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W杯男子・ロシア戦 まさに「応援したくなる試合」 [バレーボール]

惜しかったですねーーー。セット取れるかと思ったけどあと1歩届かなかった。「28万アクセス御礼」で書いた通りの展開(笑)。ロシアはほぼベストメンバーで、抜いているようには見えませんでした。結果的にストレート負けはしたものの、全員ができることを必死にやった試合。大きな可能性が見えた試合だったと思います。

ローテがらみの戦術面に関しては定番というか奇抜なことは無く。ロシアはアルゼンチンとほぼ同じで、スーパーエースのポルタフスキーが前衛ライトから始まるローテ。ただ、レセプションは常に両サイドとリベロで取る3枚だった。

一方、日本は今日も、サーブ直前の石島をライトから打たせる戦略。相手ブロックを惑わせる、対角の越川とディグやカバーの分担をするなどの狙いでやっているフォーメーションだと思うけど、きょうは石島のライト攻撃が思うように決まらない。そうなると清水の負担が増えて苦しい。山本に代えられてしまったのは仕方がないね。

その山本がアタックではしっかり仕事をした(決定率53%)。これまでは諦めて打ち下ろしたり、空いてるスペースに「入れとく」みたいなアタックばかりしていたけど、きょうは指先をきっちり狙った「高さに頼らないアタック」を見せていた。ロシアですら指先を狙ってワンタッチを取りに来るんだから、日本がそれをしないでどうする、ってなことを荻野がアドバイスしたのかな。

川合が今日も言ってたように山本は「先発向き」と言われる。でもね、野球の世界なら「先発向き」の投手が中継ぎや抑えにまわることなんていくらでもある。山本より「先発向き」の清水が入ってきたんだから、「中継ぎ・抑え」として今日みたいな技ありの仕事をしていくのが生き残りの道だと思う。

山本はアタックはよかったけど、ブロックは「センター山村が追いかけてきて跳んでいるタイミングでまだジャンプしてない」(←第1セット終盤)とか、相変わらずディグ・カバーができないとか、その辺の課題は変わっていなかった。抑えとして生きるには(←って勝手に決めてるけど)ここも何とかしないとね。

さて。ここであえて、「ロシアとの差は何か?」と考えてみましょう(笑)。でかさ。以上。ってことでは、余りにもさみしいので。

もちろんブロック力の差は歴然。シャットアウトしたブロックは、日本5に対し、ロシア12。倍以上だ。ただ、ロシアからとったブロックアウトや吸い込みの数は17、リバウンドは11。つまり、日本のブロック対策は一定の効果をあげていたことになる。ロシアがばたばたした原因の一つは「武器」のブロックが”それほど”きかなかったことだろう。

では、ロシアのもう一つの「武器」のサーブはどうか。エース:ミスは、日本4:12に対し、ロシア7:18。なんと、ロシアのほうがミスってる。レセプションの成功率は両チームとも6割強だから、サーブでやられたわけではない(サーブ効果は公表されていないが)。

確かにロシアは、日本の堅いレセプションをこじ開けようとしてガンガン打ってよくミスっていた。第2セットでいきなりフローターやジャンピングフローターで「入れとけサーブ」を打ってきたのは、「サーブがきかないから入れといてブロックでしとめろ」ということだったんだろう。しかし、そのブロックも”それほど”きかなかったのは先に書いた通り。

ブロックもそれほど、サーブもしのいだ。ならば、ほかに何が?
決定的な差は、「縦のBクイック」だと思う。ロシアは強力なサーブを受ける場合、あえて「完璧」な位置に返そうとせず、アタックラインのセンター付近に返す。そこから「練習どおり」の「縦のBクイック」を使ってくるのがパターンなのだ。

ロシアのセンター線は18番クレショフが11/13、15番ボルコフが6/7。クレショフの打数が多いのは、石島・清水のサーブ時に前衛にいるからだと思う(ボルコフの時は宇佐美・越川だけど、宇佐美のサーブが調子悪かった)。

