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政府紙幣をばらまいてもムダだと思うけど。 [けっこう気になる]

算数のできない私が経済のお話なんて冗談にもほどがありますが、ちょっと気になったので書き留めておこうと思います。

自民党を辞めたミッチーの息子や、テレ朝『TVタックル』によく出てくる東洋大の教授あたりが、盛んに「政府紙幣を発行せよ!」と言い続けているためか、ついに与党内にも発行を求める議員の会ができたのだとか。そうそう、そういえば、何年か前に「お前らなんか年収300万円で充分だ!」という若者向けの本を書いて自分だけぼろもうけしたあのおっさんも、盛んに政府紙幣、政府紙幣と言っております。

でもねえ、素人の率直な印象ですが、政府紙幣を発行しても期待通りの景気対策にはならないと思いますよ。理由は、専門家や政治家やなにやら賢げな人たちがあれこれ言ってることとは関係なく、単純に「大半の人は政府も政治家も信用していない」からです。

政府紙幣って、要するにコインの高額バージョンですよね。1円玉~500円玉は政府くんが作っていますが、その上に、「無駄づかい専用の10000円玉を作ろうぜ!」ってなお話。でも、金属で作るとカネがかかるから紙にプリントしちゃえ!っていうノリです。

なんでそんなことをしたがるかというと、日銀ちゃんが出している千円札~1万円札が”しもじものみなさま”の口座に入ったきり出てこないからです。政治家はアホばっかし、企業人は私利私欲に走ってやりたい放題。しかも、小泉・竹中のせいで、クビを切られても内定を取り消されても”自己責任”な時代。そんなすさんだ世の中で、ゆいいつ頼りになるのが日銀ちゃんのお札なんだから、握りしめてしまうのは当然です。

カネは天下のまわりもの。まわらなければ景気は良くなりません。そこで、「政府くんに10000円玉を作らせよう」というのが、のりしお派がごましお派かなんかそういう名前の人たちの主張です。

アメリカの学者がそう言ったからという程度の根拠で、「総額25兆円まで」とかいう数字が飛び交っています。ぐだぐだ給付金が一人1万2千円で総額2兆円だそうですから、単純計算で1人当たり十数万円分。それぐらい作ってばらまけよという要求をしているのです。

それだけでもう、けっこうなうさんくささですが、問題はどうやってばらまくかです。

一番安全なやり方は、10000円玉を担保にして日銀ちゃんから1万円札を借りることです。日銀ちゃんの審査を通れば、世の中の見た目は何も変わらないまま、政府くんは25兆円もの大金を手にできてしまいます。そんでもって、その1万円札をばらまいてめでたしめでたし、という筋書きです。

しかし、日銀ちゃんがそんなあやしげなものを担保に25兆円も貸してくれるわけがないですね。だって、「10000円玉作ってみましたっ!」てなこと言っても、どうやってその価値を信用すればいいのか。信用のよりどころは”政府くんが作った”ってことしかないわけで、その政府くんの脳みそったらアソーが詰まってるんですよ。

アソーはいまのところ反対だそうですが、そういう問題ではありません。普通なら、政府くんがバックにつくと鉄板でOKになるはずですが、いまの政府くんだと「ダメ。危険。やばすぎ」と思ってしまう。ここが大きな問題なのです。日銀ちゃんの脳みそは白川のび太でできているので、「信用するほうがおかしいわよっ」ぐらい思っているはずです。なぜかオネエさん語になってしまいましたが。

そうなると、仕方がないので、政府くんは10000円玉を自力でばらまくことになります。あほらし給付金どころの騒ぎじゃありません。ひとり当たり15枚か、20枚か、50枚か、いろいろいう人がいますが、とにかくすごい量の10000円玉を節分の豆まきのようにまいて、”しもじものみなさま”に拾わせようというのです。

ほとんどの人は、内心はらわたが煮え繰りながらも拾い、生活防衛のために貯金しようとするでしょう。それではダメなんです。貯蓄すると日銀ちゃんのお札と同じになってしまって意味がないからです。

なので、「10000円玉は貯蓄禁止」というルールを作るはずです。「だめだよ」って口で言ってもみんなが守るわけないので、「貯蓄したら罰金ね」というルールもできるでしょう。銀行や郵貯の口座残高に税金をかけるか、マイナス金利をつけるか。やり方はわかりませんが、「貯めれば貯めるほどお金が減っていく」という仕組みをつくらなければ、10000玉は不発になってしまいます。貯めて減るなら使ったほうがマシ、と思わせなければいけないわけです。生物は本能的に大切なものを貯めておこうとしますが、それを無視した大胆な発想です。根付くわけがありません。

