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「家族」の次は「第3の性」か (後編) [けっこう気になる]

漫画の山咲トオル、ダンスのKABAちゃん、華道の假屋崎省吾、メイクのIKKO、その他いろいろ、ここ数年で一気に増えた。山咲トオルなんかはテレビで「女子が好きです」と言わされていたけど(週刊誌に新宿2丁目での騒ぎっぷりを書かれてから言われなくなった。ってか、質問されなくなった。事務所がNGにしたんだろうな)、ほかはみんな、同性愛者であることを認めている。

といっても、みんなオネエキャラ(島田紳助や明石家さんまが言う「姿は男やけど心は乙女」のノリ)だから受け入れられているってのも事実。それこそ、美輪明宏やおすぎとピーコが開拓してきた道を歩いてきているだけの話で、先人と比べれば存在感も薄い。

その意味では、前田健がテレビで「自分では(見た目も心も)男のままがよくて、男が好き」とフツーの自分を語ったのは新しい。

数年前に、俳優の成宮寛貴が記者会見で男を相手にするウリ専ボーイをやっていた過去を告白したり、シンガーソングライターの槙原敬之が麻薬所持で逮捕されたついでにゲイであることがばれたりしたことはあった。でも彼らはその後、何も語っていない。あるいは、俳優の松方弘樹の息子がウリ専で小遣い稼ぎをしていることを週刊誌にすっぱ抜かれたり、何人もの体育会系の大学生がいわゆるきわどいホモビデオに出演していたことが明るみに出たりした”スキャンダル”の際も、それが社会現象(あるいは社会問題)として検討されることなく、ふたをされて終わった。

そうした三面記事的な角度ではなく、「プライドマーチ」のような政治込みの運動でもなく、いま一番身近な存在に感じられているお笑い芸人が、素の顔でテレビで本音を語っているあたり、これは変化の兆しだと思う。

誤解を恐れず言えば、テレビに世の中を変える力は無い。しかし、テレビがきっかけで世の中がかわることはよくある。テレビにはそうした”潮目”を変える力がある。それを雑誌が掘り下げ、最後に新聞が”権威化”(オーソライズ)する。テーマ「第3の性」はその道を歩み始めたのかもしれない。(完)

(補足)
20世紀の終わりごろに、卒論で「漫画に登場する家族」をテーマにしたことがある。当時は漫画を扱うことがまだ珍しくてハシリだったようだが、いまはけっこう多いらしい。「第3の性と家族」というテーマでも面白いかもしれない。
ちなみに、西原のヒジュラ取材いわく、ヒジュラは食うや食わずの生活をしているストリートチルドレンを何人も拾って育てる。一方、ヒジュラは死んだら目に付かないよう夜のうちに運び出される。その際に「二度とこんな形で生まれないように」とクツで遺体をばんばん叩くらしい。これをどう読み解くか、思案を続けている。


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madoka

rioさん、いつも興味深い記事をありがとうございます。
セックスとジェンダーについて、セクシャル・アイデンティティーについて、異性愛と同性愛について、いっぱい書きたいんだけど、いつもヒマな私が今月めずらしく忙しくて、書く時間がないよぅ!
(バレーについてもrioさんに聞いてもらいたいこと山ほどあるのに~(T_T))
世の中の大半の人は、いまだに人間には「男」と「女」の2種類しかいないと思ってますよね。
rioさんの言うように「変化の兆し」は確かに見えてきたけど、もうほんっとに「兆し」の「兆し」ぐらいのちっちゃさで、悲しくなってしまう…。
おっと、疲れていると考えまで悲観的になってしまってだめですね。
私が生きてるうちに、「第3」どころか「第10」ぐらいまで性の多様性(や性別に縛りつけられない生き方)を認める世の中が来ることを祈りつつ…。
おやすみなさーい(-_-)zzz
by madoka (2007-06-07 01:40) 

rio

madokaさん、こちらこそありがとうございます。

私も今月なぜか(少しだけ)忙しくて、それなのにすぐに仕事を放り出してしまっていけませんねー。

記事中では触れませんでしたが、シドニーでは同性のカップルがあちこちでいちゃいちゃしておりました。最初のうちは出くわすたびに衝撃を受けていたのですが、すぐ慣れました。けっこうなおばさま同士のディープキスとか、モデルみたいな男の子同士の路上キスとか、なかなか忘れ難い光景も多々ありましたが(笑)。

こうしたテーマの場合、「理解できないけども存在は認める」派と「理解できないから許せない」派にはっきりわかれますよね。後者の根底にあるのは理屈ではなく「恐怖心」でしょうから、一筋縄ではいきませんね。
by rio (2007-06-07 06:54) 

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