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世界バレー 男子は何をするべきか…変わらぬ課題 [バレーボール]

 男子はフランス、ロシアに相次いで敗れ、8位で試合を終えた。この2チームには、何よりもまずブロック力の差で圧倒された。マスコミはすぐに「平均身長」を敗因に挙げ、負けても仕方ないムードを作ろうとするが、それがまやかしであることはすでに指摘した。男子は低いチームではない(女子もそうだが)。特にセッターが阿部の場合は、世界に引けをとらない高さがある。確かフランスは日本よりも平均身長は低かったのではないか。

 バレーを理解しているファンなら誰でもわかっていることだが、日本のブロックが機能しないのは、システムの完成度が低いこと、横移動や完成形にいたる速度が遅いこと、ワンタッチやリバウンドをとられないようにする個人技のレベルが低いことなどが原因だ。また、日本の攻撃がブロックにかかるのは、大会開幕前のインタビューで荻野が指摘した通り、アタッカーの技術が低い(ワンタッチやブロックアウトが取れない、ストレートに打てないなど)ことに加え、速いトスを打ち切れない、つなぎのレベルが低く2段トスが打ち切れない、などの理由も挙げられるだろう。

 90年代半ばに完全に世界から置いていかれ、そこから追いかけ始めた日本は、「世界化=大型選手をスーパーエースにする」という上辺だけの改革に走ってしまった。その意識は大学以下の現場にも浸透し、10代のころからレシーブやネット際の技術を免除されてきた”点取り屋”が増え、彼らが今では、Vリーグの中堅~若手となっている。一方、その技術力不足を補う存在として、”低くても計算できる”選手が重宝される伝統も残り、両立させるべき”高さと技術”が分業されるというとんでもない風潮を生んだ。

 その結果、全日本が大型化を目指して選手を集めると、点取り屋だらけの大雑把なチームになり、世界に対抗するコンビバレーを目指すと、高さがなくなるというジレンマを行ったりきたりし続けているのが過去10年間の現状だ。石島と越川にかけられている期待は、このジレンマの解消に尽きる。日本バレーの構造的な問題を背負わされて気の毒なことこの上ないのだが、これまでの自分のスタイルを捨てるぐらいの覚悟で北京までに技を磨き上げてほしい。

 

 あちこちのブログをのぞくと、セッターのレベルが低い(精度が悪い、ブロックが振れないなど)と憤慨している記述が多いが、これもまた、テレビ中継の弊害のひとつだということを、いただいたコメントにお返事する形で指摘した。日本の中継は、花形のサイドアタッカー中心のカメラ割りになっている。視聴者はアタッカー寄りの視点、あるいはコートを横に見る(主審、副審の)視点で試合を見続けることになる。この場合、トスの速さや距離感を画面上でとらえるのは難しいので、どうしても「トスが悪い」と感じてしまいがちなのだ。

 日本のセッターのレベルは決して低くない。というよりも、世界に置いていかれた中で、唯一、世界レベルの技術を維持し続けているポジションだと思う。問題は、セッターの高い能力に見合うアタッカーがいないことなのだ。今回で阿部が控えに甘んじたのはそこに原因があるはずだ。

 朝長は良くも悪くも、80年代までの日本の伝統を引き継いだセッターだろう。低い身長を豊富な練習量と相手チームの徹底研究で補う姿勢がまさに”日本的”だ。彼の持ち味には速いトス回しも、トリッキーな組み立てもないかわりに、アタッカーに合わせた丁寧なトスアップがある。また、基本に忠実に、序盤からセンター線でサイドアウトを重ね、試合の要所でサイドの攻撃が決まりやすくなるよう布石を打つ。朝長の持ち味は、下位チームに相手には効果を発揮し、ベスト8の原動力になった。しかし、同時に、上位チームにまったく歯が立たないという、これまで何度も直面した当たり前の事実にまたしてもぶち当たった。セルビア・モンテネグロがセンター線を封じるサーブを打ち、フランスが完全にストレートを開けたブロック体型にしたのは、朝長のトスを見切っているからに違いない。

