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W杯2011・女子・イタリア戦 悪くはないんじゃないかな [バレーボール]

 全日本女子の初戦はいきなりの大一番でイタリア戦。1-3で負けてしまい、セットごとの得点差を見ると完敗って感じですが、試合そのものはそこまで悪くなかったように感じてます。夏のWGPと比べると、個人の技術も戦略・戦術面も確実にレベルアップしてましたし、モチベーションも高かったと思います。

 チームの事情が事情なので残りの試合もかなーり大変だとは思いますが、この大会は日本、ブラジル、アメリカ、中国、イタリア、セルビアの星のつぶしあいサバイバル大会。格下に勝つことを前提に、上位チームのうち最低2チームをつぶせば運が向いてくるわけで、まだまだこれからです。

 ということで、岩坂には今後、イタリア戦の700倍ぐらいがんばってもらいましょう。ほかにいないんだから仕方がない。「私だけちょびっと塩分ひかえめです(エヘッ」ってな逃げ道を作ってうろうろしている場合じゃありません。攻撃でも守備でも、岩坂がほかの選手に見合ったレベルで動かなければ、日本のやろうとしていることはなに一つ実現しないんだから。同世代のサイドアタッカーたちのがむしゃらな姿勢を見習ってほしいっす。

 とりあえずボールの頭をなでなでしてるようなスパイクはやめてくれ~と岩坂に言いたいイタリア戦のローテはこちら。

竹下         山口       江畑

木村         荒木       新鍋  L佐野
--------------------------------------------------
コスタグランデ  ボゼッティ   アリゲッティ

ジョーリ      ロビアンコ   デルコーレ Lクローチェ

 日本も手負いですが、イタリアもオルトラーニが大会直前にケガで離脱。アクシデントへの対応力=控えの層の厚さも実力のうちと考えると、そこで日本が遅れをとっているってのが最初の課題でしょうね。

<第1セット>
 両チームとも気合十分。序盤からがっぷり四つで面白いゲームでした。

 まず目についたのは、日本のスパイクレシーブのレベルアップ。これまではスパイクが手に当たれば満足ってな感じで、当たったボールがあっちゃこっちゃ見当違いの方向へ飛んでいっても、それを他の選手が追いかけてチャンスボールを返せば拍手、という曲芸を展開してましたよね。いわゆるサーカスバレーってやつ。

 ところがどっこい。今回はセッターの定位置に返す意識がしっかり根づいていて、特に第1セットはそれが成功していたと思います。ブロックとレシーブの連携もとれていたし、スパイクのコースもよく研究していて、相手がどこへ打ってきてもレシーブに入っている状態。ブロックカバーやフェイントの対応も徹底されていて、私の好きな中国バレーをほうふつとさせる感じでした。

 攻撃面では、竹下がセンター攻撃、とくにセッターの前でのクイックを主体とした組み立てを徹底していたのも印象的。やればできる子ちゃんでした。木村が最初からガチガチにマークされ、クロスを閉めてストレートにレシーバー、フェイントも徹底カバーという布陣を敷かれていただけに、センター中心に攻めるオプションが完成していたことは何よりです。

 いいところが目立ったわりには20-25の5点差。結果的には20点以降の競り合いでばたばたといかれてしまったわけですが、それ以前の競り合いの場面、ブロックが1枚やノーマークのときに打ち急いで拾われたケースが多かったですよねー。初戦の第1セットで緊張してたんだろうと思いますが、ここをもっとふてぶてしく決めていたら20点目までに競り合いを抜け出し、有利に運べたんじゃないかと。残念です。

<第2セット>
 第1セットの反省が活かされた第2セット。カウンターアタックを落ち着いて決めて主導権を握り、20-16と先行したことが大きかったですね。終盤まで先行すればそのまま逃げ切れるだけの実力が備わってきたことが頼もしいっす。

 山口のタテB、江畑のほぼ真後ろからのアンダーパスを打ち切った強引なアタックなども目を引きましたが、一番のお気に入りは25点目をとった場面。20点目以降の日本のミスで24-23まで迫られ、ジュースにはしたくない場面でのラリー。

