SSブログ

WGP決勝・中国戦 ネット際で戦ったらダメだって。 [バレーボール]

WGP決勝の第2戦、中国に1-3で完敗です。ブラジルから金星を挙げ、勢いで“手負い”の中国も撃破するかと期待しましたが、そこまで甘くはなかったかー。

モントルーのときに荒木田さんが「中国と互角以上に戦える」っていうもんだから、ほんまかいな?と中国を観察した記事を書いてみたのですが↑、そこであげた日本の不安要素が、そのまま試合で出てしまっていました。残念です。

とりあえず、ローテはこんな感じ↓

 山本  江畑     山口

 竹下  木村     井上  L佐野
--------------------------
  リ   セツ(MB)  オウ

 チン   マ(MB)  ギ(S)  Lチョウ

WGPでの日本と中国は、同じタイプのバレーをやっています。っていうか、日本が一時期、ブラジルのようなバレーを目指すとかなんとか言っていて勝手にさまよっていただけで、その時期を除けば、日中はずっっっっと同じタイプのバレーをやってきているんですね。

同じタイプのチームが真っ向勝負した場合、絶対的な高さや筋力で上回るチームが有利に決まってますよね。日本の動きが悪くなかったにもかかわらず、まったく勝てる気配が見られなかった最大の原因は、そこだと思います。

絶対的な高さという点では、ブロックとレシーブの連携。竹下のブロックの後ろには必ずレシーバーが入らなければならず、日本の守備隊形の大きな弱点となっています。中国のオウ&チンは当然、弱点を徹底的に攻め立ててきました。

佐野だったら拾えるんじゃないの?という程度のレフト攻撃のクロスアタックでも、ノータッチで落としてしまっていた場面が目立ちました。センター陣が竹下のブロックをカバーするのか、それともコースをふさぐことに専念するのか。方針が固まらないうちにブロックを利用されたりかわされたり、そこにセンター攻撃を混ぜられたりして、ブロックが混乱し、レシーバーがそれに振り回され続けた、という印象です。ベンチはもっとビシッ!とした作戦を立てられなかったのでしょうか。

もう一つ、竹下159センチとギ182センチの高さの差が、ラリー中の組み立てにはっきりと出てしまいました。ギは、ディグが大きく返ってきてもクイックが使えます。さらに、中国の苦しい場面を再三のツーアタックでしのいでいたことも印象的でした。

筋力の点でも一目瞭然でした。日本のサイドアタックは、ワンタッチを狙っても大きく飛ばないので拾われてしまう。腕の隙間を狙ったら叩き落される。リバウンド狙いでぶつけてもだめ。どうしようもなくて指先のぎりぎりを狙ったらアウト。

一方の中国のサイドアタックは、強打のコースに入っていても勢いを殺しきれないので、なかなか美しい切り返しができない。ならばと3枚ブロックで止めにいっても、かえって利用されてしまう始末。

この繰り返しで、ブロック本数は中国20本、日本8本。ワンタッチかけてつないだ本数も、中国22本、日本17本。完敗です。

高さや筋力なんてことは、いまさら言っても明日どうなるという話ではないのですが、「互角以上」に戦えるレベルを目指すなら、避けて通れない課題だと思います。

では、技術面ではどうだったか。ここでも決定的な差が出てしまいましたねー。中国女子バレーの伝統は、なんといってもネット際の勝負強さ。素早い判断と正確な対応がピカイチです。いったい、どんな練習をしているのか。最近もまた中国語のバレー教本を大量に仕入れたとウワサのarea71先生にアポなし取材を敢行しておきます(謎)。

それはさておき。この試合、セットごとに何度も何度も何度もネット際の攻防がありましたが、日本が勝ったのは数回。勝率で言えば1割あるかないかぐらいでしょう。

日本では、木村や山口はネット際の対応力があると評価されていますが、中国と比べると、木村で中の中、山口で中の下ぐらいかも。山本・井上も日本ではネット際に強いセンターの部類ですが、残念ながら中国の相手ではありませんでした。彼女たちはおそらく、「うちらはネット際に強いんやから!」と自負していたはずで、それが中国にまったく通用しなかったことも、へこみ加減の試合展開につながったのかなという気がしています。

中国女子バレーの伝統と言えばもう一つ。固い固いブロックフォローですね。若手主体のモントルーでは陰を潜めていましたが、この試合ではかなーり戻ってきていました。完全にブロックしているのに拾われ、それが正確なパスになって新たな攻撃につながるこのしつこさ!!