 阿部や、あるいは宇佐美、山本(太)といったセッターが全日本に選ばれているのは、こうした80年代型バレーからの決別を目指していることを意味していたはずだ。3人のセッターはいずれもトスが抜群に速い。加えて、阿部は左利き(両利き)だという有利さ、ブロック力、アタック力でこれまでのセッターにはないオールラウンダーな要素を備えている。だからこそ、正セッターは阿部で、その抑えとして”計算できる”朝長を持ってきたはずなのだ(阿部のデビューのときには、控えとしてベテランの眞鍋がついたのと同じ役回り)。しかし、1次敗退は許されないという強力な圧力のもと、チームとしてはまたしても目先の勝利を優先せざるを得なかった。朝長の起用で勝った試合以降、相手チームにあわせてセッターを変えることが、まるで日本の必殺技かのような無責任な解釈がマスコミから流れた。植田監督が採ったセッターをたびたび代える采配は苦肉の策に過ぎない。その手法は植田監督のオリジナルではなく、最近の大きな大会のたびにくり返されてきた「全日本の悪い癖」なのだ。

 今回、阿部が控えに甘んじたことはボディーブローのように北京出場に響いてくるはずだ。グラチャンやワールドリーグと違い、”本気の大会”で阿部を使わなかったことは、角を矯めて牛を殺す結果になりかねない。

 余談だが、今大会のセッターと比較して「宇佐美にするべきだ」との声もちらほらみかけた。宇佐美のトスはおそらく阿部よりも速く、その高速トスを安定して打ち切れるアタッカーは今のところ見当たらない。彼が出ていれば、持ち味を殺してゆっくりトスをあげざるを得ないか、高速トスを上げて「精度が悪い」と非難されるか、どっちにしてもいいほうには転ばず、阿部と同様に控えに甘んじる結果になっただろう。

 

 チームのバランスもまた、頭の痛い課題だ。北京まで荻野や斎藤がチームに残る(残れてしまう)ことは、決して明るい話題ではない。年齢的なピークを過ぎた彼らを脅かす若手がいないということを意味するからだ。また、山本(隆)がスーパーサブではなく、スタメンを確保してしまっている弊害はすでに何度も指摘した。山本に関しては、本人次第で”真のスーパーエース”に化ける可能性もあるが、ベテランの年齢はいかんともしがたい。

 こうして並べてみると、4年前の世界バレー、あるいはそれ以前から指摘されてきた課題が、またしても、まったく解消されていなかったことがわかる。4年前も上位には歯が立たず、結果は9位だった。出場チーム数が違うので比較はできないが、前回より実力があがったとは決して言えない。

 植田監督からは、過去10年間のジレンマと決別する固い決意を感じる。彼が協会の圧力から自由になり、長期契約を保証され、思い通りのチーム編成ができる立場になれば、世界レベルに追いつけるはずだ。果たしてそんな日は来るのだろうか。


