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「地図を読めない女」の誤解/Nスペ・『女と男』 その2 [これはいいね]

私はNHKに縁もゆかりもないのですが、Nスペ『女と男』シリーズのとくに第2回が面白く、こうして勝手に広報活動にいそしんでおります。再々放送(←再放送はもう終わってしまいました)があれば、ぜひごらんください[ムード]

第2回のテーマは「地図の読めない女」。いきなりテーマに切り込むのではなく、そこに至るまでに、男女で発症率が違う病気の話とか、思春期の発達の違いとか、いろいろと男女の違いについての予備情報を与えて、下ごしらえ(=無用な批判を避ける工夫)をしているあたりが、さすが”みなさまのNHK”です。だから受信料はビタ一文まけません。

ちなみに、うつ病は思春期ごろから女が急増、アルツハイマーは女が男の2倍。一方、自閉症は男が女の2.5倍だそうです。

それでもって、問題の「地図」です。公園(墓地?)で、メモを頼りに、どこかに置かれたコインを見つけるという実験で、中年の白人男女が実験台でした。

渡されたメモは、方角と距離だけが書いてあるもの。「1、東に150メートル 2、南に100メートル」とか、そんな感じです。男は時間と太陽の位置から方角の見当をつけ、歩幅で距離をはかって、ほとんど迷わずにコインを発見しました。ところが、女は迷いまくり。実験を担当しているおばさん教授に何度もヒントをもらい、やっとのことでコインにたどりついたのです。そうです。やっぱり、女は地図が読めないのです。

というだけで終わるわけないですよね。コインの場所を変え、教授は次に、別のメモを男女に渡しました。そうすると、女はすいすいとコインにたどりついたのに、男は迷いまくって泣きが入り、見つけるまでにかなりの時間がかかったのです。そのメモとは…方角や距離ではなく、「ちいさい人形の像のあるカドを左」とかの具体的な目印が書かれたものだったのです。

つまり、空間認知能力にすぐれた男には、方角と距離で書かれたメモが有利。言語能力にすぐれた女には、具体的な目印が書かれたメモが有利。ということなんだそうで、それぞれに有利なメモを使えば、結果=コインを見つけ出す速さには、たいした違いはないのだとか。

では、なぜ「女は地図が読めない」と言われるのか。それは、地図が方角と距離で書かれている=男有利にできているからなんだそうです!いやー、目からウロコ。

言われてみれば、女向けのグルメ雑誌や観光案内なんかは、「ここにポスト」「かわいい雑貨屋さんの横の通り」みたいな目印が、地図の縮尺を無視してやたらと載ってますが、そういうことだったんですね。いっそ、そういうタイプの道路地図や海図も作ってみてはどうでしょう?「趣味の悪いムラサキ屋根の家のカドを右」とか、「○×島の島影がしゃくれたアゴに見えるあたりにイカの群れ」とか。

などと書いてますが、決してバカにしているわけではありません。

実は私、地図が読めません…orz

言葉を手がかりにして目印をすばやく見つける能力の仕組みについては、まだ解明されていないそうです。ただ、こうした能力の違いは、男が狩猟/女が採集という役割分担の時代(何百万年も昔)にできたと考えられているとのこと。

そして、それを裏付けるもう一つの研究を紹介していました。IQテストで同じような成績をおさめた男女の脳を調べると、使っている部分がぜんぜん違っていたというのです。女は”ブローカ野”というところで、男は…忘れました。使っている場所が違う=問題解決へのアプローチが違うということだそうです。しかし、そのことは、結果の良し悪しとは関係ない!と、NHKは繰り返し強調していました。

でもって、おちこぼれを作らせないようにとの目的で、「アプローチの違い」を意識した女子クラス/男子クラスを導入しているアメリカの例を紹介していました。いわゆる、日本の女子校/男子校とは違い、共学の学校に選択クラスとして設けられているそうです。大事なのは性差よりも個人差ですから、選択制度が望ましいのは言うまでもありません。

紹介されていた授業スタイルが特徴的でした。たとえば読書の時間。女子クラスはフツーにイスに座って読んでいましたが、男子クラスでは、寝転がったり、机の下にもぐりこんだり、狭い隙間に入り込んだり。あえて好き勝手にさせているんですね。不自然な体勢&場所での読書、私はいまだによくやります。こうした現象を、いままでずっと「男子はバカだから」だと思ってたのですが、そうじゃなかったんですね。男子は「男子だから」こういうバカなことをやるのです。似ているようで大違い。ああすっきり!

