰にだって相性や調子があります。栗原はアメリカ戦20%前後の決定率ですよ。大山の方が良かったのでは?と思いました。全体のバランスもあるのかなぁ。

本当に159㎝の竹下でセッターは良いのか?
→いつも見てるとブロック意味が無い。はっきりいって穴です。
海外選手より手先が器用な日本人なら、170センチ台のセッターの方が竹下より劣るにしてもベストなのでは?と思いました。だって海外選手も出来てるし。

バレー詳しくないど素人としてお聞き頂ければと思います。
どうでしょうかね。
by 通りすがり (2007-11-16 11:34) 

rio

>どんぐりさん、栗原については、体調、疲労を差し引いても、アタックの技術力不足ですね。アメリカ戦では木村を見習ってスイングを速くしていましたが、そうするとますますパワーも高さもなくなる悪循環。

4年前は「実力もないのに過大評価される」という訴えに説得力があったのですが、世界中で栗原より年下の選手が大活躍している中で、もうそんなことも言ってられません。この4年間で身につけたのはマスコミ嫌いだけ、と言われないよう、まずは技を磨いて安定感を出して欲しいです。

>Mさん、コメントありがとうございます。

アメリカ戦の記事にリンクしたT.w.さんのブログでは、「日本にはトランジションの意識がない」ことが繰り返し指摘されています。Mさんのコメントを拝読して、確かにそういう練習をしていない(と思う)日本のつなぎがまずいわけがわかった様な気がします。

富士フィルムといえば、廃部の際に会社の偉いさんが、「選手たちは子ども、あるいはお付き合いのできない大人」と痛烈に批判したことが思い出されます。その批判が当たっていたのかどうかは知る由もありませんが、少なくともそう見られてしまうような活動だったんでしょうね。

そして、こういう問題(意識の遅れ)は1チームだけじゃなく、バレー界全体を覆っているような気がしています。
by rio (2007-11-16 11:50) 

rio

>通りすがりさん、アメリカ戦に限って言えば、栗原を大山に交替してもダメだったでしょうね。大山は体調が万全ではないので、ジャンプもあまりできていません。長らく国際試合から遠ざかっていたので、試合勘も取り戻せていないと思います。ワンポイントなら相手にデータがなく、高さがあるので仕事できていますが、1セットまかせるとぼろぼろにされるでしょう。

しかし、これまでの格下との試合では、大山(あるいは大村)を使う手はあったと思います。なのにそうしなかったのは、これはもう、監督の手腕というか手法というか、そういうタイプの監督なんですね。セルビアのテルジッチ監督もそうですが、固定メンバーで戦いたがる監督はほかにもいます。セルビアも結局、選手の疲労で負けましたね。。。

竹下のことについてはもう何度もこのブログで書いてきたのですが、私は竹下的なセッターを使い続ける以上、日本はこれ以上伸びないと思っています。

身長がないことでブロックの穴になるのもそうですが、それよりも大切なのはトスアップの位置です。竹下は低いので常にジャンプトスですが、それにあわせてサーブカットをするのは、レシーバーに大変な技術と集中力が要ります。

例えば中国のセッター、ヒョウ・コン(180センチ)なら、強くて高いサーブカットが返って来ても処理できますが、竹下はできません(ボールがネットを越えて相手ブロッカーに押さえ込まれているシーンがよくあると思います)。

強いサーブが来た時、強く返してもなんとかしてくれるセッターと、柔らかく返さないとコンビが使えないセッターなら、どっちのほうがいいか、一目瞭然だと思います。

また、竹下はバックトスの技術が素晴らしいのですが、背が低いために、速いバックトスを出すには上体を反り返らせる必要があります。これでは、いくらトスそのものが速くても、相手アタッカーに「バックトスを出します」と教えているようなものです。コミットブロック(アタッカーの動きを予想して飛ぶ)ならかわせても、リードブロック(セッターの動きを読んでボールを追いかけて飛ぶ)だとばればれになってしまいます(だから、ブロードがブロックされたり、ワンタッチかけられたりします)。