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バボバボ

凄く的確な評論で唸りました。
私も今回世界バレーを見ていて24年ぶりにベスト8に入ったと浮かれている一方で、何か「これでいいのか?」というモヤモヤがありました。
この記事を読んでそのモヤモヤが解消されました!
もう目からウロコです!!!
トスとアタッカーのタイミングが合わないプレーがあまりにも多くて、解説の川合俊一なども「もっとトスを高く!」と言ってましたが、あれはやっぱりアタッカーがトスについて行けていないんですよね!?
大会前の合宿で1秒を切る平行トスを打つ練習をしている映像を見ましたが、本番でそれほど早いトスは見られなかったように思いますし。
世界のトップチームがレシーブも繋ぎもコンビも日本の遥かに上を行っているのは明らかです。
「拾って繋ぐコンビバレー」をいまだに自分たちのお家芸と思っているうちは日本は世界で勝てないと思います。
昔はヨーロッパなどはただ大きいだけでバレーを知らない国が多かったので日本が勝てる時代だった。
でも今は世界の多くの国がバレーを完全に自分たちのものにしてしまいました。
更に悪い事にヨーロッパの国などが分裂すると5年もすれば世界のトップに食い込む新しいチームが完成してしまいます。
昔はヨーロッパの強豪と言えばソ連ひとつだけだったのが、今ではロシア、セルビア、クロアチアなど日本の上を行くチームがいくつも誕生してしまう・・・。
今後、日本が入り込む余地はないんじゃないかと思います。
確かに7位以上の国との差は頭3つぐらいありましたよね。
あと男子はサーブが課題と言い続けて何年ですか?
いまだにチャンスボールにしかならないフローターサーブを打っている人間がいるのに呆れます。
ブロックも酷いですね。
ゴッツなんかはもっと止めないと(せめてワンチ取らないと)駄目だと思います。
たまにラッキーパンチのブロックが決まる→スケベ根性からかヤマを張ってセンターマーク→完全に振られてサイドからノーマークで打たれる。こんな場面が何度もありました。
アレはペナルティーがあって当然のいただけないプレーだと思います。
ゴッツは全体的には頑張っていたと思いますが、チームを無視したプレーにはお灸を据えるべきです。
ああ、だいぶ熱くなってしまいました。
いきなり長々と書いてしまい失礼しました。
最近のバレーはアイドルを起用して華やかなイメージを植えつけてヒーロー、ヒロインを無理やり作り上げて・・・あまりにも商業行為に利用され過ぎていて生粋のファンとしては複雑な思いで見ていました。
でもこうやって冷静に見ている方もいるんだとわかって嬉しかったです。
日本は遠い昔にオリンピックで金メダルを取ってしまった呪縛から逃れない事には前に進めないような気がします。
by バボバボ (2006-12-06 11:56) 

rio

バボバボさん、熱のこもったコメントありがとうございます。記事中で何度か書きましたが、今回は試合そのものは見ていません。男子開幕前に、「二人のセッターを使い分ければ面白いことになるかも」と書き、1次はその通りになって乗り切ったのですが、結局その場しのぎの結末で終わってしまいましたね。。。

男子のサーブは本気で練習してるんですかねえ。ジャンプサーブは順回転のサーブなので、越川ぐらいの強さで打てなければかえってチャンスボールになってしまいます。なので、フローターを使っているのでしょうが、あれだけの上背があってただの”いれとけサーブ”しか打てないというのはどうかと思いますよね。高い位置から打てるわけだから、かつての全日本セッター松田のように、角度のある落ちるサーブと低くて伸びるサーブを身につければだいぶ違うと思うのですが。。。

ゴッツのブロックに関しては見ていないのでなんとも言えないのですが、機能しなかったように見えたとしたら、おそらくセンター陣の技術の問題か、チームとしてのブロック方針があいまいだったせいでしょう。ゴッツは確かセンター出身なので、ゴッツが前衛にいる間はセンター陣はやりやすいはずなのですが…。ゴッツが機能しないブロックに業を煮やし、日本のピンチを救うべく個人技に走ったとも考えられなくないですが、今回の日本のブロックシステムについて書かれた記事やブログを発見できていないので何ともいえません。

日本はもう何十年もブラジルのバレーを目指すといい続けていますが、世界最高セッターといわれ続けたリマのようなセッターが出てきたとしても、アタッカー陣が今のままではだめですね。スポーツナビにコラムを書いている米虫さんが「山本の加入で攻撃の幅が狭まった」と指摘しておられましたが、スーパーエースを入れたために攻撃の幅が狭まるなんていうちぐはぐなチーム編成では、とてもじゃないけど世界には追いつけません。