最盛期の中国は↑ここからの切り返しがめちゃめちゃ速く、相手の守備隊形がまったく整わないうちにクイックが降ってくるんですね。今のチームはそこまでのレベルには達していませんが、それでも久々にテンポのいい中国を見ることができました。って、なんだかもう、気持ちが中国寄りになってしまっていますが(笑)。子供の頃から中国女子のバレーが好きなので仕方ありません。

ネット際もブロックフォローからの速い切り返しも、反復練習と実戦経験の多さに比例するプレー。一朝一夕にできるものではありません。ただ、中田姐さんがトスを上げていたころまでの日本は、これができていたはずです。いつの頃からか、なぜか伝統が途切れ、木村・山口レベルが珍しくなってしまったんですねー。いけません。

最後に、「中国と互角以上に戦える」の中でも書いた中国の“必殺技”。セツのAクイックとマのブロード攻撃ですが、この2つが、今回の試合でも文字通りの“必殺技”で、日本は最後まで対応できませんでした。

どちらも身体能力の高さを活かしたシンプルな攻撃だけに、封じるにはサーブで崩して使わせないか、ブロックでシャットアウトするしかないように思います。ブラジル戦のようにしつこくマークをし続けると、かえって中国の思うツボでしょう。

どうすればいいのか素人にはさっぱりわかりませんが、なんとなんと、イタリアは初戦で、中国にストレート勝ちをしているんですね。予選で唯一ブラジルを破った策士・バルボリーニ監督は、どうやら中国封じの秘策もあみだしていたようなのです。これは早速チェックしなければ!!!

いまから対策を講じれば、世界バレーには間に合うはず。“本番”でのリベンジを期待しましょう。

(おまけ)
森アナは今日も間違い連発でした。選手名の間違いはなくなりましたが、肝心なプレーの実況で間違いが多すぎです。それも、CクイックをBクイックと断言するとかそういうレベル。目が追いついてないのかな???
nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 2

コメント 8

がちゃぴん

おはようございます。

同感です!!
実況がミスると「はあ~~~!?」って
なります。
一試合に一回くらいならなんとか
我慢できますが、彼はひどいですよね↘↘

今日帰って、録画を観るのがちょっと怖いなあ・・・。
by がちゃぴん (2010-08-27 08:43) 

てつ

はじめまして。

楽しく、かつ、真摯にブログを拝見させていただいております。

今後の勝負の鍵は「竹下の出来次第」ですね。
私は竹下推進派ではありませんが....
攻撃の分散/集中、すべてが彼女にかかってます。

残り3戦で1勝はして貰いたいものです。
by てつ (2010-08-27 09:00) 

赤原

昨日はまあ互角といえば互角なんでしょうけど
「以上」では決してありませんでしたよねー。
あの競り合いも木村が踏ん張ってるから成り立っているもので
木村がつぶれた全日本はあっさり負けるような気がします。
私もrioさんのおっしゃっていたマ・セツの必殺技にとことんやられてるなぁ
と思って見ていました・・・。
さすがですよ。。日本昔からクイックは嫌いですよね。
06世界選手権チャイニーズタイペイ戦で負けたのだって、
クイック多用されたからだったし。
本当にはっきりしてる弱点な気がします。
今日のイタリア戦なんかはジョーリのすごいブロードが恐怖だったりします。

逆に日本は最近井上の活躍があまり目立たないですね…。
決勝ラウンドはセンターがかなりマークに合ってる気はしますがね。

ってかイタリアのデータすごいですよね(笑)
いやあ本当に要チェックですよ!!
でもアメリカにはあっさり負けてるんですね。不思議です。
by 赤原 (2010-08-27 10:34) 

rio

>がちゃぴんさん、森アナは実況が上手なほうなんですが、今回ばかりはおかしいですね。

フジに限ったことではないのですが、実況に間違いが多すぎると思います。サッカーや野球の間違いを連発したら、おそらく2度とつかってもらえないんjないかと思います。なんでバレーはこんなにゆるいのか。

その点、Vリーグの決勝を放送するNHKはさすがです。これまで間違った実況を聞いた記憶がありません。

テンションあげて絶叫するよりも、まず正確な実況を心がけてほしいですよね。
by rio (2010-08-27 20:47) 

rio

>てつさん、コメントありがとうございます。

私も竹下推進派ではありませんが、中国戦の第1セット、5点差から追いつかれてジュースになったあとの展開で、竹下の前衛ローテのときに松浦を起用しないんですから、もうダメですね。

