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Vリーグ男子:サントリーvsJT、山本湧が代表入りすればいいなと思った件。 [バレーボール]

11月20日(日)当日は堺のブサイクな試合を見てふて寝したのですが、今週は祝日もあったし東京は大雪だったしで、ほかの試合も観てみました(謎)。少しつぶやいたパナソニックvsジェイテクト戦、そしてサントリーvsJT戦、この2試合は面白かったなー。共通するのは、4チームともベンチも含めてよくまとまっていること、作戦が明確なこと、サボる選手がいないこと、です。

パナソニックvsジェイテクト戦

パナソニックは、クビアクの守備から攻撃への切り替えが速く、確実に助走に入っているので、深津がそれに合わせてトスを上げるようになったんですね。決していいトスばかりとは言えなかったりするのだけれど、クビアクが個人技で確実に決める。強打しなくても、ましてや反則まがいのプッシュをしなくても点は取れるんだよ、と。

その実践として彼は、ボールが飛んでくる方向をちょっと変えて(ときにちょっとブロッカーの腕にあてて)相手の死角に落とすだけ、というフェイントを多用してますね。深津の合わない(低い)トスに対してガーガー要求を出すのではなく、そういうトスが来るならそれに合わせた攻撃をすればいいという柔軟性を感じます。

そうやって深津とクビアクがお互いに合わせるようになった成果でしょう、1レグ最終戦はとてもテンポがよく、ジェイテクトに立ち止まって考える時間を与えないほどゲームを支配していました。どんくさい展開だった開幕戦と比べると雲泥の差です。

ジェイテクトも、サーブで徹底してクビアクを狙い、清水・福澤にまとをしぼって……と一生懸命だったのですが、なんせクビアクがそこらのリベロよりサーブレシーブがうまいもんだから、なかなか思うような展開に持ち込めない。逆に、クビアクのレシーブからクイックを使われてしまっては太刀打ちできないですね。

パナのセンター線は立ってるだけが前提だったのに、クビアクの加入とモッタパエス監督の采配……じゃなかった、モッタパエス・チーフコーチの采配で機能し始めるようになっています。
※監督とコーチ、すぐ間違ってしまうんですよね、パナのときだけ。不思議。

パナはこのまま、難しいボールは全部クビアクに処理してもらって、誰が打っても決まる簡単な局面を清水・福澤にまかせる試合を続ければ、優勝候補筆頭であり続ける気がします。たとえそれで福澤がなにか勘違いしようとも問題ない(どうでもいい)。勝てば官軍ですから。

サントリーvsJT戦

DAZNでは大庭実況・梅北解説でさらに面白いことに。JTの唐川のプレーに「近年はリベロのオーバーパスがヘタになりましたね。あんな簡単なボールも上げられない」ってばっさり(笑)。梅北さん、さすがにフォローいれてましたが、おっしゃる通り。唐川は前季より少しマシには見えますが、それでもびっくりするぐらいヘタなリベロだと思います。

ブコビッチ監督は唐川が強打に飛び込んでいく姿勢をかってるのかもしれませんが、それはリベロの資質というより無鉄砲なだけなのでは……。ただ、他チームには唐川よりまだヘタなリベロがいるからまあ、気を落とさずにね。
※梅北解説はただ辛口なだけでなく、公平な目で良いプレー、悪いプレーを指摘して説明してくれるので楽しいです。

それはさておき、サントリーは山本がどんどん良くなってますね。新人枠だった前季、エバンドロがケガ、阿部もケガ、チーム混乱、なのにやなぎゃる効果で会場は満席などなど、わけのわからない状況で後がなくなってからチームを託され、なのに常に笑顔でプレーして入れ替え戦を勝ち残りました。

その度胸はダテじゃなかったようです。山本の強気ぶりを表すときによく大胆なツーアタックが例に上げられますね。確かに、山本の場合は苦し紛れのツーアタックが少なく、たいていは、アタッカーにトスを配給できる状態で攻撃の選択肢の1つとして打つ”正しい”ツーアタックです。

JT戦では、レフトを向いた状態から2、3歩ステップしてジャンプし、クイックおとりのレフト平行?と思わせてトスフェイントをしてました。上手、と思いましたですよ。結果はぎりぎり拾われてましたが(笑)、これは反応したJTの守備をほめるところかと。

ただ、山本のほんとの強気なところ、度胸満点のところはたぶん、サーブレシーブが乱れた場面、もしくはラリー中で2段トスになった場面かなと。セットプレーではいろいろトリッキーな山本が、乱れた場面では余計なことをせず、丁寧なオープントスをサイドに上げるんですね。高くてゆったりとしてアンテナまで伸びて打ちやすそうな。

