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米田・元全日本監督の「告発」にツッコミをいれてみる。 [バレーボール]

ネット上でもうかなり話題になっている米田一典・元全日本監督の発言。週刊朝日(12月19日号)に載っています。私も数日前に、手元に用意していました。すぐにブログに書かなかったのは、気になる点がいくつもあったからです。数日たってもJVAから何の反応も出ず、疑問は解消されないままです。

以下は、私の決めつけと妄想ですのでご了承ください。青字はすべて、元記事からの引用(原文ママ)です。なお、JVAを擁護するつもりなんてさらっさらないことを最初にお断りしておきます。

本題の前に、記事の署名。「ジャーナリスト・時任兼作」となってますが、この人、北朝鮮などを書く政治畑の書き手だと思ってました。バレーも守備範囲なんでしょうか。

2007年、長崎市長(当時)が射殺された事件で、安倍首相(当時)周辺と暴力団に接点があったとする記事を週刊朝日が載せた際、執筆陣に加わっていたのがこの時任さんです。安倍は「言論テロ」だと激怒し、訴訟騒ぎに。結局、週刊朝日側が「『見出し』が悪かった」として、”お詫び文”を掲載したと記憶しています。

いま、検索してみると、同じ2007年に、「JAL労組が、7000人分の身辺調査情報を無断保有」というスクープをはなった人でもあるんですね。個人の思想信条や、主観的な評価(性格が悪い、など)を無断で文書化して握り、人事などに利用していたというおぞましい事件です(←その後、改善されたのかどうかは不明)。

時任さん、働き者なんですね。だから今回も、米田さんの「実名告発」をスクープできたんですね。なるほど。

と、勝手に納得したところで、本題です。

米田発言の内容が正しい/間違っている、の判断は、一読者の私にはまったくできません。ただ、米田さんの”ひとり語り”だというところに、ちょっと身構えてしまうんですよねえ。米田さんは、JVAが記者会見で虚偽発言をしたとまで断定しています。これが事実であれば、公益法人であるJVAの存在意義にかかわる大問題です。間違いであれば、米田さんによるJVAへの名誉毀損です。勝負に出た、って感じですね。

とにかく、米田さんはいま、JVAの執行部でもVリーグの監督でもありません(=会議に出ていないはず)。というわけで、私は、「米田さんが今回の記事で語っていることは、すべて人から聞いた話だ」と勝手に決めつけて、記事を検証してみたいと思います。


記事の構成は以下のとおり↓

1、「JVAがウソをでっち上げて、全日本女子の監督人事をでっちあげた」と米田さんが怒っている。
2、週刊朝日(時任さん)が、報道の流れの事実関係を説明
  11月28日に共同通信が「達川監督に内定」を配信→11月30日に読売が「真鍋監督を選出」を
  掲載→共同通信が情報を訂正。
3、米田さんが、「達川内定」までの流れを説明。
4、米田さんが、「達川内定」が「真鍋選出」へひっくり返った表向きの理由を説明、裏事情を推測。
5、米田さんの個人的な感想
6、まとめ


1、2は問題ないでしょう。気になるのは3以降。

米田さんによると、JVAの公募方針に従って、Vリーグ監督10人が集まり、「自分たちの中から」推薦することにしたそうです。これは”監督同士の互選”と考えていいんでしょう。そしてその結果、「数名が選ばれた」とあります。ちなみに、達川監督は「最多の8票」を獲得し、真鍋監督は「最低得票」だったそうです。

↑なんのこっちゃ?投票ルールは1人1回だったのか、1人複数回だったのか。そこがはっきりしない以上、米田発言のこの部分は意味を持ちません(下手したら、真鍋監督を不当におとしめることになりかねません)。

というのも、投票が1人1回だとすれば、達川監督が8票の時点で、残りは2票。達川監督と真鍋監督以外に、最低でも別の監督が1人、Vリーグから応募しているはず(←根拠ありですが、まちがっていたらごめんなさい)。その某監督や真鍋監督が自分に投票したとしたら、達川監督8、真鍋監督1、某監督1、その他0、です。「最低得票」がほかにもいた、得票なしもいた、という可能性が浮かんできます。