また、先生の口調や指導スタイルも違っていました。女子クラスは、仲良し同士の「ペア」「協力」がキーワード。先生の口調も柔らかいのです。一方、男子クラスは、先生があえて命令口調で「ボス」であることをはっきりさせ、お互いに競わせていく手法でした。そのほうが、活気が出て能力が伸びるのだとか。私のように、競争も命令もペアも協力も苦手なタイプはどうすれば…あ、普通に共学クラスに行けばいいのか。

↑この違いの背景にあるのも男女の違いです。女は、お互いにコミュニケーションを取りながら、複数のことを同時に処理していく能力にすぐれ、男は、相手と競いながら、優先順位の高いものから一つずつ処理していく能力にすぐれているのだそうで。なので、ビジネスでプレゼンをするときにも、相手が女か男かで、アプローチの方法がかわってくる、というところまで話を展開していました。

ちなみに私は…って、自分のことばかり言ってますが、私は「人とバカ話をしながら、深刻な内容の文章を書ける」とか「テレビを見ながら本を読んで、両方とも理解できる」とか、そういうまったく別のことを同時並行でできます。ずっと「特技」だと思ってましたが、男でそれができるから、ちょっと珍しがられていただけなんですね…。

それはともかく、こうした男女の違いは、人類が発展していくために必要な役割分担で、どっちが良い悪いという話ではないんですね。ということは当然、男に有利なやり方を”正しい”と考えてしまう集団や個人より、それぞれの特徴を活かした役割分担ができる集団や個人のほうが発展性があるわけで。

だから、母子家庭や父子家庭では、親ががんばって”1人2役”をするということだったんですね。よくわかりました。

だとすると、たとえば部活では、男子部のマネージャーは女子、女子部のマネージャーは男子、としたほうがいいのかもしれません。

その昔、高校ラグビーの監督から「うちに女子マネージャーは必要ない!」との持論を聞いたことがありましたが、そんなガンコなことではいけませんね。やっぱり、水をいれたヤカンを持って走ってくるのは、女子マネがいいんです。ええそうです。そうに決まってます。ラガー男子のために、ぜひそうしてあげてくださいと、機会があったらお願いしておきます(謎)

(追記)
その3は、精子の数が減っているとか、SRY遺伝子がどーのこーのとか、顕微授精があーだこーだとか、なんか理系っぽい話がいろいろで、それはそれで興味深かったのですが、いろいろ確認するのが大変なので、割愛します。またの機会に。


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古都の侍(へなちょこ目へなちょこ科:♂)

こんばんは。

TV見ながらテスト勉強、TVのCMの間を使って受験勉強。私はそうでした。
朝飯食いながら、TVを見ながら、新聞を読んで、髪をとかす(←私の朝の日課=行儀が悪いorz)。
TV見ながらクロスワードしたりしてもどちらも理解できますよ。大抵いつもそうです。
どうやらrioさんと私はタイプが似ているようですね。私はこの私生活を人に言うと「珍妙」だと言われます。と同時に、「要領がいい」とも(・・・という自画自賛、または自己陶酔・・・)

小さい頃から女子社会(複雑な家庭環境)で育ったので、どうやら私は男子とはなかなか合わないようです。因みに同世代ともなかなか合いません。世代が離れた方の方がフィットします。
球場で酔っ払いのオヤジと仲良くなるのが特技、だと言うと周囲に引かれます(違)。

まぁ、育った環境がこういうのって大事なんじゃないでしょうか?と言う風にわたしは思います。そして、「三つ子の魂百まで」なんだなぁとも。


by 古都の侍(へなちょこ目へなちょこ科:♂) (2009-01-29 01:11) 

rio

>古都の侍さん、私も環境要因がいちばん大きいと思います。

「男は地図が読める」ってなことになってますが、私のように読めないヤツもいるわけで。私の父がそもそも、あまり地図に強くないんですね。本人は強いつもりになっていますが、昔はよく道を間違えて迷っていました。いまでは、方位磁針を携帯しています。その息子が地図に強くなるわけないですよね。

旧友の一人(高校時代に山岳部)が遊びにきたことがありました。ヤツにとって初めて訪れた土地なのに、地図も何も見ずに「駅→目的地→もとの駅」の方角をきちんと把握していて、「こっちの道じゃないの?」と”案内係”の私の間違いを指摘されたことがありました…。衝撃でした。

