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東京大空襲/日テレは何をしたかったのか [レビュー]

日テレ開局55周年ドラマと大々的にキャンペーンされてた『東京大空襲』、がまんして2夜連続で見ました。時間の無駄でした…orz 日テレのHPでほとんど情報がなかったのは、日テレ的にも「これはだめだ」ってできだったからなのではと妄想してしまうほどでした。おなじ開局記念モノだったら、テレ朝がやった『点と線』のほうが圧倒的に良かったと思います。

まず、脚本がどうしようもない。戦争モノに若者たちの恋愛群像劇をぶちこもうとしたせいで、時代感覚がまったく感じられない安っぽいドラマになってしまってました。やたらと見つめあいながら臭いセリフを言い、そのあとに爆撃や機銃掃射で殺される、というワンパターン。東京大空襲のドラマって言われても、大滝秀治のナレーションがなかったらわかんねーよ!と毒づいたりして。

まあ、最初からナレーションで「これは愛の記録である」ってな具合だったから、だったら設定が東京大空襲である必然性はなかったんじゃないの?って感じです。長い年月をかけた取材と情報収集に基づいた「あり得たはずのフィクション」という触れ込みでしたが、だからってそれを羅列したら真実に近くなるのか、という基本的なところで間違っているドラマでした。

時代考証もあちこち謎だらけだったし、女優はみんなばっちりメイク、着物はきれいで赤ちゃんは栄養状態満点で、映像はCG丸出しで。大体、テレビドラマで大規模な戦争モノの映像を見せるのは無理なんだって。白黒テレビの時代ならまだしも、ハイビジョンの時代だとうそ臭さが際立ってしまいます。テレビでやるなら、その特性をいかして、セリフ回しで心理状態をきっちり描写するべきなのに。

また、俳優陣がどうしようもなかったと思います。演技と呼べるものをしていたのは、

第1夜の空襲の夜の
真矢みき

病院が焼け崩れたシーン。恐怖と悲しみでパニックになりそうな自分を必死に押さえ、「逃げましょう!」と叫ぶ演技は、このどうしようもないドラマ全体で、唯一、見る価値があった演技だと思います。

しかーし!それを台無しにしたのが浅野ゆう子。なんでこの臭い演技しかできないコメディエンヌに本格派の真矢と同じシーンで同じ演技をさせたのか。真矢で高まった緊張が浅野でだらけ、カメラはまた真矢を写して浅野、の繰り返しで、しまいには浅野が痛々しく見えてしまいました。

第2夜では、ラストの大滝秀治吉行和子、それに死ぬシーン限定の岸恵子森本レオ、ぐらい。

朝鮮人を演じた瑛太は演技力がある(はず)のに、脚本がおかしいのと、演出もまずかったのか、セリフにうまく感情をこめられてなかった(屈折感が中途半端だった)ですね。スパイ容疑をかけられて地下にもぐった朝鮮人役なのに、あんなおしゃれなドレスシャツやベスト(あの時代だとチョッキか)着せられたら、そりゃあ演技もできなくなるって。もったいない。

帰還兵役の麒麟の田村裕が、まったく演技をしていないのに、すべての出演者の中で一番、あの時代にいそうな自然な感じに見えたのが驚きでした。偶然はまっただけなのか、もしかしたら演技の素質があるのか。どうも後者のようなにおいがします。

この手のドラマや映画作りは、今の時代は、中国や韓国のほうが圧倒的にうまいと思います。日本も、東京、大阪、名古屋などの大空襲の生き証人がいる間に、本気で能力と技術を結集して、後世に残る作品を作ってほしいと思います。


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まりふぁな

その番組は観てないんでそれ自体の論評は避けますが。

20年前に「原爆が落ちる前日」を描いた映画「TOMORROW 明日」が作られています。
俺は正直こぉいうの観るの辛いんで普段は極力避けてるんやけど。

その時に…そして今ここで俺がのほほんと生きてるほんのちょっと遠くで、(使われる兵器はともかく)同じように苦しみと不幸をつきつけられている人たちがいる…ってコトには本当に心痛みます。

そういう大切なコトを真面目に練らず『とりあえず「泣いとけ」っぽく作りゃいいやん♪』的なノリでやってしまうコトになんら疑問を持たないなら…
むしろ「お涙頂戴の背景」としてしか感じられなくなってるのなら…この国のメディアの民度ってのはほんま泣きたいぐらい堕ちて逝ってるんでしょうね↓