ただし、投票が1人複数回だとすれば、事情はぜんぜん違ってきますよね。記事はなんで、その辺をあいまいにしたままなんでしょう?書き手が悪いのか、話し手が悪いのか。

米田さんはなぜか、真鍋監督が「女子バレー界に入ってわずか3年」「指導者に必須とされるコーチの資格試験すらパスしていない」ことにまで言及し、それが「最低得票」の理由だと断言しているのです。かなりきついですねえ。これって単に真鍋監督を批判したかっただけなんじゃないの?と、どうしてもそう考えてしまう展開です。

「女子バレー界に入ってわずか」で就任した柳本前監督の立場はどうなるんでしょう?男女両チームで実績を残している寺廻監督の立場は?女子バレー界の保守本流・米田さんの個人的感情が混じってるんじゃないのかなー、なんて。コーチの資格試験が「必須」なら、なんで真鍋監督は3年間もVリーグのチームを率いているんでしょう?いまこれを持ち出すのは、自分たちのいい加減さを暴露しているだけにしかならないのでは。

米田さん、もしかして…女子バレー界が男子バレー人脈に侵食されている!っていう危機感を募らせているんでしょうか?そんな縄張り意識だとしたら…引くなあ。

さて。話を戻して、続きを見てみましょう。

米田さんいわく、達川・真鍋両監督を含む18人が応募し、書類審査などを経て、会長・副会長・強化本部長らで構成される選考委員会による面談が行われた、と。ここまではOKですね。

その結果、「達川氏が有力」とされ、それは「プレミアリーグの推薦結果とも合致する妥当なもの」で、「共同通信の報道はこれを受けてなされたもの」だと「聞いて」いるそうです。

↑おかしいところだらけのように思えます。米田さんは選考委員じゃないですよね。「達川氏が有力」とされたのは、どこからの情報なんでしょう?「プレミアリーグの推薦結果とも合致する」と述べてますが、JVAの応募要項に、「Vリーグの推薦結果に沿う(または優先する、重視する)」なんて項目はないですよね?Vリーグの監督同士の互選ですべてが決まるなら、公募の意味がないのでは?

さらに、なんでその情報が28日時点で共同通信にだけ出たのか?ここで思い出されるのは、このブログで何度も名前を挙げてきた竹内浩・JVA理事です。本職は「共同通信の論説委員」(JVAのホームページより)です。もちろん、今回の件に、この人がかかわっているのかどうかすら私にはわかりません。ただ”思い出される”だけです。それ以上でもそれ以下でもありません。

さて、以前にも少し書いた私の妄想ですが、達川監督にしたい人(勢力)が、Vリーグを動かし、選考委員会に影響を与え、正式決定前にマスコミにリークして、流れを作ろうとした、とも考えられるわけで。そうだとすれば、真鍋監督にしたい人(勢力)との”政権抗争” or ”縄張り争い”だっただけなんじゃないの?という疑問すらわいてきます。

いずれにしても、米田発言があいまいすぎる上に、人から聞いた話(だと思われる)に過ぎないため、無用な混乱を引き起こしているように感じます。


そして、構成の4番目。

米田さんいわく、「共同通信の報道を見た協会幹部があわてて達川氏側に『年齢が引っかかっている』と弁解をし、その上で『プレミアリーグ関係者の支持が多かった』『若返りを求める声が強かった』などと嘘を重ねて強引に真鍋氏にしてしまった」とのこと。

↑意味不明じゃないですか?選考委員会が「達川氏が有力」と判断していたのなら、共同通信の報道にあわてる必要はまったくありません。

達川監督に内定→共同通信の記事が出る→JVAあわてる

の流れの上で、なにか抜け落ちている要素があるはずです。でなければ、米田発言は、日本語として成立しません。

その「抜け落ちている部分」の可能性の一つが、その後の米田発言に出てくる「大スポンサーへの配慮」「今回の人事はそもそも久光・真鍋氏ありきだった」というところなんでしょう。

↑この情報をさっきの流れに入れ込んで妄想すると、

達川監督に内定→共同通信の記事が出る→久光製薬が激怒→JVAあわてる

となるのではないかと。ただ、この点も非常にあいまいです。米田発言=”久光が犯人”説の根拠は、「みんなそう言ってます」というだけ。「みんな」ってだれよ?そのレベルでここまで言い切ってしまう米田さん…ちょっと危ない人のような気がしてきました。