さらに、すべてジャンプトスなので、疲れてくるとジャンプ力が落ち、トスに微妙な狂いが生まれてきます。

竹下を評価する人は、トスの技術とレシーブ力を理由に挙げます。しかし、セッターならこの2つはあって当たり前。竹下がほかのセッターより優れているとしても、それ以外のマイナス面のほうが大きいと思います。

日本は中西のあと、永富、大貫と170センチセッターを使ってきました。しかし、大貫がアタッカーからの転向(しかも本人は不本意だった)だったためにしっくりいかず、その反動で竹下に走ってしまったのだと思います。

そして「エース」高橋。。。アメリカ戦ではっきりしましたが、高橋に前衛で多少打たれても、強豪国はどうってことないんですね。
by rio (2007-11-16 12:20) 

にこたま

久々に、面白いブログを見させていただきました。

日本女子バレーは、いつもテレビの音量を落として(笑)
見てますが、アメリカ戦は点差もそうですが、惨敗だった
と思います。

シドニー予選のころよりは、強くなっていると思うけど、結局
日本は世界に追いつくんだけど、さぁ試合となると世界は一
歩先に行っているという感じですね。日本の特長を生かして、
っていっている割に攻めが単調で、読まれてますもんね。逆
言えば、そうなるように仕向けているんだと思いますね(イタリ
アとアメリカは)。さて、最後はブラジル戦ですが、私は以前から
ブラジルが一番強いと思ってたんですが、今回はやや不調ですが、
日本に一セットぐらいはとってほしいねぇ。
by にこたま (2007-11-16 12:46) 

rio

>にこたまさん、ブラジルは今回もまた、「無冠の女王」記録を更新してしまいましたね。90年代に大ブレイクし以来、ずっと世界のトップクラスですがあと一歩及ばない。なんなんでしょうねえ、これ。

日本はバックアタックを打てないサイドを使っている時点で、アメリカ、ブラジル、イタリア、ロシア、中国、キューバといった強豪に勝つ気がないと言われても仕方ないと思います。。。

さて、きょうのブラジル戦ですが、日本は戦う動機がないですからねえ。賞金大会でもないので、5位でも6位でも7位でも大差ないし。一方、ブラジルは切符かかってますから、1セットも落とさない気迫で来るでしょうね。

ぼろんぼろん連続失点する日本を見ていると、正直、期待はできないなあと思ってしまいます。
by rio (2007-11-16 13:00) 

メロ

rioさん初めまして。
イタリアとの差にため息が止まりませんよぉ
そして易々と簡単にものにしてしまう郎平監督。
あまりにも納得できる采配で全日本が赤子のようです。
どうして日本にはそういうすぐに切り替えられる対応できるバレーが
出来ないんでしょうか?
選手選考の時点、もしくは軸選手を決めた時点で順位は確定されていたんですね。
rioさんの竹下についての指摘の通り
私自身、中、高と低身長のため決められたセッターで才能無く散りました。
どんなに練習してもチーム全体に負担を増やすプレーしか出来ませんでした。
「イケる!大丈夫!気にするな」という馴れ合いチームは部活レベルだと思います。
お互い遠慮なく指摘し合えるチームでなければ成長しない気がします。
一時徴集ではなく、思い切ってVリーグ免除(?)で、ずっと全日本でいる限り、寝起きを共にするチームというのはどうでしょ?どこかの国みたいに。
アホですみません。

私も大友がいればと妄想してしまう一人です。。。
バックブロードも面白かった。
by メロ (2007-11-16 14:10) 

とも

初めまして、とても面白かったです。。
確かに竹下や高橋は優れてるとこもありますが、大きな穴の有る選手
だと思ってる一人です
よく外国の監督は褒めてますが、裏を返せば対策とりやすいので
外さないでくれと言う意味で捉えています(笑)
by とも (2007-11-16 15:12) 

rio

>メロさん、イタリア戦のときは、私は最後、ぶち切れてしまいました(汗)。

いくつかのブログで、イタリア戦について、「日本もデータバレーを徹底すれば勝てる。高さは問題じゃない」という記事がありました。身長差がそれほどないイタリア相手に、解説陣が「日本は悪くない」と言いつづけたからでしょうねえ。いつになったら幻想から醒めるのやら。。。