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD17999/index.html
by まりふぁな (2008-03-19 00:56) 

rio

>まりふぁなさん、『TOMORROW』は観たことなかったです。桃井かおりが出ているとあらば、チェックしないわけにはいきません!最寄のTSUTAYAにあるかなあ。

記事では中韓をちょっと持ち上げましたが、両国とも真面目なふりしたどうしようもない映画をやまほど撮ってますし、たぶんドラマも。でも、その裾野の頂点には、これ!っていう決定版が必ずありますよね。

日テレのドラマ化が発表された時、ヒロシマ、ナガサキ、オキナワは繰り返し描かれてきたけれど、東京大空襲を正面から取り上げたものはほとんどないということ、そして東京大空襲の被害者たちが国を訴えた裁判が継続中であることが語られたと記憶しています…が、その志が実現できたとはお世辞にもいえない出来でした。

ハリウッドの『プライベート・ライアン』や韓国の『ブラザーフッド』みたいにやれば戦争を描いたことになるのかというと、そういうもんでもないと思いますが、映像技術や俳優の演技はともかく、せめて脚本だけはしっかりしてほしいと思います。

by rio (2008-03-19 01:18) 

うりぼん

こんにちは。私も本編は見ませんでした。チャンネルを切り替える途中でrioさんがおっしゃる「空襲の中で見つめ合う二人」はちらっと見えました!
麒麟の田村は確かに昭和の風貌かも。いいキャスティングですね。

数年前NHKで東京大空襲の生き残りの人に絵を描いてもらい話を聞くというドキュメンタリーをやっていて元看護婦さんが出てきました。当時は堀北真季より若いくらい。「どうにか助けようとしたけどどうにもできなくてみんなを死なせてしまった」と淡々と話していたけど見ていてかなり泣きました。

今、元気で体験を語れる人は当時せいぜい20才かそれ以下なので、視点は限られますが後の世代に引き継いでほしいです。

かく言う私の母も戦争体験者です。スプラッタ映画なんか「私、空襲体験してるから」って全然平気です。

大空襲や原爆はドラマにされやすいですが、実際は食糧が調達できなくなることによる飢餓(単なる空腹とは違う)の方が切実だったと思います。ペットなんて当然飼えません。戦中戦後、常に食べ物のことを考えてたという人は多いです。地味に食糧難のドラマとか...作るはずないですね。

by うりぼん (2008-03-19 06:56) 

rio

>うりぼんさん、悲しみの表現はひとそれぞれですが、目の前で突然、悲劇惨劇が起きたとき、日テレのドラマみたいに誰もが大げさに泣き叫んだりするわけではないと思うんですね。

さらに年月が経過したのちは、泣き叫ぶ様子を見せられるよりも、起こったことを淡々と聞かされるほうが胸に迫るものがあると思います。そういえば、『はだしのゲン』も原爆の悲惨な描写は最初だけですよね。あとは被爆後、敗戦後の悲惨さと一縷の希望が描かれていくわけで。

小説では食糧難の時代がさまざまに語られていますが、映像ではあるにはあっても、決定版は見当たらないですね。活字向きのテーマ、ということもあるのかもしれません。食糧難の映像を取るために、俳優陣やエキストラに栄養失調になってもらう…というわけにもいかなさそうですし。


by rio (2008-03-19 16:28) 

YM

見ました。
同じ感想を持ちました。

10日にTBSで仲村トオル主演で同じタイトルの番組をやっていましたが、それは生存者の証言やらB29に乗っていた爆撃隊員の投下の感想やらを織り交ぜていい番組に仕上げられていました。
“焼夷弾”の仕組みから、なぜ逃げられなかったのかなど、よく準備をしたことが伺える内容でした。

だから期待していたんですよねえ、なにせ開局記念の二夜連続ですもの。
でも第一夜で主人公がハアハアしながらよどみなく台詞を言ってるのを見て、ああ、だめだこりゃ、って思っていました。
でも二夜連続だからいくらかは・・・・・と思って最後まで見ましたが、二夜目の後半なんか、ああ、もう監督は息切れがしてるなあ、っていう感じ。
焼夷弾も何も関係なし。