そういえばヤツは、「問題解決能力」が高く、一つのことを集中してやり遂げる力に優れていて、某有名企業でバリバリ働いています。一方、目印を発見する能力は極端に低く、よく「フシ穴」とか言われていました。生返事して人の話を聞いていないこともしばしば。

そういうタイプの正体はきっと、”進化以前のオス”なんでしょうね。我々は”進化後のオス”ということで(笑)
by rio (2009-01-29 06:55) 

area71

面白そうな番組です!興味深い話をまとめて下さってありがとく思います!視聴したいですが、再再放送でも無理ですね。
需要のない個人情報コメントですが、私は、現実を無視した縮尺の地図を頼りにしてしまったときなど、軽くめまいを起こします。
 地図上で100m進んだとしてそれを基準に地図を読み取ろうとして、えらい目に遭ったこともあります。
 〇〇の法則とかいうやつで、「おばさんに道を聞くということは、また別の人に道を聞かなくてならなくなるということである。」というのがありました。
 旅をしまくるので、人に道を聞く機会が非常に多いのですが、道の説明の仕方にも個人差があると実感しています。こちらとしては、ここから、どの方向に向かって、どのくらいの距離でそこにつくのか、という情報が欲しいのに、目印になるものを多くいわれると戸惑う!という点では、納得行きました。最終的に曲がらなければならないところも目印だけがあればいいのですが、目印を多く言われてもそのどれかを見落とすともう手がかりがなくなる、というが一番避けたいところです。

 物事を同時進行で進められないというのも、特徴であっても何の特長でなく、むしろ不便なことの方が多いと思います。不器用というのとは違いますよね。

 テレビを見ながら本も読めないですし、人とバカ話をしていたら、書いている話もバカになりますし、時間の活用が出来ない日々を生きています。
 
by area71 (2009-01-29 09:42) 

rio

>arera 71さん、いやー、笑ってしまうぐらい、私と正反対ですね。

私は、たとえば「○○駅1番出口を出て、東に約200メートル」という看板を見ても、ほぼ100%たどりつきません。東ってどっちだよ!とか、200メートルなんてわかんねーよ!というところから始まります。

なので、道を教えるときも、まさに「おばさん」仕様です。やたらと道を聞かれるタイプなんですが、「この道をこっちのほうにずっと行って」とか「銀行の看板が見えてくるあたりに曲がり角があって」とか。

相手がわかってなさそうな表情をすると、目印の描写をさらに具体的にしたりするんです(笑)。「銀行はね、たしか東京三菱なんですよ。あの、赤いやつ。けっこう大きめの支店なんですけどね」とか。

「西ですか、北ですか」とか聞かれても、「さあ…西ってどっちですか?」とか。相手が「西はこっちですよ」とか教えてくれたら、「じゃあ、こっちだから北かな」とか。「どれぐらいかかりますか?」って聞かれて、そんなの計ったことないからわかんねー、とか思いつつ、「そんなに遠くないですよ」とか答えてみたり。

われながら素敵すぎるなあと思いながら、一生懸命教えてます。

こんな私にとって、「碁盤の目」でも、ブロックごとに「○条○丁目」で表示される札幌は、慣れるまでが大変でした。でかい交差点で表示を見ると、いつも方角がわからなくなって大混乱。結局、「道庁がこっちに見えるから西」とか「創成川がこう流れているから北」とか、そういう目印で乗り切っていました。

大学から北にまっすぐ帰ると我が家だったのですが、いまでも忘れない1年生4月の初日、吹雪の中をまっすぐに西へ進み、札幌のど真ん中で遭難するんじゃないかと思ったことがあるほどです。

一方、京都は楽勝です。京都はブロックではなく、縦横の通りそのものに、ぜんぶ名前がついているからです。ですから、北=上がる、南=下がる、という表現と通りの名前を覚えてしまえば、絶対に迷いません!(当たり前ですね)

番組によると、男は狩猟→逃げる獲物を追いかけてしとめたとき、そこから家まで最短距離でもって帰らなければならないので、方角と距離の感覚が発達したとのこと。一方、女は採集=どこにどんな植物が生えているかを記憶して、集めてまわらなければならないので、目印の感覚が発達したそうです。

でも、現代人は獲物を追いかけて走らなくてもいいので、方角と距離の感覚はすたれつつあるんでしょうね。areaさんや私の旧友のようなタイプの人は、どんどん貴重になっていくような気がします。

ものごとを同時進行できないということで、ふと思い当たったのですが、一般人、スポーツ関係者を問わず、性格が「筋トレ」に向く人とそうでない人がいるような気がしませんか?

