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月刊バレーボール 1月号 が、ちょっといい感じ。 [バレーボール]

最寄の図書館に、月バレが戻ってきました。いえ、ずっとあるにはあったのですが、北京五輪前後の7~10月は、いつ行っても誰かが読んでいて、なかなか手に取れなかったのでした。それまではほとんど読まれておらず(たぶん)、いつもきれいな状態でたたずんでいたのに。おそるべし五輪効果、です。

そんな月バレの、いけてない編集方針につっこみをいれまくってきた私ですが、今回(1月号)はよかったと思います。野球やサッカーの雑誌を愛読している方だと、「あの程度で『よかった』の???」と言われそうですが、過去の月バレの所業を考えると、12月号~1月号では、本当の意味での専門誌に脱皮しようとしているフシがうかがえます。そういう意味で「よかった」んですね。

この傾向が続くかどうかまだ様子見が必要ですが、「JVAの広報誌」との汚名を挽回すべく(←そもそも、汚名と思っているのか?という疑問もありますが)がんばってほしいものです。できれば、バレマガも復刊して、2誌で競う体制になれば理想的なんですが。

↑なんのこっちゃ?と思われた方、本屋で月バレをぱらぱらとめくってみてください。前半がほぼ、選手の動きの解説、戦術の変遷、必殺技の紹介など、競技としてのバレーの面白さを伝える内容になっていることに気づかれると思います。

その内容が適正かどうかについては、素人の私にはわかりません。その辺は専門家の方々におまかせし、私は純粋に、読み物として楽しみました。面白かったです。

たとえば、最初の記事は、男子・パナソニック、フェリペの「速さ」の分析。対堺ブレイザーズ戦でのレフト平行やパイプ攻撃を、0.1秒ごとの分解写真で解説していて、読み応えがあります。特に、レフト平行の分解写真では、相手ブロッカー(センターとレフト側)が完全に振られている+反応が遅いことまではっきりとわかってしまいます。

月バレの編集は、あくまでも「フェリペがすごい」という視点ですが、同時に、「宇佐美もすごいよね」「それに対して、堺のブロックシステムはまずいんじゃないか」ということも読み取ることができるのです。

女子の戦術記事では、岡山シーガルズが取り上げられていました。私はこの記事を読むまでうかつにも知らなかったのですが、セッター・岡野は、意識的にライト側を向いてトスを上げることがある”スイッチセッター”だったんですね。記事中ではその理由を、「高校からセッターを始めたので、ハンドリングに自信がないから」と謙遜していますが、とても合理的・柔軟な判断だと思います。

それはさておき、月バレは、シーガルズの強さの秘密を「複雑で粘り強いセンター攻撃にある」との視点で解説しています。そのことにはまったく同感です。でもきっと、それだけではないでしょう。あの身長(170~175センチクラス)で攻撃が次々に決まるのは、「Vリーグのブロック技術や、ブロックとレシーブとの連携意識が低いから」という理由も大きいはず。

そのことも、月バレの分解写真ではっきりと見ることができます。センター・森のブロードが分析されているのですが、岡野が上体を反って(←竹下ほどではないけど)ライト側に上げる”ばればれの体勢”になっているのに、相手ブロッカー(センターとレフト側)が一歩も動いていないのです。この”棒立ち”っぷり、写真を見るとおそらく、「おいっ[むかっ(怒り)]とつっこんでしまうと思います。

もちろん、言うは易く行うは難しで、「反応が遅い」とか「棒立ち」とかと言っても0.1秒の世界。この反応速度を上げるのは確かに大変です。陸上の短距離選手や水泳選手のような集中力が必要なことは言うまでもありませんが、陸上や水泳と違って、その集中力を2時間ほどの試合中、ずっと維持し続けなければならないわけですから。

でも、結局、これ↑ができているチームが勝つ。厳然たる事実です。反応の速さと対応の適確さは、まず第一に「脳」の問題ですから、努力次第でどんどん向上するはずです。「日本人は体格や身体能力が…」と現実逃避するヒマがあったら、「脳」トレをがんばってほしいと思います。


もう一つ、これまで人気選手のインタビューといえば、どーでもいいミーハーな内容でした。が、今回は違いました。木村が取り上げられていたのですが、その中で、はっきりとこう述べています(要旨)。

(日本は)メダル争いができるところまでいってないじゃないですか。だから、(荒木と話していて、まずは)もう一個上に行きたいね、だけどそれが難しいんだよね、と。

上位チームと日本の差、それは、やっぱりみんな2本目がうまい。2段トスも2段じゃないみたいにきれいに上がる。日本は2段になると全然決まらない。もっとそこを練習したほうがいい。

↑これ、全日本男女の監督・選手含め、いちばんしっかりした「総括」だと思います。代表選手が経験をフィードバックするときは、こういう形でやってほしいですね。どこぞの男子選手たちみたいに、監督がどうとか、ほかの選手がどうとか、風呂の中の屁(失礼)みたいなものはいりません。