三宅アナは日本バレーの感覚で「ロシアのレセプションが乱れた」と繰り返していたが、非常に誤解を招く実況だと思う。見ている人は「ロシアって乱れても強引にクイック使うんだね」とか思ってしまいかねない(ちなみに、ロシアにとって「乱れた」と言えるのは、セッターがネットに近い位置で左右に動かされた場合だと思う)。

確かに、この技を安定して仕掛けるにはセッターの高さが絶対条件(全日本女子の竹下には絶対できない)。トスの位置からアタッカーの打つ位置までの高低差をできるだけ無くさなければ打ち切れないし、速さもでないから。でも、それ以上に重要なのは、「強力なサーブは返せる場所に返して、そこから最善の攻撃を組み立てる」という発想と戦略だと思う。「セッターにきっちり返ればコンビが…」と泣き言を言うのではなく、コンビが使える位置にボールを返し、セッターも含めて”ボール基準”で瞬時に位置関係を変えてコンビを使う。日本が一段上に行くためには、この発想の転換と、それを支える技術力を確立するのが絶対条件だと思う。

これは何も、ロシアだけの技ではない。日本が目指しているブラジルだって、全員がトスを上げ、全員がバックアタックやクイックを打ってくる。基準はセッターではなく、ボールの位置。選手間の役割はボールの位置によって常に「相対化」されているのだ!

かなり熱くなってしまったけれど、私の記憶が正しければ(←って何かの番組であったな)、日本はこの技を試していたことがあるはず(っていうか、いまもそうしようとしてる?)。なので練習あるのみ!W杯が終わればすぐにこの練習を初めよう!(←監督気取り)

もう一つ、すごく印象的だったプレーは8番テチューヒン。何セット目か忘れてしまったけど、攻撃がテチューヒンとセンター・クレショフという2枚だけのローテの場面。なんとテチューヒンは、レフトで開いておきながらライトのアンテナまで走りこんでスパイクしたのだ!そう、あれです、左右逆だけど「モトコワイド」です。女子でこれができたのは後にも先にも大林素子だけ(しかもコミットブロック全盛の時代)。それをリードブロック全盛の男子の試合で見せるとは。

片足で流れながら打ったのかどうかは分からなかったし、正確に言えば「モトコワイド」ではなくサイン通りライトに回りこんでおいて打っただけかもしれない。でもその移動の速さとトスの速さがクイック並みで、ただでさえ横移動の遅い日本のブロッカー陣はぜんぜんついてこれてなかった。

このプレーも「個人技」なんかじゃなくて、チームの技としてちゃんと完成させて引き出しに入れているからこそ、本番できっちり使えるんだろう。恐るべしロシア。ゾルジ兄貴が「技の展覧会」と呼んだことに改めて納得です。 


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July 11

rioさん、はじめまして。
このブログとT.w.さんのブログを読むようになって、忘れかけていたバレーボール熱が再燃しましたよ。
観戦歴はかなり長いんですが、バレーがこんなに戦略的なスポーツだとは知りませんでした。いつも的確な分析に感心しています。

ほんと、男子チームは応援したくなりますね。
タイムアウトひとつとっても、アナリストの報告に基づいて監督が作戦を指示する、選手は声を出して互いを鼓舞する、コーチ(なつかしの大竹!)、控えがアドバイスを送る。

当たり前といえば、当たり前の光景なんですが、女子バレーの、あの冷え冷えのタイムアウトをみたあとですから、koreここれみただけでも、「おー、がんばってる、がんばってる」ってテンション上がります。

今日のロシアはそんなに出来が良くないように見えましたが、センター線が最後まで機能し続けたのが大きいと思います。手詰まり感がでそうになったときに、センターがどうにかしてくれるとチームは非常に助かりますよね。プレイのレベルは別にして、江上・三屋を思い出しました。