しかも。

ここ数年、政府くんがエコエコアザラク攻撃をし続けたせいで、”しもじものみなさん”ほど消費に罪悪感を感じるようになっています。10000円玉を何枚も渡されて「無駄づかいしてよ」と言われても、どうしていいかわかりません。

税金、社会保険料、公共料金、医療費、食費、日用雑貨費、教育費などなどの生活費の支払いにあてても「無駄づかい」ではありませんから、効果は薄いはず。10000円玉を使うかわりに、同じ額の日銀ちゃんの1万円札がタンス預金にまわるだけです。あるいは、10000円玉をさっさと電子マネーや商品券に換えてしまうことも考えられます。貯蓄でも消費でもない第3の方法。キープというか、プールというか。

なので、実効性を持たせるためには、↑この辺にもすべて制限をかけていかなければなりません「税金や社会保険料の支払いはダメ」(=政府くんに戻るだけだから)とか、「電子マネーや商品券に換えられるのは○○円まで」とか。あ、宝くじもダメですね。

さらに、この10000円玉、国内で”カネは天下のまわりもの”をやって景気につなげることが目的ですから、国外に出てしまっては意味がありません。なので、外国産のものを買っても、効果は期待できません。オージーワインで乾杯して、オージービーフを堪能し、オージーウールのセーターをプレゼントしたりなんかすると、10000玉の威力激減なのです。だからこれも規制します。あ、外貨預金もダメですね。

貯蓄したら罰金、生活費にまわしてもダメ、電子マネーや商品券もダメ、外国産のものを買うのもダメ。ひたすら、国産の「モノ」を買い漁って無駄づかいしてね。

この時点でげんなりです。↑こんなに規制だらけにしたら、公明党の地域振興券と対して変わらないじゃないですか。そんな与太話に付き合っているほど、世間はヒマではありません。

中には、「仕方ないから国産のカブでも買いますか」という人もいるかもしれません。企業は一瞬うれしいでしょうが、10000円玉のシバリは企業にも当然かかってきますから、いつまでも手元に置いておくわけにはいきません。「貯めれば減る」んだからババヌキのババのように急いでほかのヤツに押し付けなければいけないのです。

↑こうなると、マネーゲームがどんどん加速していくでしょう。バブルの到来です。結局、10000円玉の狙いはそこなんですね。

バブルは必ずはじけ、痛い目を見ます。しかし、「日本はいまデフレだから大丈夫」とか「目標数値を設定して、そこを超えれば10000円玉を回収するから大丈夫」とか、そういうことを政治家御用学者が言っているのです。信用できますか?

マネーゲームは「投機」です。いわゆるギャンブルです。誰かが勝てば、誰かが必ず負けます。10000円玉を押し付けて勝つヤツと、押し付けられて負けるヤツがきっと出てくるはずです。勝つヤツは最初からカネと権力を握っている人たち、負けるヤツは”しもじものみなさま”。これが90年代のバブル崩壊の教訓だったはずではありませんか。

健全な資本主義に必要なのは「投機」ではなく「投資」で、”しもじものみなさま”が政府に要求していることも、
「生活安定のために、福祉・教育・雇用の分野にもっと『投資』をせよ!」
「そのために、税金の私物化をやめさせ、使い道を変更せよ!」
ということなのです。

↑政府くんがここの部分をきちんとしない限り、「10000円玉あげるから無駄づかいしてね」と甘い言葉でいくらささやいても、”しもじものみなさま”が気を許すはずがないと思います。

”しもじものみなさま”は、机上の空論よりも、それを口にする「人物」を見ていることをお忘れなく。


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古都の侍

こんにちは。

いや~御意でございます。
「世の中のルールを作る人の側になりなさい、ルールは作る人に有利になるように作られるのだから・・・)by『女王の教室』阿久津真矢」と言うような台詞があったように記憶していますが、まったくそうなんですよね~。しもじものみなさま(=ルールに従わざるを得ない人々)が損するようになっているというか・・・
結局のところ、政府紙幣を作ったところでじゃあ何するの?という具体的なものを感じないですし、作ることに意義がある的な流れを感じなくもないんですよね。要するに手柄作りというか。
しもじものみなさまの税金も何に使われているか不透明ですし、「福祉・教育・雇用」という三大問題が改善しているかと問われれば、むしろ悪化していると答えるでしょう。
例えば不況のあおりでリストラされたり切られたりした人を農業・漁業の方面へ人材が行くようなシステムを政府が主導でスピーディーにするとか、そういうことも出来ないんですかねぇ。
殆どの野郎どもが何にも見えてないのが国会なのだろうと思いますよ。

