黒鷲旗・女子準決勝 宮下はシーガルズで育つのか??? [バレーボール]
黒鷲旗のテレビ中継(衛星)がようやく始まりました。男女準決勝で計8時間…orz 1日の3分の1をテレビの前にいる気力はなく、録画してやっと最初の試合を見終わりました。
JT対シーガルズは、ストレートでJTの順当勝ち。第1セットは互いに様子見でもつれたものの、第2セットでシーガルズが自滅。第3セットはシーガルズが“選手育成モード”に切り替えたため、JTはヨンギョンの打数をセーブしたままの楽勝でした。第1セットの探りあいからの展開を期待していた私としてはがっかりです。権威ある公式試合で勝負をあきらめるって、ありなんすかねえ?
シーガルズは今季、ブロック本数とサーブ効果率がリーグ最下位ですか?たぶん“高さ”(身長もジャンプ力も)でも下のほうですよね。サーブレシーブも悪い。結局、アラサー選手たちのホールディング気味プッシュプッシュプッシュばかりが目立つチームになってしまって、シーガルズ旋風が吹き荒れた数年前と比べると、明らかに劣化しているのではないかと。
そんな状況で、第3セットは注目の宮下がスタメン…でしたが、アタッカーがCワイドに走ってるのにトスがCとか、ブロードのトスがどんどんネットに近づいていくとか、アタッカーがカバーしきれないトスミスを連発。表情がこわばってしまってさらにミス…という悪循環でした。リーグと違って一発勝負の大会なんだし、実力の10%も出てない(はずの)宮下を使い続ける理由はなかったように感じました。
ただ、こんな↑状況でも、宮下の才能の片鱗はうかがえます。トスを上げるフォームはお世辞にも美しいとは言えませんが(←なんかくにゃくにゃしてる)、センターに上げるのかサイドにあげるのか、フロントかバックか、読みづらいトスではないかと。
従来のセッターの固定観念にもあまりとらわれてないようで(経験が浅いから?)、右からボールが来たから右向いて上げちゃえ!とか。アタックライン付近のライトサイド寄りから、完璧な縦Bのトスを上げてみたり。そういうプレーを普通にこなしていて、なんとも不思議な魅力です。
鍛えれば世界的なセッターになる可能性も秘めていると思うのですが、いまのシーガルズに所属していては…どうなんだろう。難しい気がしてなりません。
シーガルズのバレーは、とにかく低く速く。そのためなのか、ただヘタなだけなのかわかりませんが、サーブレシーブも低く直線的に返してますよね。そういうプレースタイルのチームに176センチのセッターって必要???それこそ、低くても足の速いセッターがいたほうが攻撃面では機能するんじゃないかと思ってしまいます。
黒鷲の第3セットでも、宮下がアンダーになってしまったり、腰をかがめてのオーバートスになってしまうケースがほとんどでした。解説のテラマワリンは「ボールの下に入るのが遅い」と指摘していましたが、そもそも、サーブレシーブをもっと高く返してあげれば済むことなのでは。
セットプレーの場合、サーブレシーブの返球スピードや高さは(セッターが処理できる範囲である限り)、攻撃の速さとは関係ないですよね。低くて直線的なサーブレシーブは、低身長セッターに合わせるための苦肉の策のはず。
一方、ラリーの場合は、相手の守備隊形が回復する前に攻撃したいので、直線的で速いレシーブを返したり、できればオーバーハンド(ジャンプも歓迎)でさらにボールの移動時間を縮めたりするのがセオリーではないかと。
男子の世界トップや、女子の中国辺りを見ていると特にそう思います。ところがどっこい。シーガルズだけでなく、Vリーグ女子のほとんどのチームは、これが逆なんですよね。セットプレーのときにトスを上げづらい直線的な返球で、ラリーのときは山なりのゆるーい返球。ひどいチームはすべてアンダーだったりします。
私の勝手な推測では、全日本女子で低身長セッターに合わせたサーブレシーブが長年続いていることや、全日本女子をパロディ化したバレーを展開している東龍が春高バレーで勝ち続けていることで、「それでいいんだ♪」的な解釈が日本女子バレー界に蔓延してしまっているのではないかと。
その結果、低くて直線的なサーブレシーブありきになってしまい、「だったらセッターは低くて足が速いほうが有利でしょ」という本末転倒が起きているのではないかと。
そんなこんなが積み重なって、170センチ台半ば以上の“大型セッター”が育たず…というか、大型セッターでも小型セッター用のプレーを強いられるために、持ち味が発揮できないのではないかという気がしてならないのです。
日本女子バレー界がそんな状況だとした場合、そのなかでも特に低くて速い…いや、速いとは限らず、とにかく低くて国内でもあまり通用しなくなりつつあるシーガルズバレーで、宮下は“世界の宮下”になれるのか。かーなーり、疑問です。
とは言え、宮下は大阪国際滝井に入りましたし、この先よほどのことが無い限り、ずっとシーガルズでしょう。ということであれば、シーガルズバレーの進化を期待するしかないですね。ボールをぽたぽた落とすプレーや、ジャンプの降り際ぎりぎりまでためて打つプレーなど、世界で通用しないプレーの比率を最小限に減らし、その分、宮下の能力と高さを最大限に引き出せる組み立てを研究してほしいと思います。