 前衛は木村・荒木の2枚。荒木のブロード攻撃には2枚ついてきていて、フェイントでブロックの間にあてたものの拾われてしまいます。返ってきたチャンスボールを木村がレフトから強打。これがぎりぎりでブロックに阻まれ、ブロックカバーをしてもう一度木村。2本目の木村のストレートは読まれていて拾われ、チャンスボールがデルコーレに上がってしまいます。

 ここで、デルコーレの渾身のレフトクロス打ちを、木村がきっちりコースに入り、竹下の定位置まで持っていったんですね。そのときすでに荒木はライトへ開いていて、竹下がバックトス。意表をつかれたイタリアはデルコーレの1枚ブロックが精一杯ですが、荒木はそのブロックの外側にしっかりぶつけ、日本コート側のアウトコートに落とす完璧なブロックアウトを取ったのです。

 いやーこれはしびれた!!派手なことはなにもやってない。基本に忠実なプレーの積み重ねがあって、そこに「センターがサイド並みのライト攻撃をする」というオプション(←どのチームでもやればできるのになぜかやろうとしないプレー)をふりかけてとった1点です。それをセット最大の山場で繰り出せたことがすばらしい。荒木がライト側にもかかわらずあれだけきれいなブロックアウトを取ったことにもびっくりです。さすがキャプテン、進化してますねー。

<第3セット>
 第2セットの流れに乗りつつ、1stサーブを木村から始めるローテに。山口がジョーリをシャットアウトする一方、イタリアは連続ミスが出るなど序盤から日本ムードで6-2。走るかな?と思ったのですが。

 タイムアウト明けのイタリアは山口完全マークでつぶしにかかり、これが当たってしまいました。本職センターとはいえ、170センチ台でしかも全日本では“代役”。がっちり目をつけられれば逃げ場はありません。8-9としてからの山口サーブの場面で岩坂を投入したのは最善の采配だったと思います。

 で、この記事の冒頭に戻るわけですが、その岩坂が“穴”になってしまっては困るわけで。チームに一つでも“穴”があると、他の選手は練習してきたことを後回しにして、その“穴埋め”に追われることになります。それではあんまりにも残念じゃないっすか。

 岩坂は決してさぼってないし、指示通り動こうとしているのはわかります。でも、動きが1歩遅かったり、判断が1秒遅かったり、ブロックやレシーブの手の出し方があと数センチ足りなかったり。そんなこんなで6人がお見合いしてコートど真ん中にボールが落ちる情けないミスもありました。

 いまのチーム事情をなんとかできるのは岩坂本人しかいないわけで。緊張とか怖いとかつらいとか悲しいとか苦しいとか自信がないとか、そんなことは大会が終わってから感じたり考えたりしていただくことにして、とりあえず今は、脳みそからっぽにしてガンガン前に出てほしいです。


そんなわけで次はアルゼンチン戦。始まるまでに晩飯をやっつけて、万全の態勢で臨みたいと思います。


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コメント 4

to

rioさん、お久しぶりです。

イタリア戦の感想、箇条書きで。

・なかなかのレベルでやり合えてるやん!。
・やっぱりセンターのコマ揃ってないのはキッツイなぁ~。
・かといって山口センターって、...あ~あ、やっぱり。
・最初っから岩坂で良かったんと違うかぁ?。
・収穫は新鍋やね。
・ロートル軍団イタリアにこれではメダルは...。

それでは、お休みなさい。

by to (2011-11-05 22:23) 

rio

>toさん、お久しぶりです。

イタリアをロートル軍団とあなどるなかれ。日本に続き中国も撃破です。2010シーズンでロビアンコがぶち切れ、若手がびびってチームが崩壊した反省を踏まえたんでしょうか。アリゲッティ以外は全員がひくーいテンションに見えるのに6強のうち2つを食ってしまいました。

