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タミフルの使用制限、いまさら? [今日のニュース]

 インフルエンザの治療薬「タミフル」を服用した10代の子どもたちの間で異常行動(数人は死亡)が起きた問題で、厚労省がやっと使用制限を指示した。にもかかわらず、服用と異常行動との因果関係には否定的な姿勢を崩していないという(朝日新聞3月21日付朝刊)。

 「ない」ことを証明することは非常に難しい。しかも、実際に異常行動が起きている。正式には、「タミフルの服用と異常行動との因果関係は証明されていない」のであって、厚労省は何を根拠に「否定的」な態度をとっているのか。これまで製薬会社と癒着して何度も薬害事件を引き起こし、裁判で負け続けているにもかかわらず、その体質がまったく改まっていないところが恐ろしい。 

 この問題をずっと取り上げてきたのは、主要なメディアの中では毎日新聞だけだったと思う。3~4年前の最初の犠牲者のころから特集を組み、警告を鳴らしていたが、政府はもちろん野党も他のマスメディアも、タミフルの効能と、日本の備蓄状況についてのみ関心を示し、危険性については「無視」を決め込んでいた。

 その背景には、アメリカのラムズフェルド元国防長官がかかわっているという”疑惑”をCNNが報じたときも、それを継続的に取り上げたのは毎日新聞だけだったように記憶している。その概要は下記(フリー百科事典のウィキペディアから引用)。

 (rio注:ラムズフェルドは)いまや世界中のインフルエンザ特効薬タミフルの特許を所有しているバイオテック企業ギリアド社の会長を1997年から2001年の間つとめ、また、ギリアド社の株式を多数保有している。鳥インフルエンザ拡大によるタミフル争奪戦により、ギリアド社株式によって巨額の富を築いたとCNNは報じた。

 日本のタミフルの備蓄量はいまや、世界の8割を占めるという。日本の国民皆保険制度が普及を広めたという”言い訳”がまかり通っているが、ちょっと待てと言いたい。タミフルはインフルエンザに感染(発症ではない!)してから48時間以内に服用しなければ効果が無い薬なのだ(発症後48時間以内の服用で症状が1日ほど早く治まるという海外の臨床結果もある)。インフルエンザウイルスの平均潜伏期間は3~4日と言われる。つまり、発症してから病院に行き、タミフルをもらって飲んでも手遅れの可能性があるのだ(逆に言えば、医者は手遅れであることを知ってて処方し、患者はそれを知らずに服用している場合もありえる。それこそが皆保険制度=保険点数稼ぎの弊害だろう)。

 05年度の日本での服用者は860万人ということだが、このうち何%の人が感染後48時間以内に服用したのか?感染しても発症しないひともいるのに、本当にタミフルは治療→感染拡大の防止に役立っているのか?などなど、これまでもさまざまな疑問が専門家から出されているにもかかわらず、厚労省はすべてに対して明確な回答をしていない。ひたすら「タミフルは特効薬。備蓄は危機管理の一環。異常行動との因果関係は不明」で押し通してきたのだ。

 日本だけ突出して備蓄量が多いのは、世界各国がこのようなハイリスク・ローリターンの薬には手を出さなかったと考えることもできる。もっと言えば、アメリカ>日本の従属関係、そして政治家と製薬会社の癒着こそが、日本を「タミフル漬け」にした原因なのではないか。

 この件に関し、WHOの数字を元に、「タミフル服用後の異常行動死よりも、インフルエンザ感染による死亡数のほうが圧倒的に多い」という反論があることは知っている。しかし、インフルエンザ治療薬はタミフルだけではないし、それよりも重要なことは、感染しないための予防策である。万が一、インフルエンザに感染し、それも48時間以内に運よく気づいてタミフルを手に入れたとして、異常行動が起きることを覚悟で飲まなければならない薬。こういうものを「特効薬」としてもてはやして本当にいいのか?


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rio

追記
ほら、出てきた。厚労省、異常行動の報告例15件中、6件(交通事故死1件を除く!)しか公表していなかったすべて報告して主権者の判断をあおぐのが当然なのに、隠していたのだ。その言い訳が「愛知県、仙台市で連続して転落死が起き、注意喚起をした2月28日以前の事故だったため」(朝日新聞のサイトより)。あほか。以前に起きた事故でもタミフルとの関連性が疑われるからこそ、厚労省に報告を上げているのだ。こういう官僚に限って自分の身内にはタミフルを飲ませていなかったりするんだろうな。
by rio (2007-03-21 23:31) 

rio

追記2
朝日の報道では報告例15件だったが、毎日は「輸入販売元の中外製薬(東京都中央区)から報告があっただけで23件」と正確に報じている。朝日の数字はおそらく、中外製薬の報から厚労省が勝手に中抜きした数字をそのまま報じたのだろう。なにやってんだ、朝日?22日付朝刊の社説も間抜けとしか言いようが無い見出しからして「つき合い方を考えよう」。被害者がこれ読んだら怒り心頭だろうなあ。テレ朝の報道ステーションでも古館伊知郎が「厚労省がもっと早く指示を出していれば防げた」という趣旨の”批判”をしていたが、危険性について報じてこなかったくせによく言うよ。権力の監視役にも主権者の目や耳にもならないマスメディアって何のために存在してるんだ?
by rio (2007-03-22 07:25) 

rio

追記3
次から次へと「新事実」が出てきたため、ついに厚労省は因果関係について「否定的」との見解を撤回。

厚労省に組織的な問題があるのは明らかだが、しつこく言うが、今回の問題はマスコミの責任も非常に大きい。各マスコミが本腰を入れて動けば、これだけの話ぐらい簡単に出てくるのである。なぜ早急に動かなかったのか。遅くとも(死亡例が出た)2004年に、大々的なキャンペーンを張るべきだったのではないか。マスコミは厚労省を断罪するけれども、マスコミの責任についてはどう考えているのか。
by rio (2007-03-24 08:39) 

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