日本はいい加減に、低い=セッター、高い=センターという発想をやめるべきですよね。いまの、というよりここ10年の全日本女子はずっと、その影響をもろに受けていて、センターはごろごろ、セッターは低身長、サイドは人材難、という。。。

竹下、高橋について各国の監督が「絶賛」し、「警戒」するのは、あの2人がいなくなって日本が高い選手をそろえてきたらやっかいだからなのでは、なんて疑ってしまいます。

私は女子175センチ以下、男子185センチ以下で、リベロなし・サイドアウト制の”オールド・バレー”を復活させればいいと思っています。ちゃんとW杯も世界選手権も作って。そうすることでいろいろなスタイルのバレーを誰もが楽しめるようになりますし。

大友のパイプ(バックブロード)は男子レベルに近づいてましたよね。復活してほしいなあ。
by rio (2007-11-16 15:26) 

rio

>ともさん、竹下・高橋について、ちょうど私もそう思って書き込んだところでした(笑)。

アメリカ戦について、栗原・木村が高橋並みの速さで打てればいい勝負ができる、という見方もあると思うんです。でも、のびしろわずかなその部分を磨いても攻撃枚数が増えるわけではないですし、サーブカットがラクになるわけでもないですよね。

セッターの低さを指摘していた柳本監督がなんで竹下を使い続けるのか。アテネ五輪本番でいきなり高橋を下げておきながら、アテネ後はなんで高橋にこだわり続けるのか。不思議です。
by rio (2007-11-16 15:42) 

madoka

私も大友がいればなあ、という気持ちは同じですが、正直rioさんほどの期待は持ってません。
速攻以外のスパイクの時は常に「ぶら下がり」気味で、打ったあとは必ず床にお尻がつくほどしゃがみこむスタイル(筋力不足?)。
「2段トスも打てる」と言っても、「なんとか打てないこともない」という程度のレベルだったような記憶しかないのですが…。
(パイプが男子レベルに近い、というのは、「速さ」の話ですよね?まあ、速いだけでも、今の全日本女子レベルでは十~分御の字なんだけど^^;)
それから、なんといっても精神面が…。不安です(笑)。
とは言っても、センターもライトもできて、つなぎやレシーブができて、しかも人気がある(残念ながらこれ、日本では大事な要素ですから…)というだけでも、大友は貴重な存在ですよね。

私は佐々木に戻ってきてほしいな。
柳本監督との軋轢とか(うわさでは)あるらしいけど、今の状態では、全日本に必要なのは柳本監督か佐々木か、といったら、佐々木でしょう(笑)。
by madoka (2007-11-16 16:13) 

rio

>madokaさん、もちろん「速さ」の話です(笑)。まあ、筋力に関しては、あのころは木村はもちろん、栗原もよくしゃがみこんでましたからねー。片足着地でどっしり立てたのはあの世代では大山だけだった気がします。2段もパイプも練習を始めてやっと実戦で使えるぐらいまできたところでの引退でしたから。精神面の不安定さはねえ…だからサーブ入らないし(笑)。生い立ち的なところもちょっとあるのかも(だから引退?)。

シュミレーションまでしてたんですよ、あの頃(笑)。高校生だった木村をセッターにして、サイドが栗原、大山、大友。センターが杉山、荒木。平均身長が185ぐらいあるスタメンで、スーパーサブに佐々木、守備固めとピンチサーバーに高橋をいれて。若いし、北京でメダルとれるんじゃないか、そうなったら北京まで応援に行くか、って(笑)。

断片情報からの推測なんですが、柳本監督の求心力ってアテネの時点ですでに無かったんだと思います。だから監督は辞任を口にしたし、大友は引退、佐々木の妹分だった栗原も全日本を辞退してみたり。結局、栗原は戻ってきましたけど、佐々木は辞退を貫いてますよね。

