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韓国にも登場、”新しい歴史教科書”で議論百出 [今日のニュース]

韓国の近現代歴史教科書に、ニューライト陣営が”新しい歴史教科書”を投入し、上を下への大騒ぎになっているそうです。

朝鮮日報(24日付)より引用。出版に至った理由は、

民族主義史観や分断体制論に立脚し、大韓民国の歴史的な意味を矮小(わいしょう)化した現行教科書の問題点を改める

ためだそうで。なんだか分かりにくいのですが、25日付社説は以下のように解説しています。

この教科書(←これまでの教科書のこと)は民衆史観に立脚し、大韓民国については事細かくネガティブに記述する一方で、北朝鮮については常に前進を繰り返してきたかのように称賛するような内容だった。

日本ではやった言葉でいうと「自虐史観」に基づいていた、ということですね。そんでもって、新しい教科書のポイントは、

韓国の現代史において、大韓民国の正統性を守り、韓国史の主体を「韓民族(朝鮮民族)」ではなく「韓国人」とすることで民族主義と距離を置き、日本の植民地時代に、強圧的な統治と同時に経済開発もあったことを認める (24日付記事より)

国家の分断や韓国戦争(朝鮮戦争)についての最新の研究成果を取り入れることで、北朝鮮とソ連の責任を明確にした (26日付社説)

だそうです。韓国内からは「(日本の)扶桑社の歴史教科書の韓国版だ」と批判する左派陣営と、「新しい教科書は建国の真の意味を基調としたものだ」という右派陣営の間で、すったもんだが繰り広げられているようです。

韓国の教科書に「植民地統治は悪いこともあったが良いこともあった」という記述が載ることは驚きですね。私の友達の韓国人(一部)は以前からこういう意見を持っていましたから、心情的に近いものを持っている人は少なくないのかもしれません。

政権交代で左派から右派へ、大きく切り替わっているタイミングでの出版。まあ、扶桑社の時もそうでしたが、採択する学校はあまりないのではと想像します。それよりも、現行の教科書を相対化し、記述を再点検させる役割を期待したいと思います。


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大鷲の健

今日は。
韓国では、新しい大統領が、これからの日韓関係は、過去の歴史にとらわれないような関係にしていきたいという趣旨の発言をしていましたね。
前向きととらえればそうでしょうし、実際にその当時を経験していない若い人たちにとっては、植民地時代のことはおじいさんおばあさんに聞かないと分からないことで、普通に音楽やファッションなどで日本の流行が入ってくる時代にはそぐわないような内容は検討すべきということでしょうか。
しかし、本当にそうだろうかと自分は思います。
教師は(保護者も)、次に使用する可能性のある教科書全てを閲覧することができます。(見に行くような時間がある人だけですが)その時に初めて見た、新しい歴史教科書への驚き。現場でも否定的な意見が相次ぎました。
他国へおこなったことへの反省、そしてその事実を知った上で新しい友好的な地道な国際関係を築いていかなければならない。そのことを新しい世代に教科書を通じて(だけではないですが)学ばせることが大切なことで、当然だと思っているのですが。
韓国で、日本のような流れが生まれたことに驚き、悲しく思います。
そして、植民地時代に一番に犠牲となった、庶民(一般の国民という意味です)の方々に正式な謝罪と保障がないまま、日本も新しい道を進もうとしていることに恐ろしさを感じています。
おっしゃるように、相対化と再点検ですよね。自分も注目していきたいと思います。日本の教科書が、沖縄の記述であれだけもめていることにもあきれています。事実を事実としてとらえきれないということは、不幸なことですね。
by 大鷲の健 (2008-03-27 14:00) 

rio

>大鷲の健さん、日本の『新しい歴史教科書』は市販されたものを読みましたが、質が悪くててんでお話にならないと思いました。あれが採択率1%だったのは妥当な結果だと思います。

韓国の”新しい歴史教科書”がどういう内容なのかは、翻訳でもされない限り知る由もありません。が、歴史記述に「事実100%」がありえない以上、左から右まで、さまざまな論調が出てくるのは歓迎すべきことだと思います。すべての面から光をあてなければ陰はなくなりませんから。

私は何人かの韓国人の友人(学生たち)から「日本は何度も謝罪している。そんなことをいつまでもやってても仕方がない」という声を聞きました。それが韓国世論を代弁しているとは思いませんが、韓国内でも一定の説得力がある意見なのだと思います。

