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尼崎・JR脱線事故から3年 [今日のニュース]

尼崎市内でJR西日本が脱線事故を起こしてから今日(25日)で丸3年です。兵庫県から大阪府を抜けて走ってくる電車の終点は、京都府京田辺市の「同志社前駅」でした。先頭車両が改札口に一番近いため、1講目の授業に間に合うようにと多くの学生が乗っていました。

運よく助け出された神学部の学生に話を聞いたことがあります。事故から半月も経たないのに、その学生はコルセットや包帯をつけた痛々しい格好で大学にやってきました。電車に乗るのはもちろん、電車の音を聞くのも、外にでることさえも怖いのに、勇気をふりしぼってやってきたわけは、「助かった者の役目」だと。「閉じ込められた車内で、みんな苦しんでいる中で、自分は何もできなかった。今まで何を学んできたのか」と号泣した姿が今でも忘れられません。

事故から2日後の27日、読売新聞が救急隊員の証言を記事にしました(青字は引用)。天地がひっくり返っている車内であちこちから聞こえるうめき声。車体を切断して救出に入った場面です。

 耳に飛び込んできたのは、携帯電話の音だった。自分の携帯に手を伸ばしてみたが、違った。見回すと、あちこちに携帯が転がっている。呼び出し音が10回も20回も続いていた。1度切れても、また鳴り出す。着信表示に「自宅」の文字が浮かんでいるものもあった。肉親を捜し求め、一刻も早く無事だという声を聞きたい家族からの電話だ。

 思わず取ろうとした。しかし、「どれがどの人の携帯かわからないし、持ち主が無事なのかどうか答えられるはずもない」。こみ上げる無念に耐え、鳴り続ける携帯をそのままに、助けを求める人を探して奥へ奥へと進んだ。

 2両目からは5人を運び出したが、確かに意識があったのは1人だけだった。

各メディアがさまざまな情報を伝え、いまも伝え続けています。NHKは今日のニュースで、息子を亡くした母親の言葉を伝えていました。「家族を築くには何十年もかかる。事故はそれをたった数秒で壊してしまった」。

忘れないこと。それが死者を悼む唯一の方法です。


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大鷲の健

今晩は。
数十年前に、身内を鉄道事故で亡くしてしまいました。
当時、自分は幼児。
洗濯物を干していた母は、警報機が鳴る中、(遮断機は付いていませんでした)、目の前にあった線路を渡る耳の遠い祖父を、声の限りに止めたそうです。しかし、幼い自分に会いに来てくれた祖父は、貨物列車に・・・。
自分はもう物心ついていた頃だったのですが、まったくこのことを覚えていません。
母はそれから身体を壊し、父は義父の親戚の用事に引きずってでも連れて行けなかったことを、ずっと後悔していました。
その踏切には、そのあと遮断機が付きました。
母は目の前で自分の父を事故で失うという記憶を未だに忘れていません。
自分も、記憶にはない祖父を思って手を合わせています。
この事故は、人災です。とても他人事とは思えません。忘れられません。
by 大鷲の健 (2008-04-26 23:31) 

rio

>大鷲の健さん、体験談をありがとうございます。

踏み切りのない遮断機は全国にまだまだありますよね。

私が以前勤務していたところでは、小1の子供が雨の日に傘をさして遮断機のない踏切を横断していて、電車にはねられて亡くなりました。遮断機のある踏み切りもあって、そこが通学路に指定されていたのですが、地域の便利のために遮断機の無い踏み切りも使われていたのでした。

尼崎の事故はJRの勤務体制に問題があるといわれていますが、いまだにスピードが出すぎているんじゃないかと感じたり、急に減速して止まるような運転の電車にでくわしてしまうことがあります(東京)。

私は大阪の阪急沿線で育ったのですが、ほかの沿線の住人たちはよく「阪急は遅い」と言っていました。JRの事故があって、「遅い阪急」の方針が正しかったということが証明されました。

ちょっと話はそれますが、先日、日本電産の社長が「休みたいならやめろ」と信じがたい発言をしたと報じられました。労働者は資本家の奴隷ではない。JRの事故も、そんなことをいまだに理解できていない人間が企業トップにいるからこそ、おきてしまったのだと思います。
by rio (2008-04-27 23:40) 

大鷲の健

今晩は。お返事有難うございます。
先日、関西に行く機会があり、阪急、近鉄、JRと乗ったのですが、近鉄の普通が異様に速いと思いました。そんなものなのですか?急ぎの用事だったので、それは助かったのですが。あと料金が安いのも、助かりますね。
こちらはバスの運転が荒いです。とにかく急ブレーキが多い。高齢者や立っている人が多くてもおかまいなし。しかも、人がバタバタ倒れても謝りません。一度は車内の人間が総前のめりになり、荷物が降ってきました。
「そんなんだから、バス利用者が減るんだよ。」と思っています。
多少遅くてもいいから、お客が風景を楽しむくらいの余裕のあるスピードを願っています。
それから、例のコメント、記事で読みました。
「休みたいならやめろ」。上等ですよね。辞めた人の分は、派遣やフリーター、期間労働者でなんとかなるとでも?労働組合の衰退が叫ばれていましたが、今や、インディーズ系のユニオンが沢山生まれて「生きさせろ」と叫んでいます。「休む」ということは「働く」ための、「生きる」ための大事な生産事業です。使い捨てで外国の労働者を雇い、国内でも同じことをしている。ほんとに、この国の上の方々は、命を粗末に考えてるんですね。腹立ちます。
この前、テレビで尼崎の事故後のJRの対応について、JRの現場で働いている人の声を拾っている番組がありましたが、現場の声は厳しかったですよ。体質が変わっていないことを、現場も感じているようです。
by 大鷲の健 (2008-04-28 00:17) 

