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JALはワンワールドに残るべし。客のためならそれが当然。 [今日のニュース]

“お公家集団”とのあだ名そのままに没落して貧乏華族となってしまったJAL。ついに会社更生法の適用となり、上場廃止で株も紙切れです。

だがしかし。「倒産」ではないんですねえ。あくまでも通常通りに飛行機は飛び、お店は開いている状況での経営再建。はなっから倒産させないことが前提ですから、パタコンパタコンつぶれていく中小企業の方々からしてみたらうらやましい限りだと推察いたします。

ま、一応、公共交通機関なんだからいきなり飛ばなくなったら困るとか、5万人の従業員が路頭に迷い、取り引き企業は連鎖倒産し、日本経済に大打撃になったらもっと困るとか、そういう事情はよくわかるので、今度こそ最後の最後の最後のほんまに最後のチャンスやで、って感じです。

そんなJALですが、実はまだ、ワンワールドに残留してアメリカン航空と組むか、スカイチームに移籍してデルタ航空と組むか、結論が出ていません。

なんのこっちゃ?という方のために。いま、世界の航空会社は大きく3つの航空連合に分かれています。ANAやユナイテッド航空が加盟しているスターアライアンス、JALやアメリカンのワンワールド、デルタやエールフランス航空のスカイチーム。そのほか、格安航空会社(LCC)が個別に存在感を発揮しているという見取り図なんですね。

でもって、日本の場合、国際線を持っている航空会社はJALとANAの2社。これに、デルタ航空に吸収合併された旧ノースウエスト航空が加わり、ちょうど力が拮抗しているわけです。

↑世界の3勢力に呼応して、日本でも3勢力が拮抗。なんて美しい。日本もついにオープンスカイな時代に突入し、これからは個別の航空会社の競争ではなく、航空連合がまるで1企業のように提携・協力して競争する時代です。ANAのマイレージカードを持っている私…だけでなく、お客様からしてみると、拮抗している3勢力が競争してくれたほうが、値段はさがるだろうし、サービスは上がるだろうし、選びがいがあるってもんです。

JALもANAもそして国交省の大半も、当然のごとく↑この方針でいくつもりで、ANAはユナイテッドと、JALはアメリカンと「ずっと仲良くしようね[黒ハート]と約束していたのです…去年の夏までは。

ここからは私の妄想です(ムフ)。信じるかどうかはあなた次第。

ところがどっこい。デルタはそれではガマンならなかったわけですね。「俺だけ相手がおらへんやん!」ってやつです。日本で相手がいないと言っても、デルタは世界最大の航空会社。日本市場でもANAを上回り、JALに対抗できるぐらいで、“1人で生きていけるタイプ”なんだからどうってことないのですが、平たく言えばだだをこねたわけです。しかも、だだをこねるだけでなく、何かと難クセをつけて日本とアメリカのオープンスカイ協議をじゃましまくったわけですね。やだやだ。

そんななか、リーマンショックとかおニューなインフルとかいろいろあって持病が悪化したJALは大ピンチに。そこへしゃしゃり出てきたのがデルタでした。「日本ではアメリカンなんて弱っちぃでぇ~。俺と組んだほうが病気もはよ治るしええんちゃうかぁ~?ぐふふ」なんて。JALとデルタ(旧ノースウエスト)は長年の宿敵同士だったので、デルタにしたら、JALが弱ったいまがチャンス!と思ったんでしょうね。それが去年の夏だったんです。

そんなデルタの言い分を「もっともだ」と思う人物が国交省にいたりもした関係で、個人的にJALに恨みを持っている記者をそそのかした…のかどうか知りませんが、読売新聞がある日、「JALがスカイチームに移籍へ!国交省が主導!」なんていう“大スクープ”を放った、ってわけです。

その時点で、JALはアメリカンとの仲を深めてましたからまさに寝耳に水。国交省も仰天です。アメリカンはすぐさま動いて、なんと朝日新聞に「アメリカンとの提携を模索」みたいな記事を書かせました。←この時点では事実を正確に書いた記事だったはずです。

まさに、新聞記者がライバルに“抜かれる”のを嫌がる心理を利用したメディア操作術。デルタVSアメリカンの泥仕合はここからスタートしたんですね。

JALは何度も繰り返し「ずっと前から好きだったアメリカンがいいのっ!」と叫びますが、そのたびに、「デルタとの提携を進めている」という記事がなぜか読売にばかり出て、JALの叫び声を打ち消すんですよね~。マスコミって怖い怖い。

そうこうしているうちに、読売の記事は、まるでJALとデルタで本決まりかのような表現にエスカレート。それが09年12月ごろで、ちょうどそのときでしたっけ、読売にデルタの見開き全面カラー広告が載ったのは。

そして、その広告が載った数日後、いままで読売に対抗してずっと「JALとアメリカン」説を書いてきた朝日が、いきなり「やっぱ、JALとデルタなんじゃね?」みたいな記事を載せたりして。必殺、手の平返しです。そういえば、朝日は08年度に続いて09年度の中間決算も赤字でしたっけ。

読売は最終的に「JALとデルタに決まったから、アメリカンは諦めて交渉を打ち切ったよん」なんてことまで書き飛ばします。もう、なんでもあり。ルール無視の書いたもん勝ちの世界。そのせいでアメリカンはCEO以下お偉いさんたちが毎日のようにあちこちで会見を開く羽目になり、なんか9.11テロのときに有名になった日系のノーマン・ミネタさんまで、久々に日本のメディアに登場してました。

そんなわけで、国交省の一部とデルタと読売が結託してJALとデルタを強引に結婚させようとしているなか、JALは必死に抵抗し、アメリカンはさらわれて軟禁状態のJAL姫をなんとか奪い返そうともがいている、って感じだと思います。たぶん。妄想ですけど。