また、個人補償の問題を持ち出してきたのは韓国左派政権であって、韓国右派は補償は解決済みという日本と同じ立場です(←右派が締結したわけですから当然といえば当然ですが)。国益重視のイ・ミョンバク大統領の登場で、この点もまた、振り子のように元に戻るかもしれません。

いずれにせよ、今回の韓国での論争は、いずれ日本にも波及すると思います。もしかしたら、対北朝鮮政策の転換とあいまって、中国にも影響が及ぶかもしれません。そういう気持ちで注目しています。
by rio (2008-03-27 23:06) 

大鷲の健

再び、お邪魔します。
「補償」ということを書きましたが、日本から韓国に対しての補償は、個人補償ではなく、企業の商品による「物による国に対する補償」がなされたように記憶しています。そのように条約(のようなもの)も締結されたと思います。
確かに謝罪を繰り返している国、日本ですが、謝罪していることと正反対のことを繰り返しているような気がするのです。
謝罪ってなんなのか、とその度に考えさせられているので、書き込みさせていただきました。失礼しました。
by 大鷲の健 (2008-03-30 14:56) 

rio

>大鷲の健さん、日韓は国家賠償、日中は中国側の賠償放棄でした。モノではなくカネで支払っています。ただ、日本政府の位置づけは「経済援助」、韓国政府の位置づけは「賠償と経済援助」で、ここをあえて統一しないという政治決着が図られています。

韓国としては、時間のかかる個人補償を求めるよりも国家賠償で手を打って、それを経済成長に振り向けるほうが得策、という判断だったとされています。

その際に、「韓国民の個人補償は韓国政府が行う」という合意だったはずが、交渉の非公開を利用して韓国政府はこれを反故にし、経済成長に資金を投入。1980年代に入って賠償金効果が薄れてくると、「日本政府による個人補償」を持ち出してきたのでした。

そうした背後で暗躍したのは、「賠償ビジネス」のうまみを知った日韓の巨大商社と、そこに連なる政治家たちだといわれています。

現実問題として、韓国が個人補償を求めていても実現できなかったと思います。韓国人への個人補償を始めれば、アジア諸国もそれに続いたでしょう。国家賠償は放棄した中国も、個人補償は求めてきたかもしれません。そうなると日本にそんな支払い能力は無く、第1次大戦後のドイツのようになっていたと思います。

また、ベトナムに出兵した韓国も含め、侵略国が被侵略国の国民に個人補償をした例は恐らくないのではないでしょうか。それどころか、「謝罪」をしたケースですら、ほとんどありません。

日本はアジア女性基金の設立や、民団や総連への税制優遇措置など、民間の活動から、脱法行為すれすれの手法まで動員して、(商社の振り付けにせよ)手を尽くしてきた感があります。

豊かになったいまの韓国、中国の政権は、これまでのようなスジの悪い外交カードをちらつかせるよりも、友好に経済活動をした方が国益になるというレベルに達しているのだと思います。個人補償や謝罪の要求は、そのうち聞かれなくなるのではないかと思います。
by rio (2008-03-30 23:28) 

大鷲の健

大変勉強になりました。
もう1回本を読み返したりして、勉強し直してきます。
ただ、韓国、中国の当時の人々が訴えたり、重い口を開いてくれることがなければ、「あったこと・起こったこと」を知ることも難しい(沖縄もそうですが)ということも現実だということを考えさせられています。

話は変わりますが、「靖国」の映画への政治介入の件、危ない雰囲気を感じているのが自分だけではなければいいのですが。
by 大鷲の健 (2008-04-05 14:29) 

rio

>大鷲の健さん、靖国の映画の上映中止は、政治家向けの試写会があった直後に何らかの圧力がかかり、映画館側が次々に屈服したというものですよね。私も大鷲の健さんと同じく、非常に危険な空気を感じています。

抗議している側の多くは「上映する自由があるのと同じく、抗議する自由もある」というまっとうな立場だそうです。

ただ、「抗議する自由」を言うなら観てからでないとおかしいわけで、そういう意味で、右派代表の産経新聞が「賛否はともかく、観てみたい」と書いたのは当然だと思います。つまり、まともな右翼であれば、「まずは上映しろ」と言わなければいけないはず。

見もせずに上映中止を求める右翼なんてのは試写会に出た政治家と同じぐらいにポンコツだと思うんですが、ほとんどのマスコミはそこを掘り下げず、上映中止→右翼の圧力という図式に単純化してしまいました。

この点についても、非常に危険性を感じます。マスコミの思考停止の背景には、読者の思考停止があるわけで…。早く手を打たなければいけないと思います。
by rio (2008-04-05 19:07) 

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