日本も中国もサイドの打ち合いになっていた場面ですし、中国が竹下の上から打ってくることは織り込み済みなんだから、竹下と松浦を代えて、ブロックにかけるべきでしたよね。サイドへのトスなら松浦にも上げられるわけですし。

結局、眞鍋さんも竹下と心中なんでしょうね。
by rio (2010-08-27 20:53) 

rio

>赤原さん、いやー、あの中国戦は完敗だと思いますよ。

点差のうえでは互角ですが、中国は昔から“競る”チームですし。劣勢でも終盤までには不思議と追いついて、20点以降がしぶといという。サイドアウト制時代でも、12点、13点からのしぶとさが印象に残っています。チームの伝統なんでしょうね。

日本は、ブラジル戦ではセンター陣のクイックを封じて勝っていますから、苦手とはいえないと思います。セツのAクイックとマのブロード攻撃は、世界トップチームでも手を焼いている攻撃なので、相手をほめるべきでしょうね。

中国戦で日本がクイックに対応できなかったのは、中国チームの研究が足りなかったからだと思います。

中国は、システムに選手をはめこむ欧米型のバレーと違い、属人性の組織力と個人技で戦うチームですよね。そんなチーム相手に、「クロスコースをふさいでターン打ちを拾う」ってなマニュアルで挑んでも、対応できるはずがありません。

クイックを封じるか、サイドを止めるか。どちらかを徹底してボールを集めさせ、そこをつぶしにいくのが中国封じのセオリーですが、昨日の日本はそこが最後まで中途半端でした。あげくに、山本はギのツーアタックにコミットしたりして。なにやってんだか…って感じでしたね。

まあ、日本のスタメンが中国とガチで勝負するのは、今季はこれがほぼ初めてですから、研究はここから深めていって、世界バレーに間に合わせてほしいと思います。
by rio (2010-08-27 21:09) 

Taa

この試合をみると確かに相変わらず中国の方が1枚上手でしたよね。ただ以前のように「こりゃ絶対勝てないな」とも思わなかったんで、たぶん荒木田さん世代にとってみれば「これだったら勝てる」って思うんじゃないでしょうか(笑)

それにしても中国のセンターはいつの時代も速いタイミングで打ってきますね。しかも時折テンポをずらしたりするので益々ブロックし辛いんだと思います、きっと。日本のセンタープレーヤーもただ速さだけを追求するのではなく、たまにセミなんかを打ってみても意外と面白いんじゃないでしょうか…。

それと今回観ていて中国のセッターは、身長はけっこうありますが意外と低い(ネット上に手が出ない)位置からもAクイックを上げたりして、巧いなと思いました。それをしっかりミートするセンター陣も巧いんですが。

実況については間違いが多い(勉強不足?)のも気になりますが、「中田さんだったらどうしますか?」とふられてそれに返す言葉が出てこない中田久美氏にも喋る勉強をもっとして欲しいなと思ってしまいました。これからコーチあるいは監督になるんなら、状況を判断してそれを選手に的確に伝えなければいけないんですから。・・・とエラそーなこと書いてますが、そういうことをもっと聞きたいんですよね。色んな情報を得られるっていうのがテレビ観戦の楽しみでもあります。
by Taa (2010-08-27 23:02) 

rio

>Taaさん、荒木田さんの目線の高さには、うっかりひれふしてしまいそうになります(笑)

日本の守備では、ブロックに自信を持っている井上が、最後まで中国の攻撃をつかまえきれなかったのが印象的でした。

ブロックにばっちり当たっていて、ほかのチームなら真下に落ちていてもおかしくないタイミングでもブロックアウトをとられてしまうという。どんなふうに打っているのか画面からはわかりづらいので、とても気になっています。

トスの高さの件、そうなんですよね。area71さんがご自身のブログで、高さのあるヒョウ・コンが低い位置でトスをさばいていることがあるという指摘をされていたことがあります。どうも、中国の戦術面での判断のようですね。

決勝の解説チームでは、やっぱりモトコさんのベンチリポートがいちばん上手ですね。取材をした内容とコートサイドで感じる雰囲気をまじえ、中田の解説がいらないぐらいポイントをおさえた情報をあげてきています。

解説席に座る人間って、いまや実況の“あいづち役”でしかないですね。残念なことです。
by rio (2010-08-29 14:49) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。