このスコッドは、個人、チームともに伸びシロがかなりあると感じています(セッターは阿部で行って欲しいけど)。

エジプト、プエルトリコ(アメリカに勝ってますよね)、かんたんに勝てる相手ではないですが、何とかしのいで欲しいですね。また、レポート楽しみにしてます!
by July 11 (2007-11-23 23:13) 

madoka

ロシア、サーブミス多いなーとは思ってましたが、rioさんが書いてくれた数字を見て納得。確かに「サーブでやられた」感はなかったです。
決定的に違うのは、これまたrioさんが指摘してらっしゃる通り、アタックラインの辺りから仕掛けてくる、あの「縦のB」ですよね!
キャッチがあの位置に上がった場合、日本の場合は「あ~!セッターに返らない!」→単調な攻撃→シャット…ですもんね。

それにしても、日本のチャンスボールの処理(取り方も返し方も)、下手!
それと、”ポトン”と落ちるボールに対して、全然「1歩」が出ない。みんな固まっちゃって。
あれはもうちょっとなんとかならないもんでしょうか?

昨日「私も宇佐美で腹をくくりました」なんて監督目線で偉そうに言っといてナンですが(いや、相変わらず腹はくくっておりますが)、トミーへのトスだけはひとこと言わせて。
低い!!!
3セット目、2本連続で「ネット越えないんじゃねえ?!」っていうトス…。
1本目は実際ネットを越えず、2本目はブロックされたけどリバウンドボールをトミーが自分で処理、3本目にしてようやく打てる高さのトスが上がり、これは見事決まりましたが、全部ちゃんとセッターにボールが返っての速攻ですよ?
ロシアみたいに「縦のB」みたいな高度な技術じゃないにもかかわらず…。
トミーだからいいけど、ゴッツだったら100%キレてるから(笑)。
松本とのコンビは合ってきてるように見えるので、お願いだからトミーとも合わせてやってくだせえ…m(_ _)m

松本は、ほんとすごいですね!
三宅が「抜群のキレ!」と叫んでましたが、この「キレ」はいい方の「キレ」ですからね(^^;)。
そんでまた顔がすごい!
白いスーツに黒いシャツを着せたら、即Vシネマですよ。若頭ですよ(笑)。
決定率もいいみたいだし、ロシアにも全然引けを取ってなかったように見えました。
頼もしいぞ松本!ご飯、残すなよ!

あと、三宅がうるさい!
昔はここまでウザくなかったのに…。
今日も3セット目の中盤、1点差で競り合ってる時にゴッツがサービスエースを決めて、次のサーブに向かう時、「ミスになってもいい!思いっきり攻めてほしい!!」と絶叫。
余計なことを言うんじゃねえ!とテレビの前で舌打ちする私。
三宅の言うとおり(違うけど)サーブをミスるゴッツ。
三宅よ、それだと永久に連続得点取れないじゃん…。

最後に山本。
53%も決めたんですね。
なんか存在感なかったような…。
by madoka (2007-11-24 00:26) 

madoka

ぷぷっ…。
「すぽると」の生電話、見ました?
最後、いつものように「お疲れのところ、ありがとうございましたー」という女子アナに向かって、植田監督、「ハイ、正直言って疲れてます。もう寝ます」だって(≧▽≦)!
今日も本音がツルリ…。
植田監督、好感度アップです♪
by madoka (2007-11-24 00:46) 

rio

>Julyさん、ありがとうございます。T.w.さんはほんと熱いですよね。99年のW杯レポとかも書かれてるんですよ。しかも(たぶん)お医者さんなので分析がとても科学的ですよね。

バレーに興味の無い友人たちには「戦略が無い」とか「男子テニスと同じ」とか言われますが(私は男子テニスも好きです)、あえて言うなら「囲碁」や「将棋」に匹敵するような戦略性とメンタル性の高いスポーツだと思います。

例えば今日のロシアのように、”常識”では「乱れた」ように見えるレセプションから、相手の意表をつく縦のBクイックを使うとか。そうすると、解説の川合が言ってたように「ロシアは乱れたらBだからコミットしたほうがいい」という発想がうまれて…と、手持ちのカードの切りあいになってくるわけで。こういう駆け引きがわくわくしますよね。