なんでこんなことをぐだぐだ書くかというと、理由は3つ。

1、航空連合は“三国志”状態なのに、なんでわざわざそれを崩して、スカイチーム7割、スターアライアンス3割、ワンワールドは日本から撤退、みたいないびつな将来を選らばにゃならんのか。客の立場からすると大迷惑やがな。

2、なんで↑この状態を読売ごときに決められにゃならんのか。広告欲しさにお先棒をかついでると思われてもしゃーないような報道姿勢やのに。

3、デルタと組んでJALがあちこちの路線をリストラしたら、そのままデルタの下働きになっておしまいやで。
デルタはアジア地域に「大韓航空」(←スカイチーム)っていう立派な奥さんがすでにいるんやし。まあ、短期的にはJALは身軽になれるかもしれんけど。

と思うからなのです。なんか言葉が乱れてしまいましたが。

JALは政府が「つぶさない」って言ってるんだから、あえてデルタのもとへ身売りする必要はないんですよ。そんなことをゴリ押ししたら、3年後はよくても、10年後にきっと泣きを見ると思います。「スカイチームはデルタと大韓航空があるんだから、JALの国際線なんていらないんじゃないの?」と言われる姿が目に浮かぶようです。

それよりもアメリカンのもとに残って“三国志”状態をキープしてくれたほうが、客にとってはいいことづくめ。その結果、再建が3年から5年に伸びたって別にいいんです。最終的には再建できるんだから。

なんかくたびれたのでこの辺にしますが、前原国交相と民主政権は、いまいちど、日本の空の将来と客の気持ちを丁寧に考えたほうがいいんじゃないかな。

(おまけ)
そういえば、旧ノースウエスト航空はかつて「ノースワースト航空」なんて陰口を叩かれてましたっけ。デルタに吸収されてちょっとはマシになったのかな?
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KGB

ついつい、おニューなPCを買ったのでネットサーフィンの時間が長くなっています^^

先日のrioさんの記事で「オープンスカイ」なる文字を見て、正直「???」だったのであれこれ調べていたんですが、いやはや世の中にはまだまだ知らないことがあるなぁ、と勉強になりました。

交通行政は根深いですね。乱造された地方空港(特に静岡空港や茨城空港)に関する話だけを聞いていても、その無策ぶりが散見されますし、以前にrioさんが書かれた高速道路建設の記事もそうでした。

国交相の前原くんも就任早々、八ツ場ダム問題でやられてましたが、JAL問題で再び注目を集める機会が来ました。岡田くんや原口くんのように「今まででは絶対に出来なかったであろう交通行政」を見せ付けてほしいですね。

そういや、初の海外旅行(ハワイ)はノースウエストでした。通路の乗客を押しのけて進むKONISHIKI級のCAに度肝を抜かれました。今はどうなんでしょうね。
by KGB (2010-01-20 21:55) 

rio

>KGBさん、コメントしづらい話題に乗ってくださってありがとうございます。

オープンスカイとはなんぞや…ということになるととんでもなくややこしいですよねえ。日本の敗戦と占領、冷戦時代、オイルショック、外資規制と独占禁止法の強化などなどなどの歴史的背景ごちゃごちゃに絡んでいる上に成り立っているわけですが、同時にアメリカの国策でもあります。

アメリカの国策であるからには、アメリカに有利なカラクリがほどこされているはずで、その辺のことに首をつっこむととてもここでは書ききれないほどです。

交通政策はすべて国交省の所管なのに、道路は道路、航空は航空、鉄道は鉄道と縦割りで作ったせいで、すごく効率の悪い状態ですよね。

典型的なのは新幹線と飛行機です。なんで、成田・羽田と東京都心、伊丹・関空と大阪都心が新幹線でつながってないのか。静岡空港の真下にも新幹線が走ってるんですが、なんで静岡空港駅を造らなかったのか。

もとはと言えば、JRもJALも空港もすべて国営から出発しているわけで、その時点で自民党と旧運輸省がまともな政策を進めていれば、こうはならなかったと思います。

いま、国交省の副大臣の辻元清美が「交通基本法」ってのを作ろうとしてるそうです。なにができるのかまったく見えませんが、その前に、社民党は夏の参院選を乗り切れるんでしょうか。
by rio (2010-01-21 23:23) 

カリメロ&パタリロ

オープンスカイ!いいですね、といったところで海外なん行かない私ですがJAL問題は非常に身近な問題です。地元の航空会社がJAL系列になっているのですが、決算は別になるので影響はない、との事ですが密かに心配しています。航空代金が高いので観光が駄目なのか、観光客が少ないから航空代金が高くなるのか、の堂々巡りをしている感がありますが。地元ももっと努力をしないといけないかな?
by カリメロ&パタリロ (2010-01-26 14:56) 

rio

>カリメロ&パタリロさん、決算は別…連結をはずれるということでしょうか?それはそれで大変なような気がします。

JALは開き直って、ありとあらゆるものを「負債」にぶっこんだ感じですねえ。JAL本体だけで9000億円ぐらい借金があるのに、そのうち7300億円ぐらいを棒引きwww。さらに3000億円の資本注入と6000億円の運転資金が転がり込んできたわけで。2月20日で株は紙切れになりますし、もう怖いものはありません。やっぱり元国営企業は違うなーと思ってしまいました。

ちなみに、世界的な不景気の影響で、航空代金はこれでもかなり下がってます。特に国際線。今年からは国際線、国内線とももっと下がりそうな気配です。
by rio (2010-01-27 08:59) 

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