わたしとしては、現実的にはかなり難しいブラジル型を目指すよりも、まずは、シドニーオリンピックで優勝した旧ユーゴ(現セルビア・モンテネグロ)のような正確無比なバレーを目指すべきだと思います。カットがほとんど乱れず、つなぎもほぼ完璧、ネット際のしのぎあいにも負けないという技術レベルに達してから、次の段階としてブラジル型を目指すべきでしょう。それには、いままでの低迷期と同じぐらい長い時間がかかると思いますが、失うものは何も無いはずなのです。背伸びして「ベスト」8なんていう響きにこだわるからこういう結果になってしまうんですよね。
by rio (2006-12-06 12:51) 

バボバボ

先ほどは興奮し過ぎてゴッツがセンター出身だと言う事をすっかり忘れていました(汗)確かにチームのピンチにゴッツが個人技に走ったという見方も出来ますね。ブロックとサーブは課題というより永遠のテーマって感じです。
いや~改めてゆっくり読ませて頂いていますがとても面白い内容ですね。ソーだよ、ソーだよ、ソースだよ!(古っ!)って頷きっぱなしです。本当に今回の世界バレーは男女とも傍から見ていて謎が多い大会でした。何でここでこの選手?何でここでこの攻撃?何でここでこのコメント?読んでいると私の中のモヤモヤや不満や疑問・・・とにかく自分の中で消化し切れなかったありとあらゆる感情がスーッと流れていくようです。
rioさんはシドニー在住なのですね。試合を映像で見ていないのにここまで書けるなんて凄過ぎです!現場で取材してるマスコミよりよっぽど読み応えのある内容ですよ。(マスコミも書きたくても書けない事が多いのでしょうが)
私は小学生からバレーを見続けて自分も学生時代はバレー部で青春していたので、本当にバレーが好きです。だからこそ今のおかしな方向に流れているバレー界の現状が歯がゆくてなりません。協会にもかなり問題があるみたいですね。監督や選手は必死でそれこそ人生をかけていると思うので、そういった人の努力や気持ちが報われる(結果だけではなく過程も含めて)環境になる事を願います。

PS
山本は本当に評価が低いですね(笑)大会前はスーパーエースはひとりだけ選出、山本より直弘有利、と報道されていたので二人とも名前があった時は拍子抜けしました。これも大人の事情ですか・・・。野球やサッカーに比べたらあまりダークなイメージがなかったのですが、バレーも相当きてますね、これは。
by バボバボ (2006-12-06 14:43) 

カエル

rioさん始めまして 非常に充実した内容で楽しく読ませていただいています
でいろいろ思うことがあるので少し書きます まずセルビア型のバレーを
目指すべきだと書かれてますがあのチームは世界的なエース
ミリュコビッチによって始めて成り立ってます ほかの選手も世界的には有名
ですがそれこそ日本もWLではミリュコ居ないセルビアからは勝ってるわけで
あのような選手は日本からはまずでないでしょう あらばSAは置かない
と言うのがRIOさんの言われてることですが現時点でライトで際どい球
を裁けるのは荻野選手ぐらいでしょう その荻野が怪我で出れなかったのが
さきのWLです その代わりに出てたのがオールラウンダータイプの千葉です
ですがWLの日本の出来は散々足るもの また荻野ライトも05のWLでは
ベネズエラに1勝も出来ないなどライトオーダーの限界は植田監督も
感じてたはず だいたい植田自身がSAは置きたくなかったはずですから
山本については今回は協会のプッシュとかは特にないと思いますよ
メディアはそれこそ越川、石島中心でしたから
by カエル (2006-12-07 03:53) 

