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Vリーグ男子:盤石の豊田合成、上り調子の堺ブレイザーズ [バレーボール]

Vリーグ男子、はやくもレギュラーラウンド前半の山場を迎えている今週末、富山会場は1位独走の豊田合成がパナソニックを一蹴堺ブレイザーズは東レを力でねじ伏せて4位まで上がってきました。勝った2チームはカラーが対照的。非常に洗練されたチームプレーを見せる豊田に対し、泥臭くアクの強いプレーを重ねていく堺。共通点は、どちらもよく準備され、訓練され、計算された試合運びをしている点でしょう。この両チームの次の直接対決は1月10日、いまから楽しみです。

第1試合:豊田合成vsパナソニック

豊田合成のうまさばかりが目立った試合でした。今シーズンはブロックとレシーブの連係がとてもいいと言われ続けていますが、この試合もまさにそれ。ブロックに関しては、横移動が特別速いわけでも高さがあるわけでもないのですが、2枚/3枚で跳ぶタイミングや間隔がきれいにそろってるんですね。なので、アタッカーとしては間を抜けない、脇も抜けない、指先を狙ってワンタッチを狙うしかない、という状況に追い込まれます。

そこをガマンしてリバウンドをとればいいんでしょうが、今日のパナは思うツボの指先狙いか、ガマンしきれずブロックにぶつけてどシャットをくらうか、でした。ブロック本数はパナの1本に対し、豊田合成は10本。そりゃ勝ちますわな。

パナがワンタッチを狙うと、そのコースにはきちんとレシーバーがいる。ここからもまたすばらしく、どの選手がレシーブしてもたいていきちんとセッターに返るんですね。もしくは、1stレシーブが乱れたとしても、リベロ古賀がジャンプトスで打ちやすいボールをサイドに配給する。身体の向いているほうだけでなくバックトスもきれいに届くんだからすごいです。

とは言え、古賀のトスは常にハイセットで、しかもほとんどの場合、アタックラインのかなりうしろからの配給です。バックトスにされたところで時間があるし、ブロック3枚で止めに行けるんじゃないの?と思うのですが、パナはそういうふうには考えないみたいなのですね。なぜか、たいてい2枚ブロック。しかもそろってない。豊田合成のサイドアタッカー陣はブロックアウトを取るのがうまいので、2枚がばらばらに跳んでくれるのも思うツボでしょう。

レシーブでは、豊田合成はクロスの強打でもクイックでもコースにとんできたボールは簡単に上げてます。日本のセンターがやりがちなコート中央狙いのまっすぐなクイックなんて拾い放題。豊田合成はそこに打ってくることを前提に守備位置を取っていて、クイックだ!となった瞬間に後衛中央がするするっと出てくるので、コート中央はオープンスペースでもなんでもないんですね(っていうか、それが普通なのかなと)。それでもセンターが高い位置から強く打てればはじきとばせるかもしれませんが、パナはそもそもクイックが低い、そして弱い。

そうやってブレイクポイントを重ねられて、中盤ぐらいで気づいたらもう豊田合成のペース、ということを3セット分繰り返していました。

攻撃面でも豊田合成は準備万端でしたね。アタックの総本数90本のうち、イゴールは39本。4割以上を打っていますが、イゴールにボールを集めたようには感じないトスワーク。例えば、第2セット豊田合成3-パナ4の場面から、セッター・内山は4、5、6点目をすべてセンター・のクイックに上げてます。それも、セッターに近く空中で待っているタイミング、セッターから遠いいわゆるロングB、その中間と、打たせる位置をすべて変え、すべて決まったのでした。

近は3点決めてそのままサーブに下がったので、パナとしては近が前衛に戻って来たらマークするしかありません。近はこの試合、結果的に7本打って4本決定という平凡(というか物足りない)記録になっています。でも、第2セットのこの働きがあったために、パナは最後まで近の動きに翻弄され続けたのですね。

などなど書き出すとキリがないのでこの辺でやめますが、豊田合成は記録に表れない(数値化できない)部分の完成度がとても高いと思います。その〝見えない実力”を発揮させないようにするには、ラリーにさせない/ラリーを断ち切るしかなく、少なくとも「ゴリとダンチでなんとかなるよね」と思っているパナはずっと勝てないのではないか、と心配です。