ぐだぐだのJVAのことですから、「Vちゃんたちが達川っちで、っていうからそうしようと思ったけど、久光大先生に叱られたから、やっぱり真鍋っちにしとく?」ってなノリで二転三転した、ということもありえるでしょう。私も、根拠なく、そうなんだろうなと思っています。ただ、素人が根拠なく妄想することと、米田さんのような立場の人が、雑誌で語るのとはわけが違うと思います。

なかなか決まらず議論が白熱していた→共同通信が「達川監督に内定」とフライングしてしまう→JVAは早急に答えを出す必要に迫られてあわてる

という流れだった可能性も考えられるわけで、選考の当事者ではなかった米田さん、どこまで確信をもった発言なんでしょう?

米田さんはその後、「納得させるために、選考委員会で会長、専務理事らが中心となって『若返り』を唱えて、決を採ったと聞いています。アリバイづくりです。本来、重視されるべき女子強化委員長らの意見はいれられませんでした」と述べています。

↑これだと、「選考委員会の多数決よりも、女子強化委員長らの意向のほうが強く反映されるべきなのに!」と読めなくもありません。米田さんは、そんなレベルの(低い)批判をしようとしているんでしょうか?あるいは、そういうレベルの(低い)批判をしたい勢力いて、米田さんをかつぎあげた(そそのかした)のでしょうか?

JVAを「運営ばかりが突出している」として、「強化・普及・運営という本来の役目をバランスよく果たしてほしい」と述べる米田さんの主張には、おおいに賛同します。ただ、そこに至るまでの論旨が、事実関係も含めてずさん過ぎるように思え、読んでてなんだかぐったりしてしまいました。


ちょっと話がそれますが、米田さん記事の中で、「かつては女子強化委員長やプレミアリーグの監督の合議で決まっていました」と述べています。さらに、アテネ後に柳本前監督が再任された選考方法を指して、「『不透明だ』などと批判の声が上がったため、今回、公募という形になったのです」とも述べています。

ということは、柳本前監督は「女子強化委員長とプレミアリーグの監督の合議」で選ばれていた、ってことになりますね。これってけっこう爆弾発言なのでは?わたしゃてっきり、メグカナブームの論功行賞として、それこそ「大スポンサー」・テレビ局・JVAが再任を決めたんだと思っていましたが。

米田発言にそって考えると、Vリーグが柳本前監督を選んだのに、4年間、足を引っ張り続けたってこと?柳本体制下の「メグカナブーム」とその後の低迷を考え合わせると、Vリーグによる”はしごはずし”や”手のひら返し”という言葉すら浮かんできます。自分たちで選んだ監督でも”つぶす”のが女子バレー界?なんだとしたら、選んでいない真鍋監督の末路は、もはや明らかですね。。。


最後に、週刊朝日(時任さん)の報道姿勢(構成6の「まとめ」)について一言。今回の件についてJVAに、「説明や見解を書面で求めたが、回答は一切なかった」って…これでお茶を濁すのは、あんまりですぜ。直接アポとって取材すればいいことじゃないですか。

5日の代表監督就任会見も「のぞいてみた」そうですが、「あやふやなまま」の説明を聞き、「疑義が解消されることはなかった」って…ガキの使いやないんやから!解消されなかったんだったらその場で聞けよ!って話です。米田さんに言うだけ言わせておいて、後は野となれ山となれ、ってことなんでしょうか。

「説明責任を果たさぬ姿にこそ、協会の体質が見て取れる」との批判はその通りですが、そうやって高みから説教する前に、お金を払って購読している読者のために、やるべき取材をきちんとしてください。とりあえず、米田発言に対するカウンターコメントの続報をお待ちしておりますm(_ _)m