いつもは心の中で突っ込みを入れる私ですが、焼け崩れる病院の下敷きになって死んだと思われていた医者が生還した場面では、“火傷もなし?”。
誰も助けに行けないほどのところに動けずにいたのに。 
戦火の中に現れた男性の顔はススもなく帽子は真新しく正しくかぶっている。 “へ?”
汗と垢と汚れで着の身着のままのはずなのに真っ白な下ろしたてのようなシャツ。 “嘘やろ!”
とどめは汽車の中で亡くなった男性。 まさか上空からの空爆とは・・・・。 弾は横から入ったようになってたのに。 “不自然だっつうのっ”
いやはや。
私は脚本もさることながら、監督の責任が大きいように思ったのですが。
出演者かスタッフか、誰か教えてあげてよ、顔や服を汚したほうがいいんじゃないですかって。
最近多いとはいえ、突っ込みどころ満載のドラマでした。

で、その時思ったのは、日テレも出来上がってから創りなおせとは言えないんだろうなあということ。
時々はドキュメントでいい番組をやる局だと思っていただけにかなり失望しました。




by YM (2008-03-19 20:47) 

rio

>YMさん、私も同じところつっこみまくりでした。

TBSはかつて、「報道のTBS」「ドラマのTBS」と呼ばれてました。「報道のTBS」はオウム事件を境に死に、いまでは惨憺たるものです。しかし「ドラマのTBS」のほうは衰えたとはいえ、まだなんとか、命をつないでいるようですね。

それに比べると、日テレはドラマに関してはいまいちですね。『家なき子』から『ごくせん』『女王の教室』のヒットまでの間隔が約10年。よほどドラマに人もお金も使ってこなかったんでしょうね。最近では『斉藤さん』がちょっといいみたいですけど、やっと他局に追随することを決めたのかも。

それにしても、医者役の岸谷五郎がなんでもない顔して第2夜に登場したのには鼻が垂れそうになりました。しかも掘北が「先生が手術をしてくださらないのですか」と聞いた瞬間の、わざとらしい聴診器の落とし方(笑)。演技派のプライドが高い(らしい)岸谷がなんでこの役を引き受けたのか謎です。

服装はほとんどきれいなままで、白衣や割烹着は真っ白。顔にススがついている場面で、メイクでテカってるもんだから、楽しげにしか見えなかったですよね。

列車のシーンは空爆ではなく空からの機銃掃射で、平屋の家すれすれまで低空飛行して狙い撃ちすることは実際にあったそうです。

ただ、あの場面では、横から来た銃弾が進行方向を背にして座っていた人間のひたいのど真ん中に命中したという設定になってましたよね。物理がまったくだめな私でも「可能性は限りなくゼロに近い」ってことぐらいはわかりました。

テレ朝の『点と線』に比べ、宣伝に時間も金もそれほどかけてないように感じたのは、やっぱりそれだけの自信がなかったのかもしれませんね。
by rio (2008-03-19 22:07) 

Yuichi

 rioさんこんにちわ。自分はその番組、途中から30分程見て「こりゃダメだわ」とチャンネル変えてしまいました。ホントその前のTBSの仲村トオルの物がかなり良かっただけにガックリでしたね。
 あくまで私見ですが、何がダメだったかって、登場人物が皆キレイすぎるんですよね。あの空襲の中、ロクに風呂も洗濯も出来ないでしょうから、まず服はズタボロ、髪はボサボサ、手肌もガサガサ、アチコチに生傷等々であったろうなってのは、当時の記録写真などからも容易に想像つくハズですよね。やはり出演者に気を使ってあんまし「汚れ」のイメージを付けないようにとやったのが、かえってシラけさせる結果となったように思います。
話は飛びますが、例えば以前あった吉永小百合主演の映画「北の零年」なんかもそう。あの当時の北海道の住宅事情と冬のつらさの中で、なんでアンタそんなにキレイでいられるの?って感じ。(ちなみに私、北海道です)
その反対に「北の国から」シリーズがウケたのは、多少誇張はあるも、登場人物のナリや生活に、殆どウソはなかった(地元の者が見ても殆ど違和感が無かった)ことだと思ってます。
毎度、つたない話ですいません。
by Yuichi (2008-03-20 11:23) 

rio

>Yuichiさん、30分で切りましたか。すばらしい!いやー、だめなものは最後まで意地張ってもだめですね…。勉強になりました。

私も『北の零年』見ましたよ。札幌に住んでいたことがあって、野幌の開拓の村がお気に入りだったので、あの時代の話は見逃せない!と思って。いやー、駄作もいいところ、カネと資源と俳優の無駄づかい、という映画でしたね。

吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、香川照之、吹越満など随一の名優をそろえながらあの出来…。風の噂で聞いたんですが、あの映画、製作中に資金難で行き詰って、創価学会が支援したのだとか。その結果、石原さとみが出ていることもあって、興行的には成功したそうです。あくまで噂ですが。

好きな題材だけに、『北の零年』のひどさを思い出すといまでも熱くなって文句を言いまくってしまいます(笑)。チャチなセット、キレイな服装、拙い方言、そして何より、手塚治虫の『シュマリ』などあちこちからパクリまくった脚本。よく訴えられなかったなと思います。

吉永小百合は日本アカデミー主演女優賞を取りましたが、あの映画を海外に持っていけばきっと、酷評されるんでしょうね。
by rio (2008-03-20 13:48) 

ピピ

このドラマは見ていませんが、昨夏に「はだしのゲン」のドラマを見ました。
結局のところ、テレビ局が作るものは「トレンディ・ドラマ」が主体で、
そこから逸脱できないんでしょうね。
俳優さんたちは、もんぺ姿でも綺麗で、華奢で、おしゃれでなくてならないんでしょうし(笑)
いくら戦争ものでも、見るに耐えないものは作れないという発想なのでしょう。
若者世代にウケなくては、という意識が強いのでしょうね。
若者たちが「げっ、何あれ?」っと感じても、
そういう悲惨な、見るに耐えないものが戦争なんですけどね。

こんなに豊かで立派になった日本で、そもそも日本人が今さら、悲哀に満ちて、生々しく戦争というものを振り返る必要ないじゃん、っていう考えが主流なのではないでしょうか。
少なくとも、『一般常識』として自分たちの国が発動した戦争であることは記憶に留めておいてほしいですが。
政府、マスコミ、世論か、一体、誰の責任なのかはわかりませんが、そこら辺にとても薄っぺらいものを感じます。


by ピピ (2008-03-20 19:16) 

rio

>ピピさん、戦争ドラマがいまみたいな形になってしまったのは、制作の現場に体験者がいなくなったことが大きいでしょうね。

体験しないと作れないというわけではありませんが、少なくとも体験者がいた20年ほど前までは、もっとしっかりとしたものを作っていたと思います。

10年前に制作されたテレビ東京の『小石川の家』でも、今回の日テレなんか足元にも及ばないような空襲シーンがありました。といっても、画面は幸田露伴役の森繁久彌と幸田文役の田中裕子だけ。空襲の音が聞こえて家が揺れるだけの演出です。見るに耐えないものは一切出てきません。

しかし、そういう場面で、東京から逃げる、逃げないで父娘の意見が食い違い、非常に切迫した会話が交わされるのですが、戦争そのものへの強い怒りの共有と、命のあり方・人生の美学への違いを浮き彫りにする名場面でした。

日中戦争を背景にした名作映画では、張芸謀監督の『紅いコーリャン』がありますね。映画の中で日本軍の残虐シーンが数ヶ所描かれていましたが、その場面よりも、戦争そのものの恐怖をよく描写していたのはその前の場面、一面のコーリャン畑がある日突然、ザクザクと踏み潰されて整地されていく場面だったと思います。

見た目の悲惨さ、残虐さは、繰り返し見せられているとそのうち慣れて、不感症になってしまいます(日テレのドラマが典型ですね)。その結果、さらに激しく、さらに刺激的にと映像がエスカレートし、かえって見る側の想像力や感受性を奪ってしまうことがあると思います。

見るに耐える映像で戦争の本質を考えさせるような作品も作れるはず。それには予算よりもまず、制作者の姿勢・覚悟と能力が必要だと思います。日テレにはそれがなかったんでしょうね。

なお、私はいわゆる「日中戦争」が日本による中国への侵略であったことを肯定しますが、それだけで説明できる戦争ではないとも考えています。さらに、日本や中国を含め、現時点で「大国」となっている国で、侵略をしたことがない国はほとんどないことから、「この戦争についてはどこの国がどうだ」ということは、それほど有意義なことでもないと思っています。20世紀型の戦争はいずれも、国際”裏”社会の駆け引きに負けた国が先に引き金を引かされる仕組みになっていたと思うからです。