カエル

先ほどの続き もう少しセッターについてですが
たしかにセッターだけが悪いとは私も思いません アタッカーの能力が低い
これはRIOさんの言われるとおりだと思います ただ二人のセッターが世界に
比べて唯一匹敵するとは思えないトコもあります 例えば阿部は身長が
高くサーブレシーブが崩れたとき何とかできる ただしこれはあくまで高さに
だけであって横に動かされたときはトスにすらできないことがある
ようは運動能力が低い 長身選手の運動能力の低さはセッターも例外
ではないと思います また手首でためることも少ないため2枚つくケースも
多い まあトスがうんぬんは今回は山本が河合のインタビューにあるように
早めのトスでいつもみたいな高さで打つオープンじゃなかったから
窮屈そうに見えた結果トスがあってないように見えたんでしょうね
by カエル (2006-12-07 05:03) 

rio

カエルさん、詳細なコメントありがとうございます。
セルモンについてですが、ワールドリーグは練習試合みたいなものなのでそこでの勝敗は実力の目安にはならないと思います。セルモンといえばミリュコビッチが取り上げられますが、シドニーのときの彼は、いい意味で、チームのエースという以上に目立つ存在ではなかった(ワンマンチームではなかった)と思います。セッターを中心に5人の選手が同じレベルの速さ、正確さで動きまわっていた印象があります。レシーブの位置取りも他のチームよりワンテンポ速いという感じで、ブロックとの連携もよく、コート内では、フライングレシーブをしなければならない場面がほとんどなかったように記憶しています。それほど複雑なコンビを使っていたわけでもなく、体格も大きいわけではない彼らがシドニーで金をとれたのは、こうした基礎レベルにゆるぎがなかったからだと思います。これは素質や才能というよりも、練習と経験で身につくものですが、今の全日本男子でこうした動きができる選手は荻野と千葉だけでしょう。

選手選考ですが、全日本は男子も女子も、監督が選んだ選手リストをもって協会におうかがいをたてなければならないように聞いています。そういう規則なのか、慣習に過ぎないのかは分かりませんが、協会の口出しはプッシュというレベルではなく最終決定権のような強さがあるはずです。

そこでスーパーエース問題ですが、04~05年で作り上げた植田バレーを根本から覆すチーム編成にしたことがまず理解できません。そのことは記事中で指摘したとおりです。選手たちもインタビューで、「戸惑いがあった」(朝長)、「(山本を)一人にしてはいけないと思った」(山村)など、突然の方針転換に混乱していた様子がうかがえます。特にセッターにすれば、スーパーエースとは言え、ライトからのゆっくりした高いオープンしか打てない山本の加入は、トスワークを悩ませる要因だったと思います。加えて、植田監督の采配が1次の序盤戦で迷走したことは記事中で指摘したとおりです。世界バレーの直前にリハーサルとしてワールドリーグを戦っておきながら、ぶっつけ本番のような幕開けになったのですから不審に感じるほうが自然ではないでしょうか。

確かチュニジア戦だったかと思いますが、相手のジャンプサーブの強さに、山本もカットに参加させた場面があったと聞いています。これはスーパーエースを置かなかった05年のフォーメーションで、選択肢としてこれを使う想定をしていたなら、山本の控えに直弘ではなくカットのできる選手を入れ、山本と交代できる体制をとっていなければなりませんがそいういう編成にはなっていませんでした。結果は、(当然ですが)山本が狙われ、サービスエースを取られていたのではなかったでしょうか。また、どの試合だったか忘れましたが、山本の調子があがらず日本が劣勢になった時点での新セットでも、山本を先発させ、1~2点目ぐらいで直弘と代えるという場面もあったと思います。

就任して3年目に入った監督が、このようなちぐはぐな選手起用や采配をするのはやはり不自然です。植田監督の独自の判断で山本をいれ、こういう結果になったのであれば、「なぜチーム編成を変えたんだ」という批判が協会やその他各方面から聞こえてきてもよさそうですが、皆無でした。

スーパーエースの必要性を明確に否定していた植田監督が、方針転換した際に「決定力不足を補うため」と説明していました。わたしはこれは本音ではないと思っています。決定力不足は今に始まった話ではなく、それを解消する方向として植田監督は「全員が同じレベルで打てて守れるバレー」を目指したはずでした。荻野を全日本に呼んだのも、若い選手に荻野レベルを要求するためで、そのとき山本は全日本に選ばれていません(本人の辞退ということになっていますが)。また、方針を修正して、決定力不足をスーパーエースでしのごうと考えたのなら、記事中でも述べたように、山本はスーパーサブがまさにはまり役だったはず。方針を180度変えて、山本を先発させるメリットはありません。スポナビで米虫さんがたびたびその点を指摘されていますので、もしまだでしたらご一読をお勧めします。