全日本女子は(男子もですが)、センター陣とリベロが、木村・高橋と同じぐらいのレベルで2本目を処理できなければ、いつまでたっても、勝ち上がるのは難しいでしょう。柳本体制での木村は、得意な前衛ライトにいるときに、2本目の処理をしなければならない立場でした。柳本前監督も、センターやリベロにさせることを試みはしましたが、技術が追いつかず断念したんですね。その歯がゆさが、木村のインタビューからじんわりと伝わってきます。

そんなこんなで、こうした「分析」や「体験談」がメディアを通じて紹介され、ネットを通じて議論され、代表チームやVリーグにフィードバックされていく循環ができれば、日本バレーは少しずつよくなっていくんじゃないかという希望が持てます。2月号にも期待したいと思います。


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カリメロ&パタリロ

連続写真ですかー月バレ唯一の利点ですね。買いたくなったけど、私も図書館で済ませたいと思います。サオリン偉いね、いつまでも『天然サオリン』ではないんですね自分達のレベルをよく解ってる…来年は男女ともどういうメンバーが召集されるか楽しみです。所で私はM-1グランプリは最初あまり面白くなかったのでTVを消したらそのままだったので優勝者すら知りませんでした、見てればよかった…。
by カリメロ&パタリロ (2008-12-22 20:18) 

rio

>カリメロ&パタリロさん、木村えらいですね。インタビューを読んで、私もそう感じました。

木村と荒木、そこに大山が復帰して、下北沢トリオで核をつくれば、全日本女子はかなりしゃっきりすると思います。3人とも、向上心と協調性があるタイプだという気がしますから、柳本時代のようなことにはならないでしょう。

ダイアン、だめでしたか。私は笑い飯から見たんですが、出来がいまいちだったので、確かに最初はあまり面白くなかったですね。やっぱり、ザ・パンチの衝撃的なだだすべりと、そのあとのノンスタイルの大爆笑。このうねりで、客も審査員もテレビの前の私もひきこまれた感じがします。
by rio (2008-12-22 21:40) 

古都の侍


こんばんは。

明日の決勝に東レが残っていればよかったのですが、いないので年明けの1月3週目にとどろきに来る時に、木村を「よく出来ました!!」と褒めておきたいと思います。
真鍋に失望する日々でございますが、米田はあれから音沙汰無しですねぇ・・・あちらもどうされたのか気になるところでございます。米田はバルセロナの時の自分の右腕(コーチ)だった達川を守りたかったのでしょうか?

木村や荒木は物言う海外のお友達が多い(ニコリッチ、ベタニア、張越紅、他多数)ですから、比較的(日本の中では)進歩的な考えが耳に入るポジションなのでは?
正直なところ、テンシンが海外の選手とフレンドリーに話すような光景が浮かびませんしね・・・

そういえば、来年のWGPの決勝も日本(東京)でしたね。女子バレー変革の時が幕開けになるわけですが、是非ともアウェーで結果を出せるチームに、そして「木村の反省」が活かされるように・・・初詣ではそのように祈りたいと思います。


by 古都の侍 (2008-12-22 23:10) 

T.w

>そんな月バレの、いけてない編集方針につっこみをいれまくってきた私ですが、今回(1月号)はよかったと思います。

何月号からか? はっきり認識はしていないのですが、、、最近になって月バレの発行人が前田健さんに戻ったんですよね。それが関係しているのか?!

フェリッペの連続写真を見ると、「高くて早いトス」が認識できますね。
by T.w (2008-12-24 22:53) 

rio

>古都の侍さん、木村はどんどん成長してますね。スタッフも含めて、木村の成長にどこまで周りが追いつけるか、という段階になっている気がします。

まあ、インタビューではいまだに、「ロンドンまでやるかどうか、なんてわからない」なんてはぐらかしてますが、一方で、「バレーがすごく楽しい」と言っています。責任感の強さから、逆に、「ロンドン行きます!」と言い切らないのかな、と感じました。

米田発言をJVAが黙殺する、というのも、相変わらずですがダメ組織ですねえ。反論しなければ認めたことになる、という世界標準のルールをまだ理解できないんでしょうか。

特に、今回の選出過程は、JVAが議事録を公開すればすむこと。そんなことすらできないんでしょうか。

このままいくと、女子バレーは久光・JTの2大体制。ってことは、竹下が残るんでしょうか。。。まあ、控えのリベロとして入るなら問題はないですが。竹下のセッターとしてのハンデは、身長だけでなく、「戦術理解にとぼしいこと」「戦況を読む能力が低いこと」ですからねえ。これは痛い。そこのところを、元セッターの柳本前監督や真鍋監督がどう考えているのか、気になります。
by rio (2008-12-25 07:00) 

rio

>T.wさん、今回のVリーグ・男子チームのセッター紹介は、前田健さんが解説してるんですよね。

その流れで、戦術紹介なども前田さんが企画しているのかもしれませんね。昭和時代の『明星』のバレー版、みたいな編集にはうんざりしていたので、今回のイメージチェンジは歓迎です。