世界で通用しないプレーといえば、竹下の「ブロード攻撃おとりのライト攻撃」もその一つ。竹下、ほんっっっとこの攻撃が好きですね。黒鷲のこの試合でも何度か使ってました。
03年~09年までの7年間で、↑この攻撃は上背のある欧米チームにはまったく通用していません。
1、竹下のブロード攻撃のトスは同じ位置・同じ高さに上がる。
2、バックトスは上げる前からエビ反り。なので、基本的にばればれ。
3、「ブロード攻撃がおとりでライト攻撃」のパターンはあるが、その逆がほとんどない。
4、1~3の理由からブロード攻撃が読みやすい上に、トスが低いので、ブロッカーは思い切り跳ばない=すぐに2度跳びしてライト攻撃にも対応できる。
あたりが理由です。竹下がなぜこの攻撃を改良しないまま長年愛用しているのか。まったく謎です。
「ブロード攻撃おとりの、ライト→センターへの切り込み」もよく使いますが、これまたなぜか、セッターの前の“定位置”(いわゆるAクイックの位置)からの攻撃のみ。
個人技に頼ったコミットブロックのシーガルズにはこの攻撃(アタッカーは谷口)が面白いように決まっていましたが、国際試合では完全に見切られ、相手のライト側ブロッカーのヘルプまで間に合ったりして、びしゃんびしゃん止められています(アタッカーは木村)。たとえば、打たせる位置をセッターの真後ろにするだけで全然違った味わいになるはずなのに。謎です。
そんなこんながありつつも、決勝は予想通りJT対東レの再戦。Vリーグ決勝では、東レの傾向と対策の前になすすべもなかったJTですが、同じ失敗は繰り返さないはず。準決勝でヨンギョンを温存し、谷口を印象付けられたことで、東レのデータ分析にけっこうな負荷をかけたのではないかと想像します。とはいえ、センター石川がまったく機能せずに下げられているのは不安要素。竹下がどこまでがまんしてトスを散らせるか。そこにかかっている気がします。
こんにちは。女子の国内リーグは見ないといいつつ、やっぱり黒鷲はテレビ観戦してしまいました。
宮下に関しては、私もやっぱり注目してしまいます。
今回は見ていて気の毒になったのも同じです。
なんともいえない、かみ合っていない感じが。
シーガルズの速い、よい意味でも悪い意味でも機械的なバレーについていけてないですよね。残念でした。
彼女のすごいところというか、才能を感じるところは、
あの年齢であの身長がありながら、
なんともいえない「しなやかさ」を感じるところですね。
木村も似たような感じがありましたが。
(最近はだいぶたくましいですけどね、木村は)
それがRioさんのいう「どこに上がるかわからない」って
やつなんでしょうかねぇ。野球でも地肩のやわらかい
ピッチャーは「球の出所がわからなくて打ちづらい」とか
いいますよね(なんか違うか)
あの年齢であの身長の選手って、
たいがい背が高いだけで筋肉が追いついていないせいか、
でくのぼうっぽさが満載になっていて、
動きがカクカクしていて「ギーガッシャン!ギーガッシャン!」という
機械音が聞こえてきそうなのですが、
宮下はやっぱりまだまだ華奢なうえ、動きもまだぎこちないとはいえ、
ところどころに長い手足をしならせたプレーが見えて
「ほおぉ・・(はぁと)」という気分になります。
私はあのくにゃっとしたやわらかさは好きです。
それが、自然と目が引き寄せられる「華」になる、可能性のある選手かと。
これまでの高速バレーとは違った、
彼女なりの身体能力を活かしたプレーを見てみたいし、
身に着けてほしいし、そう育ててほしいなぁ。と思いつつ、、、
ともあれ、これから宮下は見続けたいなぁ。
と思わせてくれたのは感謝です。
ホント、今年はVリーグ女子を見るモチベーション下がっていたので。
by がぶりんこ (2010-05-06 10:01)
>がぶりんこさん、宮下のトスを上げる際の手首、ほんとしなやかですよね。あれだけしなやかだとホールディング気味に見える選手もいますが、宮下にはその心配もまったくなく。やっぱり、ハンドリングは才能なんだなあと感じた次第です。
くにゃくにゃしたフォームは、木村も高校生のときにはそんな感じでしたもんね。木村はいまもしなやかですが、びしっ!と一本スジが通った力強さも出てきました。宮下もいまのうちからその方向を目指して、フィジカルトレーニイングを地道に続けてほしいと思います。
宮下はいろいろなタイプの選手がいるチームでセッターをしてほしいと思います。シーガルズは似たようなタイプばかりそろえたチームですし、外国人選手も使いません。戦略・戦術で攻めるのではなく、レシーブしてすぐ打つという反射神経のみのプレースタイルも気になります。
シーガルズのようなチームがVリーグで生き残っているのは、日本バレーの多様性の上では歓迎だと思っているのですが、世界に通用するセッターを育成する環境ではないような気がしています。
by rio (2010-05-06 23:02)