文中に「エコエコアザラク」という懐かしい言葉が見えました。あの映画の主演の方もまた、芸能界で迷走してますねぇ・・・


by 古都の侍 (2009-02-07 17:25) 

まりふぁな

いやいや、いつになく為政者連をおちょくり倒した語り口の端々にrioさんの
憤懣やるかたないお気持ちが溢れかえってますねぇw

それにしてもどんな「カシコイヒト」がこぉいうの提言するんでせうか?
俺もrioさんに負けず劣らず経済シロートですが、そんな俺のアタマじゃ
これって景気浮揚どころか日本経済にトドメ刺しかねん愚策に見えますが。

「そもそも消費に繋がんないでしょ?」なんてツッコミはさておき、発行された時点で
(各種の制約がつくとかはどぉあれ)「円」と兌換するんすよね、コレ?
んでもってその「こども銀行券の親戚」に対する信用はほぼゼロ・と。
てコトは「円に対する信用性」まで無理心中状態で暴落しません?

国内経済だけに限っても、なにしろ信用性がないだけにサブプライム以上の
凶悪な不良債権になりかねへん…ってとんでもなくヤバいブツなワケで。
そんなモンに足引っ張られて「円」そのものの信用性まで落ちるとなると、
いきおい超ハイパーインフレの引き金にもなりかねへんワケで。

…ってかこの場合、発行される額面が増えれば増えるほど名目上の物価が
上がってくだけでしかないよぉに思うんすけどねぇ?

そぉなると、今までしもじものワテクシらが涙目で歯ぁ食いしばってこつこつと
貯めてたいくばくかの貯えも一気に紙くず以下になって㌧でしまう・と。
※一部嘘デス、ワテクシしもじもの一員ですがカネは貯めてませんw

超近視眼的に国内だけざっと流し見てもこんな暗黒の口が開いてるのに、
国際的な状況まで加味したらヤバさ何倍増しか数値化でけませんって。

多少の円安傾向(てか適正化)ならまだしも、国内経済が破綻するほどの
インフレ下じゃ輸出云々どころか国民生活における必要物資の輸入さえも
不可能になるって局面だって否定でけへんと思うんすけどねぇ?
そもそもそんな状況になれば円自体が為替市場から弾き出されてまうって
危険性もあながち杞憂とはいいきれへんのではないか?と。

おまけにそこまで追い込まれたら、多分この国を捨てる輩が個人・企業問わず
ばんばん続出するでしょね。しかも体力のあるヤツから順に。
結果、「国民総貧困層」なんて南米・アフリカも真っ青ってなトンデモな国が
「先進国」の枠内から産み落とされてしまう・と。

ん~~…なんてユートピアな未来予想図 orz
まぁここは「あ~チミチミ、これだから素人は困るね(プ」とかって「天才サン」が
この施策のメリットてかほんまのユートピアな青写真を語ってほしいトコですが。

…でもサブプライムとか作ったのも「魔術師」って呼ばれる「天才」たちで、
自分らだけはきっちり肥えてまんまと逃げ遂せてるんやけどねぇ。

いゃ…だからこそヤツラは「天才」なんやな。 妙に納得。

by まりふぁな (2009-02-08 01:33) 

rio

>古都の侍さん、世の中、カネだけをいくら持っていても”しもじものみなさま”であることには変わりないですよね。ルールを作れるか、作れる人につながっていることが重要な社会ですから。

象徴的なのがホリエモンや小室哲哉ですね。二人の転落の軌跡はまったく違いますが、共通しているのは、「ルールを作る側になれなかった」(ならなかった)ということですから。

かつて権勢をほこった圧力団体がどんどん弱体化し、いまやルールを作る人たちは、政治家・官僚・マスコミ・御用学者でスクラムを組んで鉄壁の守りです。

いろいろやりあっているように見せかけて、すべてコップの中の争い。スクラムの一角がほころびるようなことは絶対にしませんから、改革が進むわけが無いという最低の状況です。