ただ、スポーツとしての面白さを伝える編集方針を貫くには、それなりの記者(と解説者)をそろえなければいけませんよね。『Number』を目指せとまでは言いませんが、これまでゴシップ取りに奔走していた(させられていた)月バレ執筆陣が、歯ごたえのある記事を書けるのかどうか、気になるところです。

フェリペの分解写真が、「高くて早いトス」のイメージということでしたら、素人の私にもイメージしやすいです。あの写真の相手レフト側ブロッカーが朝長で、代表でのチームメイト・宇佐美のトスに完全にふられてるのがちょっと悲しかったです。
by rio (2008-12-25 07:07) 

T.w

rioさん、

あの宇佐美のトスが理想の51攻撃かと言うと、そうではないです。若干トスの頂点がアンテナより手前で結果的にフェリッペも自身の最高到達点でボールをとらえられず、肘が曲がって「横殴り」的なスイングになっています。あのトスの軌道では、ブロックのあいているストレート側に打ち込むのは困難です。ですが、それでもライトブロッカーの朝長の手の遙か上を抜けていきそうな高さがあります。
宇佐美でなく、より身長の低い岩田が上げるトスを図解した方が、より本質が露わになったでしょう。
by T.w (2008-12-27 18:10) 

1992☆LОⅤE

rioさん、こんにちは♪
関東も本格的な冬将軍の襲来ですね。
クリスマスもいつもと変わらずあっけなく終わり(哀)今日が仕事納めでした。
一月号の月バレ、rioさんの記事のアップ前にしっかり拝読(立ち読み)致しました。連続写真を見て良い意味で『どうしちゃったの?』と思いましたよ。
歴代の必殺技特集も『rioさんが好きそうだな~♪』と思いながら懐かしく見ておりました。

先日の天皇(皇后)杯も生観戦しましたが、男女オールスター大会の割にはオリンピック効果も感じられずガラガラでした。
全日スタンド最前列か2列目でかぶりつきで観戦出来ましたが、二面使いで至近距離なので山神様のサーブトスボールが目の前まで上がって来ました。

試合内容は古都の侍兄さんのブログを参照していただくとして、↑でT.wさんらも名前が出たことですし、重大な発見をしたのでrioさんと読者の方々に御伝えしたいと思います。

(こむぎさんの所にコメント済みですが)宇佐美ソリーズ隊長Loveのなつさんと半分は一緒にPの観戦したのですが、その日は隊長は12名のメンバーには入っておらず、ピカ席(関係者席)に座って戦況を見つめていました。

なつさんと一緒に隊長の様子を見ていたら、何と隊長は…

眉  毛  を  抜  い  て  い  た  の  で  す っ!!!!!

それも、人差し指と親指の二本の指で、慣れた手つきで…orzorzorz

なつさんが観戦した両日、隊長はベンチ入りしていずにガッカリしていましたが、高速トスやツーアタックはTⅤでも見られますが、スデヌキはそれ以上に貴重な滅多に見られない御宝シ-ンでした。

と言う事で、隊長は『ソリーズ』ではなく(恐らく)『ヌキーズ』であると言うご報告でございました。m(   )m
来年は他の隊員も観察したいと思っております。

本年はお世話になり有り難うございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。良いお年をお迎え下さいませ☆
by 1992☆LОⅤE (2008-12-28 17:06) 

rio

>T.wさん、なるほどなるほど。ということは、月バレとしては、理想のプレーを分解したというよりは、単純に「速い」「高い」が見た目でわかるプレーを載せている、ということなんですね。

宇佐美のトスがアンテナまで(頂点が)伸びず、中に寄ってしまってシャットアウトされる、というプレーは、2008年にも多発していましたね。どうも月バレの意図とは違うことばかり気になってしまいます(笑)
by rio (2008-12-28 21:45) 

rio

>1992☆LОⅤEさん、なんと貴重な場面を!その観察力と強運をもってすれば、CIAあたりに就職できそうな気がします(謎)

コメントを読んで、試しに自分の眉毛を抜いてみようとしました…が、できませんでした。指だと滑るし、ツメでぐいいいっとひっつかんでひっぱったらかなり痛いし。鼻毛を抜くようにはまいりません。

やっぱり、それをなれた手つきでできるということは、バレー(特にセッター)で鍛えた指力の効果でしょうか。

それとも、素手と見せかけて、マジシャンのように手のひらの中に毛抜きを隠しているとか。あるいは、シザーハンズのジョニー・デップのうに、指が毛抜きなのかもしれません。

今度テレビで見る機会があれば、その辺を中心に観察したいと思います。

よいお年をお迎えください!
by rio (2008-12-28 21:51) 

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