アタッカーにとって打ちやすいということは、ブロッカーは止めやすくレシーバーは拾いやすい――そう考える人が日本バレー界には多いようで、だから、止めにくく拾われにくい攻撃にするためにと、乱れた苦しい態勢から”速い”攻撃を仕掛けるんだろうなと。その結果、どシャットをくらったりふかしてアウトになったりを繰り返している印象です。
※東レのタテBのように必殺技にまで昇華させているケースもあるので、この考え方が一概にダメだとは思わないのですが。

ただ、いつもにこにこ山本はそんな血走ったプレーをしないのですね。乱れて浮いたボールはサイドにきれいに送って、あとはまかせたよにこにこ!っていうセッター。この割り切り、なかなかのものです。で、まかせられるアタッカーが柳田なわけですよ。
※エスコバルもだけど、ここの信頼関係はもうちょっと時間かかりそう。藤中にはきれいに上がっているように見えますが、藤中側の技術面に課題が……。

日本バレー界はいまだに、アタッカーがセッターに打たせてもらってる状態が主流でしょう。だから、セッターからちょっとでも合わないトスがくると逃げのフェイントをしてみたり、一か八かでブロックにぶつけてみたりと、ガキのわがままみたいなことをするんだろうなと。

柳田はそこが賢いんですね。あとはまかせた!とふんわり飛んできたトスをどう打てば決まる確率が高いか、瞬時に判断して、ブロックをよく見て打ち分けてます。技術的にはまだまだかもしれませんが、プレーの方向性はクビアクと同じです。そして、同じカテゴリのアタッカーがもう1人=石川ですね。このクリエイティブな3人が一緒に代表コートに立てば、上背がないことに苦しみつつも、いろいろ面白いバレーを見せてくれそうな気がしてわくわくします。

そんな山本のクセはたぶん、トスミスった!と思ったときにアタッカーが決めきれなかった場合、ほぼ必ず、同じアタッカーにトスを上げるところでしょう。アタッカーのモチベーション維持には非常に重要なことだろうし、たとえそれが相手にばれてても、あとはまかせた!とできる度胸があって、アタッカーにも個人技でなんとかできる技量があれば、それは長所として機能し続けるでしょうね。

ただ、長所と短所はつねに表裏。山本のそうしたクセが長所として機能するのは、正セッターとして実質1年目の今季だけかも……といういらぬ心配も。

一方、対戦していたJTの深津兄は、トスミスだろうがアタッカーのミスだろうが、ちょっと決まらないと迷ってしまうのか、レフト、センター、バックライト……と順ぐりにトスをまわしてしまうという。深津兄がこのモードに入ったとき、JTはいつもグダるんですよ。で、ブコビッチ監督が選手をとっかえひっかえし始めるんですよ。そのせいで余計にグダるんですよ。

パナvsテクト戦の第3セット、深津弟は序盤から中盤にかけてクビアクを温存し、劣勢ながらも切り抜けてジェイテクトの守備の目をそらしました。で、中盤以降にまたクビアクにボールを集めてたたみかけたんですね。その作戦を授けたのはたぶんパンナコッタ、じゃなくてモッタパエス監……じゃなくてチーフコーチだと思いますが、兄津もそういうところを学んだほうがよいのではと思いました。

最後に

クビアク、サイドから強打をするときにまずはクロスを打つことが多い気がします。それが決まらず連続でトスが上がってきたときはストレートを打っていることが多い気がします。これ、完全に教科書通り=基本の打ち分けですよね。教科書ではまず、高いトスをしっかりクロスに打ち切るところからすべてが始まり、ストレート打ちや軟打へと展開していくわけで。クビアクのすごさは基本が誰よりもしっかりしているところからくるんだなと改めて感じました。

一方、日本では男女を問わず、ストレート打ちが得意な割にクロスの決定力がないアタッカーが多いように感じます。だからラリーでストレート側を締められると決めきれずにブレイクできないという。何なんでしょうね、これ。高さとパワーの差じゃないことだけは確かですね。


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デイちゃん

ものすごくいいことを言ってますね。

特に80~90年代の日本女子バレーだと、
「サイドからクロスに打つな」
「サイドに速いトスを上げてブロックを一枚にして、ストレートのブロックアウトを狙え」
って、必勝法のように言われていたような。
その結果、序盤ではストレート打ちが決まるけど、せってきたあたりで相手の守備がストレートをマークし始めて、スパイクが決まらなくなり、リズムが悪くなり、善戦したけど負けちゃった・・・って試合ばかりでしたね。