豊田合成の守備を崩すための作戦はいろいろあるはず。強力なサーブ&ブロックを繰り出す、みたいなものから、しょーもないフェイントは厳禁、というレベルものまで。白岩・高松がサーブで崩されている試合もけっこうあったりするわけですし。どこが最初に豊田合成の攻略法を見つけるのか、とても楽しみです。

第2試合:堺ブレイザーズvs東レ

もはや因縁の対決の様相を呈してきた堺vs東レ。1周目では、東レ対策をばっちり整えてきた堺が、2セットを落としながらも次第にコツをつかんで第3セットを取り返し、第4セットも終盤で同点に追いついた!というところで終わった=東レが逃げ切ったのですね。

今日はその続き。東レ対策の精度を高めてきた堺と、前回勝ったメンバーから米山を外し、佐野をスタメンで起用してきた東レ。理由はよくわかりませんが、素人考えでは、前回の対戦で堺のサーブ対策を重視して米山を入れたものの、攻撃面で物足りなさが残ったと。で、今回はペピチと石島のサーブの時に4枚レシーブにして守備力を補いつつ、攻撃力のある若手・佐野を入れてみた、というところでしょうか。

結果、残念ながら不発……。アタック決定率29.4%、サーブレシーブ成功率8.3%。それでも第3セットまでスタメンで出続けたわけで。第1、第2セットがいずれもジュースで非常に競った内容だったというのはあるにしても、疑問の残る采配でした。

それはさておき。
前回の試合と比べて、堺が大きく進歩していた点が2つ(←私が気づいたことだけで)ありました。1つは、スパイクレシーブからつないで攻撃まで持っていける場面が増えた点です。前回は上げるのがせいっぱい、チャンスボールを返してしまってやられる、という場面が目立っていました。今回は、上げたあと、最悪でもスタンディングで打つというところまでいったかなと。

また、苦しい場面ではどうしてもペピチに上がってしまいますが、そこにしっかりとブロックフォローが入ることで、ペピチの攻撃の幅を担保していたように感じました。フォローがなければ強打するか、指先のワンタッチを狙って打つか、ぐらいになりそうなところを、フォローが入ることで、リバウンドやブロックにあてて外に出す打ち方を思い切ってやれるようになると思うのですね。

ペピチはどうしても遅くて、セットプレーの時にはせっかくの複雑な時間差に1人だけ間に合わずに打てなかったりしています。足が遅いのか、判断が遅いのか、助走に変なクセがあって遅いのか、その辺はわかりませんが、とにかくきれいにシンクロしない。だったらとりあえずそこはいいから、2段になったときはフォローするからがんばってね、という。

もう1つはニコラ対策ですね。東レは今回、ペピチだけでなく石島のサーブのときにも、ニコラをサーブレシーブに参加させて4枚にしていました。石島はそのニコラに取らせるようにサーブを打ってましたね。これって地味な作戦ですが、チームにひびを入れるためにとても有効だと思うのです。

どのチームにもたいてい〝困ったちゃん”がいますよね。チームの雰囲気を悪くするヤツ。キレるタイプ、落ち込んで立ち直れないタイプ、何度も同じミスを繰り返すタイプ、さぼるタイプ、チームのルールよりマイルールを優先するタイプ、「それは俺の責任じゃない」と言ってしまうタイプ(←ボールのお見合いをするのはたいていこのタイプ)などなど。

ニコラの実態は知らないのですが、試合で見る限りでは、彼はキレるタイプの困ったちゃんなのかも。というのも、ラリー中、味方がスパイクを手にあてたけど上がらなかったときや、目の前にフェイントが落ちた時など、ニコラは両手を大きく広げた「なにやってんだよ、お前!」ポーズ(別名:厚切りジェイソンがやる「Why Japanese people!!!」ポーズ)で怒っているところをよく目にするからです。

英語だかなんだかでしゃべっていてそこまで伝わってないのかもですが、映像で見る限り、まあ、思いやりが感じられないイヤなヤツですよ。そんな選手がサーブレシーブで狙われて崩されて、気持ちよくプレーできるわけないですよね(笑)。本人も周りの選手も、もやっとした気持ちが残ってしまうでしょう。

ニコラ対策はこれだけではなく、ニコラの動線をじゃまするサーブを打ってみたり、ストレートを締めてクロスに追い込んで拾ったり、ありとあらゆる作戦で包囲してました。東レは前回のジェイテクト戦でも同じような包囲網を敷かれて負けており、その時に「ふみとどまれるか?」と書いたのですがこのままではちょっと危ういかも。