まりふぁな

こぉいうハナシに俺なんかが首突っ込むんもアレですが↓

この大惨事が起きるまで、JRに限らずおよそ全ての公共交通機関は「利便化」「迅速化」を合言葉にしてた気ぃします。
「ダイヤ改正=スピードアップ」で。
利用者は皆「安全を無視した迅速化」とはゆってなかったと思います。
でも「今以上にスピード上げるコトに危険性がないか?」ってコトに対する観点も全く持ち合わせてなかった・とも思えます。
そして提供者もいつの間にかその観点を失くしてたんでしょう。
これは経費とかそぉいうハナシにも適用されると思いますし、例えば遮断機を作るとか高架にするとかって「費用対効果」のハナシにも通じると思います。

みんな「自分の為」を追求すんのはある意味仕方ないにしても↓ある一線超えたトキに何が起きるか?ってコトもマジメに考えなきゃいかんと思います。
んで、(その一線を超えない為に)お互いどんなコトを求め・為して逝くかってのを考えにゃイカンと思うです。
※補償問題で未だ多くのご遺族が同意に至ってないのもそぉいう部分の進展が見られないってのも要因の一つやと思ってます。

願わくば全ての犠牲者と…そのご遺族の方々に、真の平穏が訪れんことを。
by まりふぁな (2008-04-28 01:02) 

まりふぁな

追記っす。

【観光都市京都】の市バスの運転の酷さは結構全国区で有名みたいです↓
これって組織自体の問題もあるけど、結局は運転手一人ひとりの意識に大いに左右される部分なんすよね↓
そしてこれは同時にバスを取り巻く一般ドライバーの問題でもあります。

俺はそんな他人様に説教垂れるほど「模範的なドライバー/ライダー」ではないけれど(汗 地元民のみならず観光客も入り乱れる土地やからこそ(どこぞの標語やないけど)思いやりと慎重さを持って走ってほしいと思います@都路
by まりふぁな (2008-04-28 01:11) 

rio

>大鷲の健さん、近鉄は…どうなんでしょうね。JRとずっと張り合っているので、ぎりぎりまで速くしているのかもしれません。

日本電産の社長発言は、団塊の世代の最後っ屁である、と希望的観測をこめて、そう考えています。休むことを罪悪と考える富国強兵時代の遺産は、そろそろ消えてなくなって欲しいですね。

法律に定められた休日をすべてきっちり消化するのが当たり前。そのためには人員を増やさなければなりません。その結果、フリーターや派遣から抜け出したくても抜け出せない人たちの雇用環境が好転します。また、休日を取ることで消費が拡大し、経済が好循環します。

そんなことはバブル崩壊後から20年近くいわれてきたことですよね。わかっててもできないのは、日本電産の社長みたいなのがいまだにはびこっているから。また、その発言をきいて納得してしまうような人たちが、そういった意識を拡大再生産してしまうからですよね。

暮らしに困らない分だけ稼ぎ、時間を豊かに使う。そういう成熟した社会に移行する準備はもう整っていると思います。あとは頭の柔らかさの問題ですね。


by rio (2008-04-28 07:59) 

rio

>まりふぁなさん、同感です。

JRの事故が起きるまで、「速いこと」は無条件で「いいこと」でしたよね。1分の遅れも許せない社会を生み出してしまった市民全体の問題だという指摘が、専門家からも、住民たちの間からも出されたように記憶しています。

全然規模の違う話なんですが、先日、電車から降りて混んでいるホームをエスカレーターに向かいました。階段はすいてるんですが、すごい人ごみなので、それを横切って階段へ行くより、流されながらエスカレーターに乗る方が都合がよかったんですね。

で、流れに身をまかせてエスカレーターに斜めの角度で進入する状況になったときです。すぐ右後ろから来ていた初老のサラリーマンにひじで突き飛ばされ、にらまれてしまいました。

後ろから押されている状況で、しかもエスカレーターの乗り口のすぐ近くで突き飛ばされたので、バランスを崩してひやっとしました。とっさに手すりにつかまって大丈夫でしたが、つかめていなかったら、ドミノ倒しになっていたか、転んで踏まれてたか、どっちにしてもただではすまなかったと思います。

このサラリーマンはたぶん、エスカレーターに真っ直ぐ進入してきていたので、斜めから進入してくる列を「横入り」と感じていたのでしょう。でもねえ…混んでる中で人を突き飛ばしてエスカレーターに乗ったところで、せいぜい10秒速いぐらいですよね。なんか情けないなあと感じました。

京都市の市バスは…私も何度か取材したのでけっこう知ってるつもりですが、ひどいですね。

なんでひどいのか、ということをマスコミは指摘しようとしません。この問題は、京都市職員の覚せい剤逮捕がなぜ相次ぐのか、清掃車の事故がなぜ多いのか、などという問題と根っこでつながっていて、掘り下げると、元被差別部落と部落解放同盟の問題に行き着くからです。

行政、議会、そして解同がこの問題をなんとかしようと取り組んでいることも理解していますが、一度ゆがんでしまったものは、一朝一夕には矯正できないんですよね。ましてマスコミの腰がひけているので…前途多難です。
by rio (2008-04-28 11:01) 

rio

【訂正】
大鷲の健さんへのレスで「踏み切りのない遮断機」とあるのは、「遮断機のない踏み切り」のまちがいです。そそっかしくてすみません。。。
by rio (2008-04-29 00:04) 

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