日本の五輪出場を考えると中国に勝ってほしかったところですが仕方ありません。自力でなんとか食らいついていくしかないですね。
by rio (2011-11-05 22:46) 

レイドリック

こんにちは、レイドリックというものです。初めて書き込ませていただきます。

初戦ですが、選手の動きは悪くなく、結構楽しめました。
久し振りに爆発してる江畑も見れましたし。
荒木は相変わらず頼もしいし。欲しいときにブロックを決めてくれるのには感動しました。

rioさんの岩坂評、的確で面白いです。
私は「まあ仕方ないかな」と思ってたんですが、やっぱり厳しい目で飛躍を期待したいですね。

それにしても、あそこまで木村が封じ込められるのは久し振りに見たような気がします。
木村は決して調子が悪いようには見えなかったのですが。
「対木村シフト」の完成度の高さに、テレビの前で興奮してました(笑)。
第3セットあたりで木村と狩野の交代かと思ってたら、終盤にようやく石田投入でしたね。
「相手は木村狙いなんだから、一度木村を下げるだけでも、少しは相手を惑わせられるんじゃないの?」というのは素人考えでしょうけど。

ただ、「木村を下げる」という選択肢を監督が持ってたと分かったのは収穫でした。
・・・書いてて思わずため息がこぼれてしまいましたが、09年の頃に比べたら、前進してるかな、と。

ついでに、ローテ表示で、セッターだけ色を変えてるのはナイスだったと思いました。
ローテ変更があった場合に気づきやすいですよね。
解説陣には期待できないので、素人にはありがたいです。
さすがフジ。アナウンサーの「こなれた感」「片手間感」は嫌いですけど、制作スタッフは優秀なのかな。

最後に、佐野。
rioさんがこれまで散々仰ってますが、私も見ててイライラします。
日本代表選手が、バレーボールの基本動作の1つを勝手に放棄してるなんて。
by レイドリック (2011-11-06 15:42) 

rio

>レイドリックさん、コメントありがとうございます。

荒木は存在感がありますし、ブロックを決めると盛り上がりますよね。クイックの入りも速くなっていて、打つ角度も広がった気がします。

木村はイタリア戦では”調子が悪かった”という扱いを受けてますが、そんなことはなかったですよね。木村シフトが厳しいから竹下があえて使わないようにしていたのと、数字にあらわれない部分で岩坂の守備範囲のフォローをがんばってたことが、アタック決定率が低かった要因だと思ってます。

そういう場合、あえて木村を残すのも作戦ですよね。木村がコートにいる以上、イタリアはシフトを解けないわけで、木村以外の選手がそれを利用して点をとれば木村シフトはむしろ日本に有利に働きます。

イタリアもそれに途中で気づき、第3セットで狙いを山口に移して秒殺したのではないかと。

その辺、中国は上手で、狙われてる選手がいたらさっさと下げて、一時的に隠しますよね。つぶされる前に隠す。で、相手の狙いが変わったら戻す。眞鍋監督はその辺の駆け引きがまだまだ甘ちゃんだと思います。中国がそれだけ層が厚いということでもあるわけですが。

ローテ表の工夫はいい感じですね。大きくなって見やすいですし、顔写真が入ってるのもわかりやすいと思います。おっしゃるとおり、セッターの色分けもナイスですよね。

佐野のオーバーハンドはもはや、眞鍋監督公認で”放棄”しているので、言うのもばかばかしくなってきました。佐野に関してだけは、アタッカーもすべてアンダーハンドからのパスを打つ練習をしているようですし。

佐野がオーバーを使おうとしたところに木村が割り込んでパスした場面がイタリア戦かアルゼンチン戦であったと思いますが、もうそういう扱いなんでしょうね。

佐野のディグがすごいとよく言われますが、日本のバレーのレベルを考えると、5年も6年も代表に固定すれば世界一のリベロになれる人材はいくらでもいると思います。佐野は今大会、サーブレシーブのミスが目立ちますし、なぜ佐野にこだわるのか意図が見えませんね。
by rio (2011-11-07 02:06) 

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