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ひよったマスコミ/懲りない安倍・久間 [けっこう気になる]

久間発言について、全国紙5紙のうち、当初から久間の辞任・罷免について踏み込んだ見解を示したのは日経だけだった。毎日がやや突っ込んだものの腰が引けていたことは否めない。朝日、読売、産経は完全にひよったのである。2日朝刊現在、朝日はナガサキ・ヒロシマの怒りに押される形で恐る恐る歩みを進めたが、読売・産経はまだひよっている。なんでこんなに世論との温度差が出てしまったのか。

原爆「しょうがない」派には三つの理屈がある。
1、アメリカの理屈で、「戦争を早期終結させたことで米軍の犠牲を減らし、ソ連の参戦を防いだ」とするもの。久間が今回、口にしたのがこれだ。
2、中韓の理屈で、「日本の侵略を早期に終結させたことで中国人、朝鮮人の犠牲を減らした」とするもの。こちらは、左翼に支持されてきたほか、本島・長崎元市長もたぶんこの立場だ。
3、昭和天皇の戦後の発言で「原爆投下は戦争中のことだったからやむを得なかった」とするもの。「もう少し戦果を上げてから」と戦争継続を指示し、沖縄戦~原爆投下の悲劇を招いた元最高責任者の理屈である。

朝日・毎日がひよったのは、上記3つのうち、2番目を支持する勢力が社内に少なからずいる(いた)からではないかと推測する。おそらく、戦後の両紙の報道を丹念に追っていけば、「原爆しょうがない」派と目される記事がいくつも見つかるはずだ。

一方、読売・産経がひよっているのは、この問題が拡大・長期化して安倍内閣が吹っ飛ぶと、悲願の憲法改正が遠のくという危惧があるからではないか。政権に歩調を合わせるように、火消し・沈静化に躍起となっているように感じる。読売は「政府 戦後は抗議せず/米の原爆投下」という解説記事までつけ、発言を擁護している。

政権が吹っ飛ぶと困るのは日経も同じだろうが、こちらは安倍でなくても自民(たとえば麻生)であればよい。むしろ、内政・外交とも担当能力のない安倍内閣は早く終わってほしいと思っているだろう。問題が長期化して政権が混乱し、景気に悪影響が出ることだけが怖いのだから、久間にはさっさと辞めてほしいというのが本音だと思う。

さて、当の久間にはまったく反省の色が無い。例えば、
当初はマスコミに責任転嫁し、「わざわざ報道するほうがどうかしている。報道した記者にはそのうち報いがある」と恐喝まがいの発言までしていた。
「”しょうがない”は私の口ぐせ」などと開き直っていた。
これから先は講演で言ったような話はしない」としたが、撤回はしなかった(これを各マスコミとも「事実上撤回」と報じたが、これもやはりひよっている証拠だ)。

安倍は読売新聞の取材に答えていわく、与党内からの批判については「選挙を控えているからそういう気持ちになるのもわかる」とし、「その観点から官邸に呼んで注意した」としている(2日付朝刊)。つまり、発言の内容ではなく、「参院選があるから慎め」と注意したのだ。さらに、小沢との党首討論で激高。「小沢さんは自民幹事長時代に、原爆投下についてアメリカへ謝罪を求めるよう(当時の首相に)進言したんですか?してないでしょう!」と意味不明のことを口走った。もう、終わってる…。

【追記】
そして久間防衛相、辞任。安倍首相、慰留せず。しかし、更迭ではなく。

辞任したのは発言の過ちに気づいたからではない。久間は辞任の理由を「私が思ったのと違った形で(発言が)伝えられて、理解を得られていない」(読売新聞)、「参院選への影響も懸念して決めた」(朝日新聞)と語っている。つまり、「報道が真意を間違って伝え、それを国民が誤解したため、参院選で自民党が不利になってしまうから」辞めたのである。久間に言わせれば、悪いのは”誤解”した私たちだ。

辞任は公明党が一斉に反発したのも大きい。公明党の女性票を左右する浜四津敏子代表代行まで久々に表に登場し、辞任をうながした。いまや自民の下駄の雪になりかっていた公明。「平和の党」として、原爆容認は見過ごせなかったということか。従軍慰安婦問題のときからもっと自民を牽制していれば、こうはならなかったのではないかと思うよ。


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コメント 4

madoka

すごいなあ!今、ニュースでちょうど久間が映ったのですが、辞任の理由を「参院選で党の足を引っ張ったらいけないと思って」「安倍首相にとってマイナスになったらいけないから」ってはっきり言ってた。もう笑っちゃいますね^_^;
by madoka (2007-07-04 00:40) 

rio

madokaさん、安倍、久間もそうですが、各マスコミも右往左往ですね。今朝の読売新聞朝刊などは1面の赤座弘一政治部長のコラムと社説の2本立ての手厚さで、論点のすり替えに必死。”政策論争が安倍政権の活路”とか”騒いで政局にした野党もどうかしている”といった論調で、頭がおかしいんじゃないかと思いました。

他の新聞はまだきちんと読んでませんが、産経新聞はなぜか漫画家のやくみつるのコメントを取ってました。やくみつるといえば、朝日で一コマ漫画を担当し、テレ朝にもコメンテーターとして出ているひと。そんな”朝日ブンカジン”に頼らず、”産経ブンカジン”に聞けばいいじゃないかと皮肉を言いたくなりますね。”産経ブンカジン”だと「いやあ、原爆はしょうがないよ」と言いかねないから聞けなかったってことなんだろうな
by rio (2007-07-04 09:52) 

roshy

安倍首相のこの世間を伺うような、へっぴり腰が自らの政権を、尚危なくしていることに気がつきません。それが坊ちゃんといわれる所以です。こんなときこそ毅然とした判断が出来るようなら救いはあるのですが、次が麻生なんて、もっとこの国は救われません。一度野党に政権を渡すことを希望しますが、その野党たるや、野合連合でしかありません。この救いのないことがもっと悲劇です。
by roshy (2007-07-04 11:41) 

rio

roshyさん、コメントありがとうございます。

野党もぜんぜんぱっとしないですねえ。そのことを批判されると二言目には「与党に300議席も与えたのが…」と主権者の愚痴をこぼす始末。小泉に引っ掛けられた主権者も浅はかでしたが、裏を返せばそれほどまでに野党を信頼できないということですから、愚痴を言うのはお門違いですね。

私は発想をかえて、野党が政権をとるというより「自民が再び下野する」ことで政治・行政がよりマシになる期待を感じています。長らく与党にあった知識と経験を生かした”野党自民”の国会質問は、いまよりずっと緊張感があると思います(実際、そうでしたし)。また、利権だけのエセ政治家が自民離党を画策するでしょうから、本物と偽者の区別がはっきりすると思います。
by rio (2007-07-04 12:21) 

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