ロシアの監督は「第3セットが特にタフなゲームだった」とコメントしてました。たしかに、ヤケになって打ってみたり、レシーブできずに倒れこんだまま悔しがってたりってのがカメラにとらえられてましたよね。一番ウケたのがテチューヒン。石島にブロックアウトとられて憮然とにらみつけてました。

ロシアよりでかい相手はいないわけですから、今日の試合をしっかり分析して次につなげてほしいです。
by rio (2007-11-24 01:50) 

みく

私も生電話見ましたよ・・・(笑)。監督正直者ですね~。「サーブの体感速度は130km/hくらいですよ~本当腹立ちましたよ~」って・・・・ぷぷっ。

あの〝縦のBクイック〟って、キャッチをあえてアタックライン辺に返してたんですね~。セッター凄~い、よくクイックにもっていくなぁぁ~ってポカーンと見てました。
でも、よくよく考えると個人技というより、チーム技であるからこそ何本も決められるんですよね~。
瞬時に発想の転換が必要→全く同感です。ボール基準でコンビバレーが出来てこそ〝世界レベル〟って感じがするので。

今日の感想は・・・山本って幸せだな~と。
「今大会初得点です(喜)!!」とか~「今までいいトスが上がらなかったから可哀相だった」とか~会場の声援とか~・・・・。そんなに援護してもらって・・・。本人も「やっと決めれました!」って・・・満足なのかな~
幸せ者ですね。。。
でも、ムードはゴリの方がやっぱり盛り上がるような気がします。ので、決定率が山本より落ちても、ゴリがインコートしていた方が、もっと活気付いてセット取れたかも?!とか思ってしまいました。結果論ですね。。。

何か日々連続ドラマでも見ているかのようなストーリー展開で・・・続きが見たくなるって感じです。
今日のゴッツは、ヒヤヒヤさせた場面もありましたが我慢しましたね。
少し大人なったのかな(笑)。

p.s.
T.w.さんって、(たぶん)お医者さんなんですね~。納得です。
by みく (2007-11-24 02:08) 

rio

>madokaさん、きょうは「すぽると」みましたよ。チュニジア戦に負けたことを監督自らが蒸し返すのもどうかと(笑)。

植田監督も選手たちも、サーブにやられた、と言ってますね。試合の実感としてはそうだったんでしょうね。ただ、サーブでやられた→2段が打ち切れなかった→2段を打ち切る練習をしなければ、という植田監督の発想(というか、全日本の伝統的発想)が、その点に関しては何年経っても実を結ばないんだから、発想そのものを変えるべきだと思うんですよね。アルゼンチン戦の石島のようなスパイクを常に出せる練習があるなら別ですが(笑)。

植田監督はスポナビのコメントで、センター線(特にブロック)も課題にしてますよね。クイックも松本はよくやってるけどロシアと打数が違うとか言っちゃって。そりゃあ宇佐美が上げられないんだから打数も減るさ!と突っ込んでしまいました(笑)。

でもたぶん、植田監督が松本にきついのは、勝負どころでへなちょこサーブのくせにミスッたから。次のローテからサーブ打たせてもらえず(笑)。ストレスで余計にご飯が食べられなくなったらどうするんでしょうか。

それにしても、ネットのてっぺんにボールを置きにいってた今日の宇佐美のトスはひどいですね。いや、宇佐美の言い分も想像はつくんですよ。日本のセンター陣が思いっきり跳んで打っても相手ブロックを高さでかわせるわけないんだから、軽く速く跳んで速いスイングでコース切れ、ってことでしょう。

実際に山村がミスったときに宇佐美が眉間にしわ寄せて、キレるか宇佐美?と期待、じゃなくて心配してしまいました。結局、山村が下げられて。

でもねえ、川合が何度も「ジャンプトスであげろ」とコメントしてましたがその通りだと思います。つけ加えて「それができないなら阿部に代われ」と言ってほしかった(笑)。

三宅アナは若い頃=下積み時代のバレー知識のまま実況してますよね。「勉強」とか「研究」とか「向上」とか、そういう言葉を忘れてしまったんでしょうか。

山本はミスもけっこうありましたからねえ。アタック効果にすればそんなに高くないかも。ただ、山本が存在感でないほうがいいと思います。山本が目立ちだすと、宇佐美はきっと山本ばっかり上げるだろうし。
by rio (2007-11-24 02:10) 

