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パンク侍、斬られて候 [レビュー]

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

  • 作者: 町田 康
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 文庫
最近、町田康を読んでおります。デビュー作の『くっすん大黒』も、その系譜につらなる作品もよかったけど、『パンク侍、斬られて候』はわろたね。
 
勝手な決めつけで言うけど、これを書いた時の町田康は薬物かなんかやってたんじゃないか(笑)。イメージの広げ方、細部の描写、日本語の崩し方。どれをとっても”考えて作った”ようには思えませぬ。
 
版元の角川は、文庫の裏にある作品紹介で、間違って「傑作時代小説」なって紹介してしまっております。これはたぶん、解説の高橋源一郎が時代小説に触れているからなんだろうけど、高橋は「時代小説と思ったらまったく違った」と言ってるのであって、「日本文学の未来だ」って結論なのですよ。
 
そんな些細なことはどうでもよくて、この話が単行本で出されたのは2004年、小泉フィーバーのまっただたなかだったけれど、2007年の政治の大混乱を(大混乱”も”かもしれない)予見してるかのようで興味深い。
 
そんなこじつけ的に考えなくても、現代社会のさまざまなパロディ(インターネット上の狂騒、肥大し続ける自我の問題、日本的組織と個人の関係性などなどなどなどなど)が、あるときは軽妙に、あるときはおどろおどろしく、でも徹底的に醒めた目線でつづられていて、「こいつにこそ読ませたい!」と思わせる内容になっております。って言っても、読ませたいと思うやつに限って絶対にこの手の話を読まず、奇跡が起きて読んだとしても、まったく理解できないんだろうな。だって自分のことが書かれてるから。
 
そういう意味でも高橋源一郎が「日本文学の未来」と言ったのは当たっていると思われ。この作品を当事者にも理解できるように噛み砕いた小説を生み出すことが求められていると言ってみたりして。

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