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映画『ディセンバー・ボーイズ』 <ややネタバレ> [レビュー]

           

12月1日に全国ロードショーが始まったと思ったら、もう終わりだと聞いて、慌てて観にいきました。公式サイトはこちら。すごく良かったけどなあ。やっぱり次にくる『アイ・アム・レジェンド』には勝てないのかなあ。

この映画の話題といえば、ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフが主役の1人で出ていること。ハリポタ以外では初主演です。でも、私はハリポタを観たことがないので、先入観なく楽しめました。演技うまいなあとか、歩き方が猿人みたいだなあとか(←演出ではなく、ほんとに歩く時の姿勢が悪いんだと思います)。

オーストラリアのアウトバック(=内陸部)にある孤児院で生活している4人の少年(上の画像)は、4人とも誕生月が12月なので、「ディセンバー・ボーイズ」と呼ばれています。養子にもらわれていく仲間をうらめしそうに見送りつつも、けっこう楽しくやってます。誕生日、神父さんの部屋に呼ばれた4人は、海辺にある支援者の家でひと夏過ごせることになったと告げられ大喜び。そこで出会った人々との交流を経て大人の階段を上っていくというお話。

1963年に書かれた同名の小説が原作。興味深いのは原作→映画の改変ポイントです。
      原作                  映画
設定   1930年代(第2次大戦前)     1960年代
舞台   オーストラリアの東海岸       南オーストラリア(アデレードとカンガルー島)
主役   5人。10歳前後           10歳前後の3人と15,6歳のマップス(ラドクリフの役)
その他  主人公たちはタバコを吸わない   隠れてタバコを吸っている
      支援者の奥さんは元気       支援者の奥さんは病気
      ルーシーは出てこない        ルーシーが”トリックスター”として登場 
      (↑金髪の少女)

なるほどねー。舞台以外の主な改変は全部、『スタンド・バイ・ミー』の”本歌取り”を意図したわけですね。ナレーション役は真面目な少年(この映画ではミスティ)で、彼の回想という設定。ほかの3人より少し早く大人になった少年が登場する(この映画ではマップス)のも同じです。それをズボンの丈で表現しているあたりが面白い。

私にとって『スタンド・バイ・ミー』は、今まで観た映画の中でベストの一つなので、『ディセンバー・ボーイズ』をすごくいいと思ったのも当然でした。そういう目で観ると、『スタンド・バイ・ミー』のアイデアがあちこちに使われていて(支援者の奥さんとの絡みなど)、改めてなるほどねーと思います(逆に言えば、これを”パクリ”だと感じてしまう人には楽しめない映画かもしれません)。

もう一つ、この映画がいいなと思ったのは、ロケ地がカンガルー島(とアデレード)だったから。

奇妙な岩が並ぶ「リマーカブル・ロックス」↓マップスが足しげく通った岩はたぶん上側                 
                                                                                                                                                                                                          

          

なぜかそこだけ真っ白な砂丘が広がっている「リトル・サハラ」↓自力で登ってソリかサンドボードで滑る。滑ってるのはラドクリフたちです(笑)
            

          

映画には登場しなかったけど、まったく観光化されていない自然のままのビーチ↓
          

旅行した時は(リマーカブル・ロックス以外は)ぜんぜんつまんねえ島だなあと思ったのに、こうやって映画で観ると懐かしくて、見入ってしまいました。つまんなかったのは参加した英語ツアーのガイドのせいだった、ということにしておきます(笑)。また行きたい!

(おまけ)
映画の中で、「ダーウィン」というオーストラリア北部の街の名前が何度か登場します。映画の舞台と正反対の位置にある”遠い場所”ぐらいのニュアンスで登場しているのですが、ダーウィンは第2次大戦中、”敵国”日本から空襲をくらった唯一の街です。原作の設定が第2次大戦前の1930年代だということを考えれば、原作では「ダーウィン」にもっと意味を持たせているのかも。いずれ原作も読んでみたいと思います。


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area71

バレー以外の話題の切り口などにも、“プロフェッショナル”を感じました。
rioさんの思想に、かなり影響を受け始めてきた今日この頃です。
この映画も、この記事を見て観てみようと思いました。
これからも更新楽しみにしています!
by area71 (2007-12-13 08:05) 

rio

>area71 さん、ありがとうございます。思想と言えるような大それたものはないんですが(笑)。こんなこと考えてるヤツもいるんだなーぐらいで見ていただければありがたいです。

この映画に関しては、『スタンド・バイ・ミー』と見比べられるとかなり楽しめると思います。
by rio (2007-12-13 11:13) 

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