rio

>みくさん、益子が115キロって言ってるのに、「体感速度では」って笑いました。あんたは「体感」してないぞ!って突っ込んでしまいましたよ。


記事では「あえて」というニュアンスが出てしまいましたが、たぶん、「本当はちゃんと返したいけど挑戦して崩れてチャンスボールになったらやだからそれだったらちょっとぐらいずれてもいいかな」レシーブをすると、アタックラインあたりに返るんだと思うんです。で、そのときのチームの決め事として、そいういうボールはできるだけ縦のBで処理する、と。ブラジルならそのボールはパイプ攻撃で処理する、とか。崩れたと見せかけて、一番得意な攻撃につなげる。これがトップの戦略なのでは。

女子の大山と同じで、男子は山本を映しすぎですね。プレーの合間とかサーブの前とか。相手チームを映す時も、基本的に美男美女ばっかり抜きますよね。ブサイクでもハゲてても頑張ってるのに!

PS T.w.さんに聞いたわけじゃないですけど、ブログとHPから考えてそうかな、と。
by rio (2007-11-24 02:25) 

hoi

いい試合だったと思いますが、やっぱり実況が「高さ」を勘違いしている。バレーは背比べではありませんよ。
日本がハイセット、ロシアが3枚つくとアナウンサーは「高い」を連呼するのですが、そもそも日本ならハイセットにしそうなボールを縦のBに持っていくことこでロシアの方こそ巧みに背比べを避けている。ロシアが絶対的に高いなら日本が何枚付こうがハイセットをドカンで済むのになぜそうしないのか、いい加減に気付いてもらいたいですね。

サーブを見ていて思ったのですが、日本のミドル陣は冨松を除いてサーブが弱すぎる。サイドの選手のようにダイナミックに体を動かして大きくスイングすることに慣れていないのはわかりますが、あれじゃサイドアウト取って下さいと言っているようなものです。
日本は世界のトップクラスと試合しても20点くらいは取るんですから、入れとけサーブでの失点が2点減れば互角に持っていけることになります。平均すれば1セットでローテは3周とちょっと、ということはミドルブロッカーのサーブは6回くらい回ってくる。せめて3本に1本改善してくれ、というのはそんなに無理な注文ではない思うんですが・・・

惜しかった(少なくとも想像していたよりはるかによかった)分、いろいろなことを考えたくなってしまいました。
by hoi (2007-11-24 03:40) 

July 11

rioさんも男子テニスファンなんですか。
僕はボルグ・マッケンロー時代からのファンです。

バレーは、「全部セカンドサーブから始まるテニス」みたいなゲームですね。サーブミスると即、相手のポイントになる、かといって、ミスを恐れて「入れとけサーブ」打ってるようじゃあ話にならない。

日本のサーブは、精度も破壊力も見劣りするように思います。練習は個人で出来るだろうし、成果が一番現れやすいスキルだと思うんですけどねえ。

T.wさんの99年のW杯レポもレゼンデバレーも読みましたよ。読む前と読んだあとでは、ゲーム観戦の興趣が全然違いますね。

T.wさん、rioさんのブログを読んで、「相手ブロックに対する数的優位を確保する」がモダンバレーのキーワードのひとつじゃないかと自分なりに考えてます。

ブロッカーが2枚そろうと、優秀な選手でもスパイクを決めきるのは難しいようです。レセプションが「きちんとセッターに返れば」、ブロッカーを1枚にできる確率が高くなりますが、特に男子の場合は強烈なサーブを打ってくる選手が多いので、レセプションが「乱れた」場合に「数的優位」を確保できる有効な対策が必要になるでしょう。

今の日本の、ハイセットにして「スーパーエース」にすべてを託すという「対策」は、素人目にも、機能しそうにないのがつらいですね。
by July 11 (2007-11-24 12:11) 

rio

>hoiさん、同感です。2段のハイセットについては、まさにゾルジが指摘した通りの結果になっていますよね。植田監督が試合後に「2段を打ち切れる力をつけなければ」と語っているのを聞いて、また同じことを繰り返すのか…とがっくししました。