同時進行できない人は筋トレに向いていて(没頭できるから)、同時進行できる人は、つい「ながら」になってしまうので成果がでにくい、とか。

あまり踏み込みすぎると疑似科学になってトンデモ入りしてしまいますが、そういうのが解明されると面白いなあと思ってます。
by rio (2009-01-29 11:49) 

しっぽなし

こんばんは。

他のことをしながらでないと勉強できなかった私です。

「話を聞かない男」の正体のお話でも、なるほど!私が○○さんと話しているとイライラするのはこういう訳か、と非常に納得でした。

rioさんが例に挙げた「○○駅1番出口を出て、東に約200メートル」、私も絶対目的地にたどり着けない自信があります。電車などのアナウンスでこのような案内が流れるたび、「こんなんで観光客がたどり着けるのだろうか」と心配していましたが、杞憂だったんですねえ。

私は碁盤の目の札幌は平気なんですが、やはり単に目印でわかるだけですね。「大通公園を南北の基準に山が見える方が西」みたいな。○条○丁目の表示はなるべくスルーしてます。
by しっぽなし (2009-01-29 22:57) 

カリメロ&パタリロ

そーいえば第一回目は見たけどあとは見ませんでしたねーどうせ本の復習だと思ったから…男はボスを決めて統率したほうがいい…ダメダメな大男の集団はこれからどうすればいいのでしょうか?
by カリメロ&パタリロ (2009-01-30 20:50) 

rio

>しっぽなしさん、役割分担をするように”進化”したのなら、お互いにイライラしない機能も付け加えておいてくれればよかったのに、と思ってしまいますよね。

札幌の○条○丁目にある建物に行くのに、そのブロックをぐるっと一周することがしょっちゅうありました。方向感覚にすぐれた人はそんなことないのでしょうか。不思議です。


by rio (2009-01-31 07:19) 

rio

>カリメロ&パタリロさん、ダメダメな大男の集団が所属している組織がダメダメですから、そう簡単にはどうにもならないような気がします。
by rio (2009-01-31 07:24) 

クインビー☆メルシ

解り易い男女の違いに、へ~へ~へ~と何度ボタンを押した事でしょう(笑)

rio様、お陰様で解りました。
何故、所が変ると地図を持っていても、分からなくなるか・・・【方角】なんですね。駅を出た時点で北が分かりません・・・
これは=方向オンチなのでしょうか?
随分前にトラックの運ちゃんから
地図は、常に北を上にして見なければいつまでたっても地理は覚えられないと聞きました(方角に合う様に地図をくるくる回してはいけない様です←私デス)

目印となるショップなどが記してあると完璧なんですが。
やはり女性なんです!

京都は【姉三六角蛸薬師】などの呪文もありますし、単純な上に道に看板が出ているので地図を片手に歩いている修学旅行生とかには親切な様に思います。

<男女の特徴を生かした役割分担>男子バレー部でブルマを履いてヤカンを持って走りたいと思います(20年若ければ♪)

でも、男性的要素も持ち合わせている事は否定出来ません(汗;)
寝転んで本も読みたいですし・・・
by クインビー☆メルシ (2009-01-31 20:44) 

rio

>クインビー☆メルシさん、私はいまだに、「なぜ地図をくるくるまわさずに理解できるのか」が理解できません…orz

「常に北を上に」ってねえ。その運ちゃん、なんて摩訶不思議なことを言う人なのでしょうか。地図は進行方向を上に向けるに決まってますよね(笑)。

そんでもって、方角と距離には見向きもせず、信号の数をかぞえたりするんですよね。 「3個目の信号を右か…」とかつぶやきながら、3個目の信号のところにきたら、また地図をくるくると回転させて。ジョーシキです。ふっ。

最近のロードマップは、信号だけでなく、コンビにとかいろいろな目印が書き込まれるようになったので、ずいぶんとわかりやすくなった気がします。

先日、都内で電車に乗っていたときのこと。私鉄沿線に点在する私立大学一覧のような広告があったのですが、なぜか南を上に書かれていました。レイアウト上、北を上にしても何の問題もないと思うのですが、なぜか逆。作った人はたぶん、女性か南半球の人なのだと思います。

ところで、バレーでブルマでヤカンというのは…借り物競争かなにかでしょうか。。。もしくは、とんでもなくレシーブがヘタで失神しまくりとか。。。こわいですねえ(←ブルマが、じゃないですよ)
by rio (2009-01-31 23:37) 

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