ただ、勝った堺の試合内容がよかったのかというと、そういうことでもなかったのは残念なところです。前週のFC戦では快勝した堺でしたが、今回はミスが多く、無駄に苦しんでいた印象。私がもっとも印象に残ったプレーは、第3セットの堺24-東レ20でのラリーで、米山のレフト攻撃のときにブロックの腕をさっ!下げ、米山のワンタッチ狙いのアタックがアウトになってセット取得!となったときでした(笑)。ペピチ、そういう細かいこともやるんだ、っていう。

そもそも第1セットを落としたのは、24-25のセットポイントの場面で石島がサーブで崩され、それを佐川がトスミスするというミスの連鎖があったから。この手の「え?いまここでそのミス?」という場面が目立ちました。ペピチのドリブル、千々木の目的不明のフェイント、佐川の謎のツーアタック→富松にコミットで止められるなどなど。ネット際の妖怪=松本まで、ネット下にしゃがみ込んだ態勢で目の前のボールを目の前に落とす、という謎のミスをしていました。

そして極めつけは石島の攻撃面。21本打って4得点・4失点、効果なし。なんじゃこりゃ???いつもはハーフスパイクを混ぜたり、コースを打ち分けたりする石島ですが、今日はダメでしたね。力でねじ伏せようという意識が出まくりで、渾身の力をこめてブロックの指先を狙って打ち、あっさりと拾われてカウンターを食らう、ということばかりやってました。

東レはエンドライン側に飛んでくるワンタッチをまあよく拾いますよね。米山がいればなおさらですが、いなくてもけっこう拾う。なので、指先を狙って打っても、それが一直線に観客席に入っていくぐらいじゃないと効果がないんですよ。毎回そんなのが打てるわけではないので、確実に得点するためには外にあてて出すか、リバウンドを取って攻め直すべきなんですよね。

なぜそれができなかったんだろう?ニコニコ動画の映像では見づらいのですが、トスが短かったり低かったりで外に出す打ち方ができなかった可能性はあります。ただ、石島は今日、ラリー中のハイセットを打ち切れなかったり、逃げのフェイントを打ったりと〝らしくない”ミスが目立っていました。出来田とのスイッチのときもクイックにコミットされてシャットアウトとか。その結果、堺のアタックのミスは14本で、東レ8本のほぼ倍です。よく勝てたなあと。

ただ、そうやって苦しみながらも第2セットを36-34で粘り勝ちし、第3セットも最大6点差から同点にされたのに再度つきはなして取ったあたり、チーム全体のメンタリティの成長を感じました。昨シーズンの記憶が残っているファンにとっては接戦になると負けるイメージかもしれませんが、今季の堺は接戦でも劣勢でも立て直してくる力を身につけつつあると思います。明日のパナソニックは2位、堺は4位。どちらも5勝4敗。この直接対決で堺がもう1歩進めるか大注目です!


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maki

土曜日の試合に行ってきました!
堺ブレイザーズの嬉しい嬉しい勝利が観れて嬉しかったです♪
観ていて感じたのは勝つことへの執念だったのかな、と。
rioさんがキモだと言ってた第2セットは判定でゴタゴタして不利な状況だったけれど、それでも堺がとったのはすごいと思いました。ニコラのクロスは最初てこずってましたが、
だんだん上がるようになって。千々木選手もだんだん決まりだして。東レはほんとによく拾うけど拾い負けしませんでしたね。
堺ブレイザーズは嬉しいプチお祭りさわぎでしたよ♪(あ、堺はラテンでしたね。それじゃ、サンバかな???)
by maki (2015-12-06 11:56) 

rio

>makiさん、なんと!うらやましい。この東レ戦は盛り上がったでしょうね。

第2セットは東レの根負けでしたね。決めたい!終わらせたい!という気持ちが出すぎてホールドしてしまうという。根競べで東レに勝てるならどのチームよりも根気がある、と言っていい気がするのですが、堺にはなぜかその雰囲気がない(笑) 良くも悪くも石島に左右されるからでしょうか。

堺は全員のメンタルがきちんとかみ合えば爆発的な力を発揮するチームだと思っているのですが、その兆候は見えつつあるものの、いまのところまだ煮え切らない感じですね。来週のホームでの試合で覚醒してほしいと願ってます。
by rio (2015-12-07 12:58) 

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