まあ、2段を速さや技でしのぐのは今大会ですぐにはできるわけではないし、選手たちのレベルアップ(特にセンター)が必要だと思うので、W杯後に全力で取り組んでほしいと思います。

センター陣のサーブはほんっとだめですよね。昔からずっとです。松本なんかジャンプフローターなのにここまで何本ミスってるか…。「センターだから豪快なジャンプサーブが打てない」というのは、「大きい選手は不器用」と同じぐらい、日本バレー界に根強い偏見、誤解だと思います。偏見で決め付けて、やらせてこなかっただけでしょう。

「中途半端なジャンプサーブはただのドライブサーブなので、それならフローターで確実に」という意見もあります。一理ありますが、だったら元全日本セッターの松田がやっていたような縦に大きく変化するフローターとか、ビーチバレー選手のような「七色のサーブ」を身につけるべきだと思います。

さらに、アルゼンチン戦で気になったのですが、松本・山村の時は相手は2レシーバー。他は開いて待っているので、前衛レフトががら空きなんですよね。なんでそこに速いフローターを打てないのか…。山村なんか一番堅いところに「入れとけサーブ」を打ったりしてて歯がゆかったです。
by rio (2007-11-24 13:27) 

rio

>July 11さん、間にネットがあってラリーがあるスポーツがすきなんですよね。数手先を読んでゲームを組み立てるところ、1セットの中で先手の取りあい、後手に回ったときのしのぎ方、その辺に熱くなります(笑)。

男子テニスはサンプラス時代からで、NHK深夜でやっているものぐらいしか見てないんですけど、グランドストローカーが好きなんです。いまならナダルとか。

T.w.さんのブログでお分かりになったと思いますが、私の記事はT.w.さんの受け売りです(笑)。

ロシアの武器は昔から高いブロックですが、それを最大限に活かすために強力なサーブを練習する。非常に理にかなった強化法ですよね。一方、日本の武器は速い攻撃ですから、堅いレセプションを身につける。これも理にかなってます。

問題はその先なんですが、ラリーポイントなので、「ブレイク」できないと永久に勝てないですよね。日本が力を入れているのはサイドアウトをとるプレーばかりで、「ブレイク」は「粘ればなんとかなるだろう」的なその場しのぎです(一応、目標としては「サーブで崩してブロックでしとめる」と言ってますが)。

この辺もロシアはすごくて、ブレイクするためのブロック、それを支えるサーブ、そしてブレイクするにはまずサイドアウトを取らなければいけませんから、そのための「縦のB」みたいな必殺技や「指先を狙うブロックアウト」のような小技、というように系統だって強化されてるんですよね。放送中、解説の中垣内が何度も「ロシアはサイドアウト取得率が非常に高い」と何度も感心していましたが、さすが世界のトップクラスだと思います。

ゾルジが「手持ちの技を磨け」というのはこういうことを指しているのだと思います。しかし、日本が「それだけ」で世界に勝てるようになるわけではないので、そこに速さと正確さを加えていく必要があるわけですよね。大変です。

少なくとも、「ハイセットの2段」をやっていては勝てません。100%近い確率でブロックアウトがとれるなら別ですが…。
by rio (2007-11-24 13:51) 

Miya

こんにちは~rioさん又々お邪魔いたします。
いまや、このバレー大好き人間の心を満たしてくれるのは、
このrioさんのブログ以外にありません。
このコーナー見っけてラッキー☆ていう感じです。

『大きな可能性が見えた試合』rioさん、同感です!!
この何年というもの、負けたとはいえ、ロシア戦でこんなにワクワク
したことはありません。
「赤子の手をひねる」ようなどうもがいても手も足も出なかった
以前とは違います。
この間のオーストラリア戦で膿を出した全日本は
いい意味での開き直り、改めて軌道修正してきていると思います。
又、チームワークの大切さを感じさせてくれます。
私、あんなに真剣に喜ぶ越川の顔を見るのは、初めてのような気がします(いつも何か、テレビに映る自分を意識しているような気がしていたのです)

