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映画『相棒』、この映画の”関係者”は私たち/ネタバレなし [レビュー]

公開初日の1回目、満席でした。若者から老夫婦まで、車イスの方々も見かけました。エンドロールが終わっても席を立たたない人たちが多く、帰り際の人々はみんな、何かを抱えた表情で言葉少なでした。

この映画の関係者はすべての国民、つまり、私たちです。

映画がほかのメディアと決定的に違うのは、不特定多数の人たちと一緒に、一つのスクリーンで作品を観る点でしょう。そういう意味でこの映画は、映画館に足を運んでみることにこそ意義があります。

8年続いているテレビシリーズでもメッセージ性の強いテーマを何度も扱っていますが、今回はその系譜の集大成と言えます。この映画は、映画の特性を最大限に活かして、直球勝負を挑んでいます。全貌が明らかになった時、映画館のあちこちで咳払いやすすり泣きが聞こえました。そのすべては、おそらく、苦い涙だったと想像します。

テレビシリーズのキャラは健在。俳優陣も息のあった演技を見せ、アクションも充実しています。水谷豊と寺脇康文が宣伝であちこちの番組に出ていたときに、「スタント無しの火のシーンで水谷豊が間一髪だった」と語っていましたが、映像を見るとまさに間一髪。よく無事だったなと思うほどでした。

箸休め的に、笑いの要素やテレビシリーズでのネタへの言及もあちこちに織り込まれています。これも8年間の蓄積があってこそ、ですね。テレビシリーズではこれまで、何人もの脚本家、プロデューサー、監督たちが制作にかかわっていますから、映画はそういう意味でも集大成だといえます。もちろんこれは、コアなファン向けの情報。映画は、テレビシリーズを知らなくても充分に楽しめる内容です。

語りたい感想、体験は山ほどあるのですが、公開初日にネタばらしするわけにもいかないので、いまは控えることにします。一つだけ、先日、尼崎のJR事故の記事で書いた言葉を繰り返します。忘れないこと。それが死者を悼む唯一の方法です。


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コメント 6

大鷲の健

今晩は。
自分は再放送で見ることが多い「相棒」ですが、水谷豊は好きな俳優で、この役に、ぴったりはまっていると思います。
映画は、ここ半年ほど見ていませんが、rioさんがここまでご推奨なら、足を運んでみたいと思います。・・・暇があれば・・・・。
最近はDVD化されるのが早くて、映画を大きなスクリーンで観る喜びが自分のなかで失せてきていたのですが、やっぱり映画館のスクリーンで観るのが一番ですよね。
でも、あんなに宣伝が必要だったのだろうか・・・・・。
(個人的に好きだった「H○RO」の時にも思ったのですが)


by 大鷲の健 (2008-05-01 21:18) 

rio

>大鷲の健さん、水谷豊にとっては25年ぶりの映画主演ですから、宣伝に力が入ってるんでしょうね。

歌も20年ぶりぐらいにやりはじめて、NHKの「SONGS」に出てました。あの歌唱力で出るのは…これまでの出演者にちょっと失礼なのではないかと思ってしまいましたが(笑)。

その中で、「相棒」や「杉下右京」という名前を出さずに、口調だけ杉下右京をやって見せた場面があって、NHKにまで宣伝に来たのか!とびっくりしました。

映画のほうは、たまたま脚本を手に入れて読んでみましたが、いろんな場面がかなりカットされ、すごく重要な部分が付け足されていたことに驚きでした。あらすじや構成は脚本通りですが、脚本通りに撮ったらダメだっただろうなあ。

なんてマニアックに楽しんでいます。
by rio (2008-05-01 22:49) 

古都の侍


いいなぁ~・・・なんてPCの前で羨ましく思っています。

こんばんは。
『相棒』、数あるサスペンスの中でもトップクラスの作品だと思っています。全ストーリー漏れなく観ています。再放送も隙あらば観ています。
ホントの名作って何度見てもいいし、思うことが毎回違う。もしくは改めさせられる。相棒はまさに余韻に存分に浸れる(浸らされる)素晴らしいエンターテイメントだと感じています。
多分、この調子で一気に相棒について語りだすとオールナイトになってしまいそうなので(!?)、一先ずこれくらいにしておきます。

4連休の間で劇場へ足を運べれば、と思っているのですが・・・久しぶりに心から素直に見たいと思える映画である事は間違いないです。


by 古都の侍 (2008-05-02 00:39) 

rio

>古都の侍さん、GW中にひとつぐらいそれらしいことをしようと思って観に行ってきました。

「相棒」は著名人の間にもファンが多いそうですね。ネタに使われている出来事はマスコミ情報の枠を超えるものではありませんが、それを陰謀めいた話に仕立てるのが抜群にうまいと思います。

さらに、「正義感の発露としての犯罪」という構図で犯人の心理を描くのがうまいですね。間違ってもハリウッド的な”勧善懲悪”話にしない。小野田公顕に”政治”を担わせて、杉下右京をスーパーヒーローにさせない工夫も見事です。

なんて、私も語り始めると熱くなってしまうのでした(笑)
by rio (2008-05-02 07:27) 

古都の侍


ようやく・・・「遅いよっ」とツッコミを受けそうですが今日、やっとこさ劇場へ行って観ることが出来ました。

まさしく関係者は「全国民」でしょう。容赦ない批判、その対象は国民に対してとマスコミ(作り手のある意味自己批判)だと思います。開始3分でただならぬ匂いをさせ、それがどうなっていくのか。一瞬で観る側を掴みますね。チェス、謎のファイル、5年前の事件・・・警察、永田町、一般市民、マスコミ・・・2時間でスッキリとまとめるも、観る側へのインパクトは最大級でしょう。
ネタバレなしなので私も本編の内容にかかわる部分ではこのくらいにしたいと思います。

ドラマでの味を充分に引き出しつつ、独立した映画としてもちゃんとした骨太の筋の通った作品に仕立て上げたスタッフには頭が下がります。やられました。

最後にもう一つだけ(←右京風)、まさかあの人(男性俳優のK)が出るとは・・・友情出演でしたけどね。

恐らく、今まで観た映画の中でもっとも素晴らしい作品(観た絶対少ないが・・・)作品だと思います。
これから先、またこのような素晴らしい作品に出会えるでしょうか。


by 古都の侍 (2008-05-18 18:33) 

rio

>古都の侍さん、友情出演は余計でしたねえ。事務所やなんかの絡みなんでしょうか。あの方、いまでは有数の”扱いにくい”映画俳優みたいですね。大物風を吹かせて出る番組を選びまくった結果、仕事が…というパターンみたいです。

『相棒』のスポットCMがいまでも流れてますよね。「人は忘れます。次の事件が起きると、また再び忘れてしまいます」。右京のこのセリフを聞くたびに泣けてきます。

和泉監督は『相棒』劇場版をシリーズ化したい意向だと聞きました。東宝としては空前の大ヒット(過去最高?)らしいですから、2,3年後にはまた劇場版が登場するのではないかと期待しています。
by rio (2008-05-18 19:04) 

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