それはともかく、中韓の対日政策が融和の方向へ転換したこともあり(そして、小泉・安倍ラインがひとまずつぶれたことにより)、日本の歴史認識は5年前より正常な方向へ向かっていると思います。…って、日テレのドラマを見てしまうとそう言い切る自信が揺らいでしまいますが。。。


by rio (2008-03-20 21:11) 

ピピ

>見るに耐える映像で戦争の本質を考えさせるような作品も作れるはず。それには予算よりもまず、制作者の姿勢・覚悟と能力が必要だと思います。

rioさんのご意見はその通りだと思います。
一番、失望させられる点は制作者の姿勢・覚悟と能力のような気がします。
『紅いコーリャン』は、私もかなり昔に日本の映画館で観ました。
戦争と関係のあるストーリーとは知らず、ただ中国映画を観てみたいというだけで観ていたので、とても衝撃的だったことを覚えています。
中国の人々にとって、日本の侵略について表現、言論することはとても切実なことで、後世の人々や世界中の人に見てほしいから、こういうシーンを描いた映画を作ったんだろうな、と当時は漠然と考えました。

良い映画は、グロテスクなもの、美しいものといろいろあって、絶望と思えるような状況においても、ごく普通の人間が持っている強さを感じたり、凶悪な人物が登場しても、心温まるシーンがあったり....と、観る人が想像できるものだと思います。

『硫黄島からの手紙』は、戦争映画としてはなかなかのものだと感じました。クリントイーストウッドやオリバーストーンが作れるのに、日本の映画人は何故、これぞ決定版という戦争映画を作れないのか本当に不思議です。
日本人の美意識や民族性も関係しているのかもしれませんが、戦争ものについては、抑制をきかせすぎる嫌いがあるのではないでしょうか。

もちろん、ストーリー性がなければいけませんが、そのストーリーに不可欠な残忍なシーンがあると感じます。
例えば、『硫黄島』では、兵士が手榴弾の栓を引き抜いて自決するシーンは顔がぐちゃぐちゃになっていたり、内臓が飛び出たりという、見るに耐えないシーンがありましたが、あの映画のストーリーには欠かせないものだったと思います。あと、空爆のシーンは邦画にはない迫力で、すごくリアルでした。それに加えて、両軍の兵士の心の交流を描いたワンシーンがあり、ただ敵国は憎い、というだけの内容ではなかったところが良かったです。

by ピピ (2008-03-21 22:12) 

rio

>ピピさん、白黒時代の日本映画は名作を生んでいたと思うんですね。『黒い雨』とか『ひめゆりの塔』とか『ビルマの竪琴』とか。

ただ、いずれも”被害者としての日本”で、加害と被害のバランス、東洋と西洋とのバランス、戦闘員と非戦闘員のバランスを意識した映画は、私が知らないだけかもしれないですが、観たことないですね。

イデオロギー的に、右からも左からも抑制がききすぎていたというご意見にまったく同感です。中国映画で似たような例を上げるとすれば、「文化革命モノ」かもしれませんね。文革モノもこれといった作品が少ないですよね。名作と言えるのは『芙蓉鎮』ぐらいで。。。

残忍なシーンが必要かどうかは映画ごと、場面ごとに判断するしかないのだと思いますが、一般論として、私は、残忍なシーンはできるだけ少ない方がいいと考えています。先にコメントした「不感症になる」「想像力が奪われる(低年齢層は映像を事実と混同してしまう)」のがその理由です。残虐シーンには流行り廃りもあって、評価が難しいところですが。

教科書に載るほどの有名な戦争報道写真にも、捏造がいくつもあることがこれまでに証明されています。人間は誰しも(当事者ですら)、より残酷な結末のほうを真実だと思い込んでしまいがちですよね。

残忍な行動は結果であって、その結果に至るまでの心理、そしてそういう心理状態になる「敵」も「味方」も同じ人間なんだという普遍性、そうしたところをきっちり描くことが、反戦の本質に迫ることだと思います。
by rio (2008-03-21 23:56) 

NO NAME

泣いた
by NO NAME (2016-03-05 04:00) 

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