山本選手が本来の調子を取り戻す事で、植田監督が清水(あの眉は
ホント若者ならではですよね~、でも許しちゃう(^^))
とどちらを使おうかと迷うようになったらうれしいですね。

rioさん、私もテニス大好きです。
というかスポーツ全般興味あります。
テニスはサンプラス引退後は、フェデラーファンです。
男子体操や、駅伝など渋いスポーツも見逃せません。

話が横道にそれました。すみません。
とにかく今後の全日本の戦いっぷり(たとえ負けても)
とてもたのしみになりました♪
by Miya (2007-11-24 17:44) 

rio

>Miyaさん、こちらこそ、日本バレー界に感じていた期待や不満をシェアできてうれしい限りです。ゾルジは変な日本語に訳されて迷惑してるかもしれませんが(笑)。

わけわからないまま崩れて負ける、という感じじゃなかったですよね。日本は越川のブロックアウトで始まりましたが、越川はそういうプレーを期待されているわけで、「かっこよく決める」必要ないんですよね。「目を引かれる存在でありたい」のは分かりますが(笑)。

スポナビに中垣内の”中間講評”がありましたが、山本、石島に対してはさすが厳しいですね。もっとできるという期待の裏返しなんでしょうが。清水は新人なのでほめつつも「もっと技術を身につけろ」と。きびし~。

フェデラーも大好きです。完成度が高くて芸術的ですよね。駅伝やマラソンも見ますよ。先日の野口みずきも見ました。日本はいろんなスポーツが観られていいですよね。テレビ局の余計な盛り上げがなければもっといいのですが(笑)。
by rio (2007-11-24 18:47) 

みん

はじめまして。こちらにお邪魔させていただいて、素人にもわかる、誰にも偏らない解説にはまってしまいました。
こんなこと聞いていいものかと思いますが、私は荻野選手のファンなのですが、今の荻野さんほんとに全日本に必要とされてると思われますか。
アジア選手権もWCのオーストラリア戦も正直、以前のような活躍が出来ていないように思うのです。 しかもスポナビの中垣内さんのコラムに「荻野はでないほうがいい」とまで書かれてしまって・・・。ファンである以上どうしても贔屓目で荻野さんを見てしまいます。がファンであるからこそ現実を知っておきたいという思いもあります。 rioさまでしたらズバッと(笑)お答えいただけるかと思いまして・・・。
いかがでしょうか。
by みん (2007-11-25 00:01) 

madoka

Miyaさん、私も体操ファンです!地味~に応援しております。
男子は、新採点方式になってから中国に水を開けられてますが、頑張ってほしいですよね~!
rioさん、バレーと何の関係もないコメントしちゃった…ごめーん(^^;)。

中垣内の「荻野は出ないほうがいい」は、みんさんの心配してらっしゃる意味じゃないと思いますよー。
って勝手にまた出しゃばりコメント。やりたい放題か!
私はみんさんほどの荻野ファンではないですけど、荻野のいない今の全日本チームは考えられない…って思うほど「必要な選手」だと思ってます。
rioさん、どう?
by madoka (2007-11-25 02:37) 

rio

>みんさん、madokaさん、荻野は今の全日本にとても重要な選手だと思います。

中垣内が言ってるのは「荻野に頼ると全日本は伸びない」(特に越川が)ってことですよね。私もアルゼンチン戦のときに、荻野・千葉に頼らず完勝できてよかったと書きましたが、そういう意味だと思います。

荻野の役割はまず、監督の精神安定役になること(笑)。スポーツに限らず、指導者って孤独だと思うんですが、かつてのチームメイトがまだプレーしていて、選手との橋渡しをしてくれるってのは大きいですよね。