でも、私は悲観していません。”しもじものみなさま”が、「こいつバカじゃねえの?」と思う政治家を選挙で落とす。「こんなマスコミいらねえよ」と思う会社の新聞や雑誌を買わない。番組を見ない。スポンサーに抗議する。などなど、どこか一角に穴をあければ、スクラムは崩れます。

折りしも、アソーが国会で、「郵政民営化は竹中のせいだもんね。俺は反対だったもんね」と口走りました。総選挙は近いでしょう。
by rio (2009-02-08 13:02) 

rio

>まりふぁなさん、おっしゃる通り、日銀の白川のび太や、与野党問わず反対派がいちばん懸念しているのはそこですね。円の信用失墜、見せ掛けの物価高、ハイパーインフレ。

自民党の伊吹は、「こういう政策を考えるだけでも国益をそこなう」「政府紙幣はマリフアナ」と批判しています。このおっさんはまったくもって嫌いですが(料理の腕前はすごいと思いますが)、この発言には賛成です。

先進国で、中央銀行を設立して以降、高額な政府紙幣を発行して経済対策にあてた国はないそうです。日本も、戦時中に軍が勝手に「軍票」を出したり、敗戦後の混乱期に小額の政府紙幣を出したことはありますが、それは経済対策ではなかった(←暴走と混乱の産物)だったわけで。

政府紙幣で経済対策というのは、アメリカの経済学者(ノーベル賞受賞)が言い出し、わざわざ来日して説明までしたそうです。「25兆円」というのもこの学者が試算したもので、日本でわーわー言ってる政治家や御用学者は、それをそのまま繰り返しているだけなんですね。危険です。

日本でこの考えを広めたのは東洋大の高橋(元財務官僚)とかいうおっさんですが、なぜそこまで政府紙幣にこだわるのか。きっとアメリカとのつながりになにか裏があるんだろうと思っています。

この高橋、数年前から政府紙幣の発行を唱えていて、小泉時代に竹中に進言したこともあるのだとか。しかし、あれだけアメリカ服従の政策を取り続けた小泉・竹中ラインでも、政府紙幣の発行は「そこまでの危機的状況ではない」と却下したそうです。

ちなみに、高橋は今日放送された情報番組の取材の中で、「政府紙幣は100度の熱湯。しかし、日本経済はいま氷の状態だから、熱湯をかけても大丈夫」と半笑いで言ってました。

さらに、「失業者を出したくないだけなんです。政府紙幣のほかにいい方法があるんなら、教えてくださいよ」とまで言い放っていました。傲慢ですねえ。頭のてっぺんから熱湯をあびせてやりたい(昼ドラ仕様で)。

ついでに言うと、”賛成派の議員”としてコメントをしていたのが、あの山本一太。はやりものに便乗してテレビに映ろうという意図がありありです。

政府紙幣の発行が景気対策だと考えるおっさんたちは、カネを右左に動かすだけで何倍にもなる錬金術にまだとらわれているんでしょうね。それが日本で破たんし、アメリカでも破たんして、まきこまれた”しもじものみなさま”が辛酸をなめているのに、その苦痛がわかっていないのでしょう。

政府主導で「投機」ブームを巻き起こし、バブルを作り出してタンス預金を吐き出させ、一部の人間に甘い汁を吸わせる。そうなると、政府が「はい、目標達成したので甘い汁はもう終わりです」なんて、独裁国家じゃないかぎり無理ですよね。

90年代バブル末期と同じく、「終了」間際には、壮絶なババの押し付け合いが始まるに違いありません。もちろん、最初にババを手ばなすのは、インサイドの情報を取れる人たち、つまり権力につながっている一部だけ。何もしらない”しもじものみなさま”が大量にババを抱え込み、人生ごとふっとばされてしまうのは目に見えています。

area 71さんがお住まいのノルウェーも含めた北欧諸国は、アメリカとは違う理由で、貯蓄額が少ないそうなんですね。社会保障が充実していて、その分の税金もがっつり払っているので、貯蓄をする必要がないのだそうです。

↑こういう生活であれば、景気の波に左右されず、カネはいつも循環していくわけですよね。アメリカの”しもじものみなさま”のように、値上がりするとだまされて家を買わされ、支払い能力をはるかに上回る額のローンを組まされたあげく、地価が暴落して途方に暮れるということもないわけで。

とまあ、いろいろ書きましたが、言いだしっぺのおっさんですら「100度の熱湯」と言うものを、せーの!で浴びたいかどうか。1秒考えれば答えが出る話ですよね。
by rio (2009-02-08 13:39) 

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