真鍋監督になってからは、センターブロックが遅れてきたところにめがけてクロスに打て、と指導していたので、ストレート打ちは少なくなってて、でも勝率は上がって、ロンドンでは銅メダルに届いたんですよね。

男子は正直弱すぎて、何をどう改善したらいいのかわからないんですけど、でもそういう基本的なスパイクの打ち分けからしっかりと確認していくのが必要なのかもしれませんね。
でもそれって、Vリーグのレベルですることかなあ。

基本的なところを指摘してくれる管理人様のコメント、とてもありがたく読ませてもらっています。
Vリーグの解説のお仕事の話、する予定ありませんか?
by デイちゃん (2016-11-25 17:20) 

rio

>デイちゃんさん、ありがとうございます。ストレートをどれだけ締められてもブロックアウトが取れるか、せめてリバウンドが取れる技術があるならいいんですよね。

でも実際はそんな都合のいいトスが毎回くるわけではなく、クロスで点を取れなければジリ貧になってしまいます。

全日本は男子も女子も、最初からストレートに逃げますよね。試合開始直後からストレートを締めてくるチームなんてめったにないので、そりゃ最初は決まります。

でもすぐに対応されて抜けなくなり、仕方なくクロスに打って上げられ、どうしようもなくなって山なりのフェイント、というパターンが目立ちます。

で、フェイントを拾われて相手にクロス一発で決められるんですよね。

なんかもう真珠湾攻撃の時代から時間が止まってるんじゃないかと思ってしまいます。
by rio (2016-11-26 11:36) 

琴子

rioさん、こんばんは。
前シーズン終盤で、すっかりサントリー山本に期待を寄せてしまっていたので、順調に経験値積んでくれていて嬉しいです。
柳田との信頼関係は心配ないと思うので、ぜひ全日本&東京五輪へ!

心配の種は、監督はじめ首脳陣ですよね…。
4年後、誰がやってるのかわからないですけど。
古くさい考え方で、あの世代を押し込めるようなことしないでほしいです…。
とはいえ、頭のいい子たちばかりなので、うまく首脳陣をいなすくらいのこと、してくれそうな期待もあります。
(植田監督の負の遺産世代より上は、そういう頭のよさが……)

堺はどうしちゃったんですかね…。
今日の試合も実際の点差以上に、ものすごく開きがありましたよね。
by 琴子 (2016-11-26 22:40) 

ハナ

こんばんは。
山本、良いですか?
去年、まだスタメンになる前に間近で見た時は、トスの軌道も高さもブレブレで、かなりヒドかった様に見えたので意外です。
サントリーはチケット取りにくいですが、チャンスがあれば注目してみます。
深津兄は、そもそもセッター向いてないんじゃないかと。。。
プレミアであんなにドリブルの多いセッター、他にいない気がします。展開が上手くいかないとトスが荒れるし、高いパスや2段トスも苦手っぽいと言う。ビジョンも見えないし。
他のプレーは上手いだけに、もう少し身長とパワーがあって、アタッカー出来てたら良かったなと。
こちらも実物を見れてないんですが、全日本候補に手原はどうでしょうね?あれだけ負け続けても、モチベーションを保って面白いプレーを作る精神力は、全日本に向いている気がします。
DAZNで観た限りでは、度胸も良さそうだし、レセプションが乱れた時の処理なんかも見事だと思います。
明日は会場に行くので、とても楽しみにしています。
by ハナ (2016-11-27 01:07) 

rio

>琴子さん、ジルソン監督の目指すバレーが正直よくわからないですね。

彼の本音がベテランを手厚く配置して若手はせいぜい1人か2人、大勝しなくてもいいから負けないバレーってことなんだとしたら、チームの実態と合ってないですね。

言ってるそばから12月4日のパナ戦で迷采配をふるって負けてましたが・・・。
by rio (2016-12-06 23:11) 

rio

>ハナさん、山本は前季の中盤ぐらいまではまだまだでしたね。

阿部が負傷し、山ほどいる控えセッターがどれもはまらずに入れ替え戦が現実的になって、ジルソン監督もさすがに思い切ったことをするしかなくなり、山本・柳田・塩田で出してみたらやっとはまったという。

地位は人をつくると言いますから、このままシーズンを通して山本を使い続ければどんどんよくなると思います。

兄津はラリーになるとトスがどんどん短くなりますね。筋力が足りてないんじゃないかと思ってしまいます。

手原は丁寧にトスをまわしている印象ですが、さすがに全敗チームから全日本セッターはなさそうですねー。男子はセッターの人材難が深刻で東京五輪に間に合うのか心配です。
by rio (2016-12-06 23:22) 

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