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ealinngu2000

一読しての感想は、終始米田批判との印象です。
その結果として、文脈上協会の真鍋監督選任擁護となっている様に思います。
あくまでの、私の感じです。
私の興味は、米田さんが誰の情報を元に雑誌にコメントを寄せたのかです、一人なのか、それとも複数人なのか、つまり、米田さんのコメントの背後に協会内での特定の派閥と言える程の集団が存在しているのかどうか。
もし存在しているとするなら由々しき問題だと思います。
そんな状況下で選手が頑張っているのかと思うと何ともやりきれない気持がしてきます。
因みに、多くのファンと同じ様に、私も、監督公募の時から真鍋さんだろと思っていました。
又、全日本監督資格の要件として指導者に必要なコーチ資格の有無は問われないと言う事、知りませんでした。
by ealinngu2000 (2008-12-11 14:46) 

rio

>ealinngu2000さん、コメントありがとうございます。

米田発言にツッコミをいれるとのタイトル通り、おっしゃる通り、発言には批判的です。

理由は記事に書いた通り、ほとんどすべて「伝聞」で、根拠が薄弱だからです。そもそも、米田さんは直接の当事者ではありません。なのに、”昔の名前”で出てきてしまっているところが気になります。

米田発言につっこむと、結果的に、JVA擁護のようになってしまいます。ということで、最初のほうに「擁護する意図は無い」と明記しました。

それはさておき、私も、ポイントは「米田さんのネタ元は誰か」というところだと思います。「女子強化本部長ら」というのがクサイと思ってます。

彼(または彼ら)が、自分たちが矢面に立つことを避け、JVAからしばらく距離を置いていた米田さんを担ぎ出して、代弁させたんじゃないかと。そんな気がしてなりません。

いずれにせよ、本格始動前からここまでぐだぐだになった監督人事も珍しいのでは。しわ寄せはすべて、選手と、選手の活躍を楽しみにしているファンにきます。また同じことの繰り返しです。腹立たしいですね。

ご指摘でふと気になったのですが、応募要項の中に、JVAのコーチ資格を持っていること、ってのがあった気がします。と思って、JVAのホームページを見てみると、

>FIVB公認コーチ資格取得者  (財)日本体育協会公認上級コーチ又は其れに準ずる者(主要国際大会指導経験者など)

となっていました。真鍋監督は「準ずる者」なんでしょうね。JVAが「準ずる」と判断すれば、誰でもいいってことですね。
by rio (2008-12-11 16:12) 

古都の侍

連投です。

これはこれは興味深い内容ですねぇ・・・
しかしながら私、まだ『週刊朝日』を読んでないんですよ。時代遅れです。
「米田―達川」というとバルセロナのときの監督とコーチですからねぇ。でぃーぷな仲なのだと思いますが、しかしながら米田の無根拠大爆弾は驚きました。
スポンサー的な配慮からしても久光は妥当といえば妥当なのでしょう。日本での女子の国際大会を観に行けば、必ず入場口で久光のサロンパス&ヒアルロン酸パック&コールドスプレーの3点セット的なものをもらいますし、大きなブースもありますからね。JTも必ず大きなブースがあります。ただ、あくまでもスポンサーはスポンサーなわけで・・・と言い切れないのが痛いですよね。この2企業がスポンサーで選手がデンソーと東レの連合軍じゃ、多分久光やJTがつかないんでしょう。パイオニアとかNECとか車体とか武富士とかは企業自体が「危」ですから、やはり久光とJTに頼らないとならないのでしょうけれども・・・バレーとは関係ない企業で大口のスポンサーがつけばいいのでしょうが、それは困難だろうと思いますし・・・難しい。


そういえば、「相棒」の来週の放送が「杉下―亀山」の最後なんですよね。初期から比べるとだいぶ新たな脚本家と監督がとることが多くなりましたが、今回の「レベル4」は「和泉監督―輿水脚本」のゴールデンコンビですね。やはりここから始まったので、この二人が組むと安心感がありますね。
亀山卒業後のことに気持ちが行ってしまいますが、やはりまずは最後の1ページが早く見たい気分です。


by 古都の侍 (2008-12-13 22:38) 

rio

>古都の侍さん、「告発記事」なんてものは、相当用心して読まないと、気づかないうちに踊らされてしまいますよね。

米田発言が一人歩きすると、日本バレー界全体の腐敗ぶりが、JVA執行部のことだけに集約されてしまって、とても危険です。JVA執行部と同じぐらい、「女子強化部長ら」という人たちも、そしてもちろん米田さんも、いけてないと思います。ぐだぐだです。

それはそうと、「相棒」シーズン7。今回は初回スペシャルしか見てないんですよ!水曜日が忙しくて…再放送に期待なんです。「相棒」関連の情報を極力さけて暮らす日々です。ああ、もどかしい。
by rio (2008-12-14 10:12) 

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