そんな中で、当初は呼ばないか、かせいぜい控えにするつもりだったはずの竹下・高橋に軸足を移さざるを得なくなったのでは、とにらんでいます。

佐々木にしても栗原にしても、セリンジャー・チルドレンにとっては、いまだにNEC的なバレー(あるいはユニチカ的なバレー)を追求している全日本に価値を見出せないのかも。

まあ、いずれにしても柳本監督は北京までで、竹下・高橋が呼ばれることももうないはず。そのあとを引き受けたがる監督がいるかどうか疑問ですが。。。私としては、マネジメント能力も専門知識もコネもあって、優しい顔なのに実はめっちゃ怖い三屋さんにやってもらいたいなあ。コーチはあえて、中田久美ではなくヨーコ・ゼッターランドで。
by rio (2007-11-16 17:07) 

madoka

三屋・ゼッターランド体制、いいですねえ~。
でも2人とも「理性」の人だから、中田姐さん(ターミネーターのテーマが日本一似合う女w)の「熱さ丸出し」な部分も捨てがたいところです。

今、「ハイライト」で益子が、「正直、世界との差、課題が見えた大会だったんですが、この悔しさをバネに頑張ってくれると思います」って言ってますけど(台本だから益子に罪はないとはいえ…)、このデジャヴ感!
オリンピックのあとにも、全く同じセリフを聞かされるんでしょうね。
台本によると、「柳本監督は北京でメダルを取るためのシナリオをもう書いている」そうですよ。どんなシナリオなのか、興味津々ですけど(笑)。
by madoka (2007-11-16 18:14) 

hiro

佐々木はおろか栗原も辞退していたことがあったのですか?ビックリです。
セリンジャーの影響が強いのでしょうか。
佐々木は今回も呼ばれたけど辞退しているのですかね・・・。
色々あるのだとは思いますが、日本代表を辞退する人がいるなんて何か悲しいですねぇ~

大友は個人的には高橋のような明るい人だと思っていましたが、いろいろあったみたいですね。木村セッターでサイドが大山、栗原、大友見てみたかった~。
by hiro (2007-11-16 21:08) 

rio

>madokaさん、いやー、三屋さんは熱いし怖いっすよ(笑)。コーチングキャラバンの映像見たことありますけど、まじで「鬼」だと思いました。中田姐さんと組んだら、選手たち毎晩うなされそう。

柳本監督も言わされてるんでしょうけど、大会前に「これが現時点でのベスト12」と言っていたことだけはしっかりと確認しておきたいですね。言ってることと采配がちぐはぐじゃないか!と。

>hiroさん、夢のオーダーでしょ?中国のような高さとスピード。4年間で現実はなんでこうなってしまったのか。。。

栗原は辞退のあとにケガをして、呼びたくても呼べなくなったので、3年間のブランクはなんとなく「ケガ」ってことにされてしまってます。が、一度は辞退したのでした。
by rio (2007-11-17 02:51) 

azu

初めまして、rioさん。いつも興味深く読ませてもらってます。
私は個人的に栗原のファンなんですが、全く攻撃が決まらなかったですね。
栗原は今大会びっくりするほどクロススパイクばかりでした。
特にボコボコにされたアメリカ戦ではストレート0本!!
誰もアドバイスも何もしないんでしょうか?竹下のトスが不安定で短かった
りしたせいもあるんでしょうけど。
監督の采配、選手選考、起用法は皆さん散々書いてるので触れないですが、どうもこのチームまとまりが無い気がしてなりません。
一度失点しだすと止まらない止まらない(笑)タイム取っても監督も呆然としたままってのが何回もありました。
私は女子の扱いが解らない柳本監督が、自分よりな高橋、竹下にチームのことを丸投げしてるような気がします。
でも2人ともまとめ役って感じじゃないんですよね~。
できれば苦しい時とか、たるんだプレイをした時に、鼓舞したり、引き締めたり出来るキャプテンが欲しいな~。
まあこの体制が北京までは変わらないと思うので、せめてチーム1丸となって強い相手に立ち向かう姿を見せて欲しいです。
p.s全日本レベルで三角レシーブって練習は必要なんでしょうか?
by azu (2007-11-17 20:11) 

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