次に、サイドアウト制時代からの選手なので、数々のルールの激変をくぐりぬけてきた技を身につけていること。

さらに、「いまどきの若者」が多い全日本で、なだめすかしながら気持ちを一つにさせていること。

それから、これはかなり重要なのですが、JVAに対する”重石”になってること。荻野は全日本のキャプテンが2回目なのですが、1回目の時(約10年前)にJVAを批判し、その翌日からキャプテンも全日本もクビになったことがあります。その後ずっと、全日本に呼ばれることすらなかったんですね。それを植田監督が、就任する際に呼び戻し、キャプテンに据えたのです(復帰があと5年早かったら…と思いますよね)。

そういうメンタルな部分での「つなぎ」「レシーバー」に徹するのが今の荻野の役目です。

荻野も選手である以上、出たいとは常に思っているでしょう。が、純粋にプレーだけで見ると、「荻野が出たら勝てる」という絶対的エースのような役割ができるわけはありません(もともとそういうタイプではないですし)。

しかし、コートの中にいなくても、例えばロシア戦で中垣内がコメントしてましたが「荻野が山本に何かささやいてから、山本のアタックは全部決まってますね」というような働き方ができる選手なのです。
by rio (2007-11-25 03:44) 

madoka

今日のハイライト、今まで「イケメン山本」一辺倒だった”勝利の女神”こと虻川が、山本は結婚しているのであきらめ、「現在彼女がいない千葉」に路線変更する、と発表。
フジテレビも、まさかこんなに山本がダメダメだとは思ってなかったんでしょうね。大誤算~!(局違うけど…^^;)でした。
でもなー、どうすんだ、千葉じゃますます盛り上げづらいぞ(笑)。

山本の奥さんはずっと帯同してるみたいですね。
今日は虻川と対談してましたよ。(「誰かいいのいませんかね」というアブに「千葉さんが彼女がいないから…」と千葉を薦めたのは山本妻・由美さん。)
どうでもいいけど、旅費や滞在費もフジテレビから出てんのかな?
だとしたら、ほんといろんな意味で、大誤算だなー(笑)。
by madoka (2007-11-25 18:19) 

rio

>madokaさん、その場面だけたまたま見ました。旅費や滞在費はたぶん出てないでしょうが、出演料は出てるでしょうね。

それにしても山本の奥さん、千葉に彼女がいないなんてこと、勝手にテレビで公表していいんでしょうか。
by rio (2007-11-25 18:38) 

みん

rio様、madoka様ありがとうございました。
正直、ほっとしました。こちらで「必要ない」と言われたら私、立ち直れませんでした(笑)
ガイチさんのコラムにも若手の為みたいなことは書いてあったのですが、あまりにもはっきり出ないほうがいいと書いてあったので、へこんでたんです・・・。 rio様の10年前とは98年の世界選手権後ですよね? あのことは私は最近になって知ったのですが、そういうことも経験されてる選手だからこそ頑張ってほしいんです。
今エジプト戦を見終わりました。 rioさまやmadokaさまの言われたとおりの展開でした。 荻野選手負傷後、ミラクルが起こりましたね。
あらためて、荻野選手の凄さと、rioさまmadokaさまに惚れ直しました(笑) これからもお邪魔させていただきますね。
by みん (2007-11-26 01:22) 

rio

>みんさん、エジプト戦はまさに荻野の執念と気迫の勝利でしたね!

怪我もたいしたことないそうで何よりです。とは言いつつ、手術前、膝がぼろぼろになってるのに顔にも出さなかった選手ですから一抹の不安はありますが。

怪我の場面、約束の上では荻野が取るボールのはずなんですね。いつもの山村なら、かがむぐらいはしても、あそこまで飛び込まなかったと思うんです。しかし、もう後がない状況で荻野が投入されて必死になっている姿に、感じることがあったんでしょうね。結果的に交錯してしまいましたが、あのワンプレーで全員が引き締まったと思います。

第2、第3セットは荻野がいくら鼓舞しても、「わかってるけどさー」みたいな、すれたがきんちょのような表情を見せていた選手たちですが、それでも鼓舞し続けた荻野。「諦めない」とはどういうことか、を身をもって示したと思います。
by rio (2007-11-26 01:40) 

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