あいうえおーすとらりあ 【あ…雨】

　シドニーに住んではや７ヶ月目に入りました。英語はなかなか上達しないのに、日本語が少しずつ不自由になっている毎日です。これではいかんと一念発起し（←あえて四字熟語を使うあたりがリハビリ）、日本語コラムに挑戦してみることにしました。テーマはシドニーでの生活、見聞きしたこと、考えたこと。あいうえお順にこつこつ更新を目指します。　　　　　　　

　　　　　　　　　

　　　　　　　　　

 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

【あ…雨】

　いきなり湿っぽいタイトルですが、オーストラリアは実は、世界で一番乾燥している大陸です（南極を除く）。国土の８０％で年間降水量が６００ミリ以下、平均は約５００ミリで日本の３分の１以下しかありません。人口が東部、北部、南部の海岸沿いに集中しているのは、ずばり「雨がほかと比べて多いから」なのです。

 

　水の豊かなアジアで育った人間が一番困るのはお風呂。オージーは基本的にシャワーのみで、男女関係なく原則１０分以内なのです。１０分以内で体も頭も洗うのは男でも至難の技だと思うのですが、小さい頃から訓練しているとできてしまうものなんですね。また、水の節約につながる食器洗い機はどこの家にもついています。車はもちろん洗いません。プール付きの家も珍しくありませんが、最近はプールを埋め立てたり、雨水をためる貯水槽に作り変えたりする家も増えているとか。それでも水を使いすぎたときは、水道局のようなところから「あなたは○月から○月までの間に○○㎥の水を使っています」という警告文が届き、水の節約方法をくどくどと解説されてしまうのです。　

 

　そこまでしても、すべての州で水不足が深刻な問題になっていて、選挙のたびに重要な争点になるほどです。地球温暖化の影響もあるそうですが、政府は地球温暖化防止策を取り決めた京都議定書に調停していません。建前はともかく、本音の理由は「資源輸出大国だから」。京都議定書に調印すると、石炭などの売れ行きに影響するとの反対意見が根強いようです（野党は調印を公約に掲げています）。

 

　そんなこんなを考え合わせると、結局、政策的な失敗じゃないの？ってところにたどり着きます。雨が日本の３分の１でも、人口は６分の１以下しかいないわけですから、これまでにいくらでも方法はあったのでは。水道の利用が制限されたという話もめったに聞かないし、水道料金も安い。ビーチには無料のシャワーもついています。各地の公衆トイレももちろん無料。噴水もあちこちにあります。このあたりのおおざっぱさ（おおらかさ）がオージー気質なのではないかとにらんでいるこのごろです。

 

　イントロから硬い話題になってしまいましたね…。次回ももう少しイントロの続きで【い…移民】です。