セッターの件ですが、「横に動かされたとき」というのがどの程度なのか見ていないのでわかりませんが、トスが上げられないほどセッターが横に動いてしまうのは、セッターの責任ではなくレシーバーの問題では?また、長身選手=運動能力が低いというご意見には賛成しかねます。バレー選手としては阿部は高いわけではありませんし、朝長がとりわけ運動能力が高いのかというとそういうわけでもありません。これもまた記事中で指摘しましたが、日本には、「低い身長ながら運動能力が高い」ことで重宝されている選手がたくさんいます。そうした現状がかつて、「長身選手は運動能力が低い」という誤解を生みましたが(協会の中にはまだそう考えている年寄りが多い)、なんの根拠もない話です。

手首でためる件ですが、ブロックを振る方法はセッターによって違います。手首でためるセッターもいれば、体の反りを利用するセッターもいます。世界最高セッターと呼ばれたブラジルのリマは、手をほとんど曲げずに高い位置でボールにさわり、そのまままったくためることなく左右のアンテナ一杯まで速い平行トスを出せるセッターでした。

ブロックが2枚つくケースというのは、クイックに2枚なのかサイドに2枚なのかわかりませんが、後者ならまあ普通ですよね。クイックに2枚つくケースが多いとしたら、日本の攻撃が単調になっていたんだと思いますがいただいたコメントだけでは何ともいえません。
by rio (2006-12-07 13:14) 

てつお

とりあえず、見ないで論評するのはいかがかと思う。
by てつお (2007-06-06 05:17) 

rio

てつおさん、コメントありがとうございます。

私は一連の世界バレーを見られない状況にあることを明らかにした上で、書き始めました。そのために、ウェブで拾える資料をもとに考察したという体裁をとっています。そのため、仮説についてはそれと分かるように記述したつもりです。これは一つの手法であり、否定されるものではないと思います。

「見た」といっても、それがテレビを通している場合、本当の意味で「見た」ことにはなりません。テレビ局の”ストーリー”に基づく編集、カメラ割りが行われ、視聴者をテレビに都合のいい方向へ導く仕組みになっているからです。世界バレー開催中には、あちこちのブログで「山本選手がたくさん映ってよかった」というコメントがあふれました。テレビを通じて「見る」とはそういう側面を持っています。

あるいは、ナマで見たもの以外の論評はするべきではない、というご意見なのでしょうか。そうだとすれば、あらゆる論評活動の否定につながると思いますが、いかがでしょうか。
by rio (2007-06-06 07:30) 

ひらおか。

ブログ拝読しました。
rioさんの考え、
例えば
「「世界化=大型選手をスーパーエースにする」という上辺だけの改革に走ってしまった。その意識は大学以下の現場にも浸透し、10代のころからレシーブやネット際の技術を免除されてきた”点取り屋”が増え、彼らが今では、Vリーグの中堅~若手となっている。一方、その技術力不足を補う存在として、”低くても計算できる”選手が重宝される伝統も残り、両立させるべき”高さと技術”が分業されるというとんでもない風潮を生んだ。」
なんていうのは、もう、ほんと、
その通りです、ごめんなさい、って感じで
私はまだまだです(恥)
私が日本とすれば
rioさんはプエルトリコと言った感じでしょうか(笑)
これからもバレーに限らず
鋭い考察、楽しみにしています!
by ひらおか。 (2007-11-29 21:55) 

rio

>ひらおか。さん、コメントありがとうございます。こちらこそ、ひらおかさんのお考えにまったく同感です。いつの日か、この番組を徹底追及した番組を作ってください!
by rio (2007-11-29 21:58) 

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